「多様性」と言う言葉は実現不可能な言葉

【多様性とは世界中の色々な考えの人を尊重するという事】

色々な考えの人を、世界中の人を尊重する多様性。
それだけ聞けば、「何と素晴らしい考えか」と感服する人もいるでしょうし、これだけ聞けば反対する人なんていないでしょう。

綺麗事かもしれないけど、世界中の人々がお互いを尊重し合う世の中と言うのは、それは素敵なことだというのに異論を挟む人はそういないでしょうから。

【多様性とは、自分と正反対の考えを持つ人も尊重するという事】

多様性を掲げて、多様性を認めるなら、自分と正反対の考えを持つ人も尊重しないといけません。
当たり前ですよね。
「色々な考えの人を尊重する」という事は、自分と正反対の考えを持つ人も多様性の一つですから、尊重されて然るべきです。

しかし、現実にそんな事出来るでしょうか？
人間、誰しも根っこには「譲れない部分」と言うものが存在します。
そこに踏み込まれて「お前の考えはおかしい、考えを変えろ」と言われると、衝突になる。
例えば……
「日本は日本人だけの国ではない」と言う人と、「日本は日本人の国である」と言う人。
「同性愛はおかしい、異常だ、許容できない」と言う人と、「同性愛も一つの愛の形だ」と言う人。
「働かず誰かの金や税金で遊んで生きたい」と言う人と、「働ける身体があれば働くのは当然だ」と言う人。
これらを一緒にしたら、衝突になるのは目に見えてますよね。

【多様性と言う言葉を振りかざす人間ほど、多様性を認めないという皮肉】

「多様性が認められる世の中ですから」と主張する者に対し、「そうですね。では私はこういう考えです」と言うと、「多様性が認められる世の中でお前の考えはおかしい！差別的だ！」などと叫んで叩きのめしにかかる者は少なくないですが。
その時点で多様性じゃないですよね？破綻してます。
多様性が認められる世の中なら、正反対の意見を持つ人の考えも尊重し、相手が意見を述べる権利も守られていないといけない。
それどころか、自分と正反対の意見を持つ人にだって自分と同じ権利を有してないといけない。
そうでなければ、多様性が認められる世の中とは言えないし、多様性と言う言葉を印籠代わりに言論抹殺にかかっているという皮肉なことになる。
言論抹殺なんて、多様性とは正反対の位置にあるものですよね。

そういえば大分昔の話だけど、うちの日記に来た奴で「色々な考えの人がいていいんです。あなたの考えは間違ってます」とか抜かして、その直後に通りかかった人から「色々な考えの人がいて良いなら、何故あなたは日記主の考えを否定するんですか？」とか突っ込まれてた奴もいたなぁ。

【本気で多様性を認めたいなら、正反対の考えを持つ相手でも考えを否定もせず、相手の意見も、権利も尊重すること】

ただし、法律に反しない限り、ですが。
日本は法治国家ですから、法に反することを主張したり、法に反する権利と言うものを認めるわけにはいきません。
そこを認めると、無法地帯ですからね。
そして、多様性を認めるべきだと本気で主張するなら、相手の考えが自分と正反対のものであろうと何であろうと、相手の考えを否定せず、その上で相手の意見を言う権利を尊重することです。
その上で、自分と正反対の考えの人が、自分と同じ権利を得られるように尽力出来ることです。
そんな聖人君子みたいなことが出来るなら、ですが。
私はそんな事出来る自信はないし、世の中の人全員がそんな事出来るようになるなんて絶対不可能だと思います。
だから私は「多様性と言う言葉は、耳障りはいいけど、実現不可能である」と思っています。