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18971006 NO5053 宮廷録事•官吏進退•雑件
18971006 NO5053 宮廷録事•官吏進退•雑件
한국사데이터베이스 (history.go.kr)
012_0030_0140 駐韓日本公使館記録 12巻 参. 本省往復報告 (14) [宮廷録事•官吏進退•雑件]
文書題目 (14) [宮廷録事•官吏進退•雑件]
文書番号 報告第三二号,第九六号(京城),第九七号(仁川),第九八号(釜山),第九九号(元山)
発信日 明治三十年十月六日 ( 1897年 10月 06日 )
発信者 京城 加藤 弁理公使
受信者 大隈 外務大臣
(14) [宮廷録事•官吏進退•雑件]
報告第三二号,第九六号(京城),第九七号(仁川),第九八号(釜山),第九九号(元山)
宮廷録事
当国王が今回大君主の称号を廃し皇帝号を宣揚する事になった事情をはっきりさせると、もともと国王は皇帝という称号を無上の栄えとし、内心これを受ける事にしきりに心をひかれていたのだが、一方その意を迎えて数年前より進号の上奏をしたものがまた一人では止まなかった。ただその都度常に種々の事情があってまだこれを果すことが出来ていなかったわけである。近頃になってその熱が再燃して、秘かに嬖臣（へいしん ＊国王お気に入りの臣下）である宮内府特進官・趙秉式、農商工部協弁・権在衡、法部協弁・兪箕煥らに内命をふくませ運動させられたことがあったので、趙秉式（チョビョンシク）などは主として進号（皇帝の称号への宣揚）上奏者の勧誘に勉め、その結果として先月二十一日には前・監察・李教弼、内部主事・張志淵など及び前・侍御・宋秀晩並びに前・注書・安衡鎮などをはじめとして、慶尚南北道幼学・姜懋馨などをその次とし、ついで二十四日には農商工部協弁・権在衡、二十五日には外部協弁・兪箕煥及び忠清道幼学・沈魯文など、二十八日には前・侍読・金斗秉、致仕奉賀・金在顕たちの廷臣及び儒生などの応援上疏となり、二十九日には次いで成均館学生に及び、館学儒生進士・李秀丙など同館学生の代表の上疏となり、文蔭武（＊蔭は蔭叙制（ウムソジェ ＊上流層の子孫を科挙の試験によらず特別に官吏に採用する制度）の出身者）の三班が均しく中枢院に会合してそれぞれ約する所があった。本月二日においては前・承旨・金善柱などや慶尚道幼学・郭善坤などの縉紳（チーンシン ＊身分が高く上品な人）による上疏、及び立廛市民（イプチョンシミン ＊六注比廛＜ユクチュビジョン＞の一つである線廛＜ソンジョン＞を言う言葉。六注比廛は朝鮮時代に、専売特権と国役負担の義務を負うソウルの六つの市廛＜シジョン＞で線廛、綿布廛、綿紬廛、紙廛、紵布廛、内外魚物廛の六種を言う）、前知事・丁載昇などの市民による上疏となり、なかでも各廛の市民に至ってはその数幾万人、同日午後に手に藁席を抱き、頭に素帽を戴き、慶運宮前に参上して跪き大声で懇請するのであった。これに対し国王はわざと謙讓をよそおい、上疏ごとに允可（＊許可）の批旨を下されはしなかったが、大勢がここに至って既に定まったので沈・議政は先月三十日に国王に稟請の事がある称して参政・贊政・参贊。掌礼院卿を率いて宮殿に詣り「皇帝の尊号をお受けになってもらいたい」と奏請したのだが、ここに国王と稟請者との間に種々の魂膽があり機軸が急に成熟したのでその翌十月一日に議政・沈舜澤、特進官・趙秉世など百官を率い正式に進号の上奏を呈した。その文に曰く、
臣等前席に於て誠を積み罄陳して聖心槪せず靳旨乃ち降る誠に徊徘欝を齎らすの至りに勝へさる所以なく猗たる我か邦国を開く五百年聖神相繼き重凞累りに洽し禮樂典章衣冠制度漢唐に損益す宋帝一たひ明代を以て準となせば則ち郁文醇禮の直接一統となれり惟ふに我か邦是れ耳我か聖上聰睿智勇百王に卓冠し天姿兩儀に合し玄��神明に通す三皇の道を述へ五帝の心を傳へ臨御する三紀功化は則ち郅隆の由を尙ふ所なり治法は則ち典謨の紀載する所なり曩きに艱會多難に値ひ以て邦国の殷憂を固ため以て聖明の乾斷廓奮を啓き百度惟れ貞に宗社頼て安く綴旒を轉して盤泰を措き方隅砥平氛祲を銷して絪緼を凝らし弘業を重恢にし治代興隆獨立の基を建て自主の權を行ふ是れ天眷宥密景命迓続の會なり按するに萬国公法に云へるあり各国自主なるもの隨意に尊号を自立し己れの民をして推戴せしむべし但し權の他国をして之れを認めしむるなきのみ下文に某国の王と稱し皇と稱するの時某国先つ之れを認め他国後ちに之を認むるの語あり夫れ尊号我れにあり故に自立と曰ふ之れを認む人にあり故に權なしと曰ふ未た人に權なきの故を以て我か自立の權を廢するを聞かさるなり是を以て王と稱し皇と稱するの国他国の承認を待たずして自ら尊号を立つ某国先つ之を認めて他国後ちに之れを認むの例ある所以なり其の先つ認むと言ふ所以のものは立号の先にあらずして他国に先するの謂なり則ち安ぞ自ら尊号を立てずして而先つ他国の認を求むる者あらんや今陛下巍蕩の��天と大を同ふし通達の道天と諦を同ふす大を以てして言へは皇なり諦を以てして言へは帝なり羲農堯舜の聖を以て漢唐宋明の統に接す惟ふに今日大皇帝の位号を尊ひ古に準し今に合す其時を考ふれは則ち可り禮に據るも亦当さに然るべし天に應し人に順ふの義にあつて維新の命を眷顧せらる容さに仰て答へさるべからさるなり擧国大同の義勉めて循はさるべからさるなり乃造化の跡斂て而無きか如く冲牧の衷聖自ら居らず固より欽仰すと雖も而古昔帝王肹蠻の治挹遜の規未た曾て咈而讓を受けず居らさるの文あらず用て敢て齋沐相率齊聲仰き籲ふ伏て願くは亟かに兪音を賜へ賁章を擧くるを獲ん事を千萬顒祝す惶恐敢て奏す
〈＊韓訳から私訳〉
「謹んで申し上げます。記憶しておりますところでは、徳は天地と同じものを皇帝と言いますが、三皇と五帝は功績と徳行が皇天と合致しているので尊くまた称讃するものです。徳が申し分なく高ければ地位と呼称も同時に高いものであり、功労がこの上なく大きく思われるのです。 この上なく大きく思われ限りなく尊ぶ例としてこの上なく高い呼称を掲げることは、即ち聖帝と明王がみな同様に経験した事であって天理と人心にはずれないことです。このような理由で臣たちが先日真心を込めて申し上げたことなのですが、聖上におかれては御心にお留めなさらず許諾を後回しにされたのですが、まことにどうすればよいかわからず息苦しいこと限りない思いです。
ああ、我が国が開国して以来五百年において聖神の国王が継承し光り輝く業績が十分となりました。こうして礼楽の典章と衣冠の制度を漢・唐・•宋の皇帝とほとんど同じにし、終始一貫して明国時代を基準にしました。そのため光り輝く文明と純粋な礼楽の終始一貫した正統を頂くのが即ち我が国です。わが聖上におかれては聡明で賢くいらっしゃることが諸王の第一であり天稟は日・月に合致し、高い徳は神明に通じております。そして三皇の道を継承し、五帝のこころを伝えて即位なさって以来三十年に、教化の功は泰平な世上に高めることになり、政治の制度は典謨に記載されているところです。先だっての困難な時に当たって多くの困難を経ながら国家をぐらつかないようになさって、大きな気遣いを経験されつつ聖明でおられることを示しました。そうして粘り強い決断で奮発なさり、全ての法律と制度が正しく整い、宗社が安定しました。ここに死に瀕していた危機を引き戻し盤石の上に置くことになり国中が平穏になり、誤った気運をなくし平和な気運が強化され、さらに加えて弘業を広げることになりました。また教化の政治が旺盛で、独立の基盤を保ち自主の権利を公使することになり、これは天の助力が緻密であることを示し、国家の運命が継続される好機です。万国公法を注意して調べてみると『各国の自主はその意思によって自ら進んで尊号を打ち立てる。こうして自分の国の百姓が推戴するだけであるなら権威がないのだが、他国に承認させなければならない。』とありました。その下の説明文には『ある国が王なり皇帝を呼称する時はその国がまず承認し、他国は後に承認する。』とありました。そもそも尊号は我が国にあるのであるから自立するものであり、承認することは他人にあるのだから権威がないということです。しかし他人に権威がないから我々の自主権を廃止すると言うことばを聞くことは出来ませんでした。このようなことのため、王や皇帝と呼称しようとする国は他国の商人を待つことなく自立して呼称を打ち立てるものです。 これはその国がまず承認し他国はその後で承認するという規則があるからです。まがいわゆる「まず承認する」ということは、「呼称をさだめる以前」ということではなく「他国より先ず」ということです。そうだとするとどうして自主的に呼称を高めることができないで、まず他国の承認を求めるものがいるでしょいうか。
いまや陛下の非常に高い徳は天のように高く、精通なさっている度は天と同様に子細であられます。ここに大きくまた広くあらせられる事として申し上げるならば、皇であると同時に、子細に申し上げるならば帝であります。伏羲氏と神農氏および堯・舜のような聖徳として漢・唐・宋の正統を頂いて今日大皇帝の位号で高くあらせられることが古今に該当する事であります。またその時期を考察すると今こそ当を得ている時であり、礼法に依拠しても当然なことです。今や天に応答して民心に順応する正しい道にあって、天がお助けになり国家を新たにしようとする天命に報いないではありえません。そして国全体の皆同じ議論を手助けし、従わないことは出来ない事なのです。ここに造化の業績をお収めになり、百姓をお育てになる衷心を自分自身にお置きにならないことはまことに欽仰なことです。・・（一文略）・・ 私共はここに敢えて沐浴斎戒して共に来たり、同じ声で仰ぎ見つつ訴えます。謹んで願うことは、速やかに許諾なさり美しい法を挙行なさいませ。これを千万遍お願いしつつ、畏れ多くも敢えて申し上げます。」
以上のとおりであった。ところが国王は既に黙諒しておられたにもかかわらず、
「先に既に朕の意志を述べて置いた。またここに互いに集まって意見を述べている。まことにまだ分かっていないようである。これは必ず従えない事である。それをいつまでも煩請することはまだは穏当を理解していないのである」
との批旨を下したのだが、暗に儀式的な秩序を履むことを望んでおられるようなので、沈・議政以下百僚は均しくその意を心に留め、同日再請、三請を重ね、一方ではその着手準備の一端として「このような重様な儀式に正任大臣を置いていないのは欠点である、との名をもって閣臣の大更迭を行った(別項に詳記す)。翌二日には更に前日の如く五回まで懇請し続いてその翌三日にはまた再度奏請し前後十回を重ねることになった。その最終の䟽文は次の通り。
「伏して以みるに臣等謹んて公法を按するに曰く欧州各国の皇帝君主位は平行に居ると云ふ然れ共東西洋有国の位号爰に異なり習尙の同からさる古より然り況んや彼の西欧の書は文を同ふせす其皇帝の号君主の稱皆な是れ譯傳して音に擬準するものなり意義は則ち同しと雖も而字音は則ち異なり又奚そ必す我か東亞の美号を捨てゝ而彼西欧の慣習を援かんや近日巷議に外国或は尊奉の後に承認せずと疑ふものあれ共此れ萬国通行の公法を知らざるものなり臣等謹んて按するに萬国公法に曰ふあり各国自主なる者隨意尊号を自立すべしと故に在昔俄羅斯国彼得第一の初めて帝号を稱するや普魯士荷蘭先つ之を認めて而他国後ちに之を認む其後法蘭西の奈波崙第一奧地利の富蘭斯第二の帝と稱する人の之れを沮むなし此れ皆自主の權を以て任意号を建て他国従つて之れを認む寔に公法に遵ふものなり今陛下自主の權を以て亦隨意に行ふと云はゝ則ち締盟各国以て永く和好の誼を敦ふし孰れか後先して之れを認めざらんや況んや東亞の大�羚颪汎�本と皆な此の号あり但我か邦は則ち今に迄て未た擧らさるもの多くは局面に關するあるなり此れ擧国の民臣誠を殫し力を竭し惟た勤進を知つて而已むべからさるものあり伏して願くは陛下亟かに允兪の旨を降し克く天心に協ひ以て人の願に従はん事を云々」
〈＊韓訳から私訳〉
「伏して思いますのに臣らが謹んで公法を探ってみますと『欧州各国の皇帝と君主の位は平等である』となっております。しかしながら東西洋各国の位号はこれとは異なっています。慣習と風俗が同様ではない例からそうなります。ましてやあの 西欧諸国の書は文字が同じでないため、その皇帝の称号、君主の称号はすべてこれが翻訳され伝えてくることの擬制音となって来たことです。すなわち意味は同じだ言っても字音は相違します。またどうして間違いなく我が東洋の美号を捨てて彼ら西洋の慣習を受容しなければならないでしょうか。最近世の中に外国式の称号を進奉するなら受け入れることが出来ないと言うものがあるが、これは万国に通用される公報を知らないのである。我らは謹んで参考にするのであるが、万国公法でいうところがあります。各国が自主だと言うことは、言葉通り尊号を自己自らが打ち立てると言うことです。こうしてかつてロシア・ピヨートル一世が初めて帝号を称し、プロシア、ネーデルランドが皆先ずこれを承認し、そして他の国々が続いてこれを承認しました。その後フランスのナポレオンがまず第一に、オーストリアのプランス第二に帝を称したのだが、他の者たちがこれをくい止めませんでした。これはすべて自主権をもって任意に号を改め、他の国々がこの称号を承認する事は全く公法に遵守することです。今陛下が自主権をもってやはり自国の意向に従い施行するとすれば、即ち同盟を結ぶ各国たちが、今後親のよしみを厚くし皆が前後してこの尊号を承認しないでしょうか。まして東洋の大清国と日本がみなこのような号を持っています。ただ我が国が今までまだ差し上げていないことは多くは国民に関係することがありました。この問題は百姓であったものが挙国的にひたすら位号を勤進することを認識し真心を尽くしこの運動を継続する事が必要だと考えます。
伏して祈りますことは、陛下におかれては直ちに許可するとの批旨をくだし天意に従い百姓の所願に従ってください。」
既にこのように実に十回の上疏を重ねることになっているので、国王はここにおいては下民のもろもろの思いを止めることはできないとの考えられ、初めてここに次の批旨を下し、下民の願いを嘉納されることになった。その詔に曰く、
「朕か否徳を以て臨御する三十四載時の多難に遭ひ竟に万古未た有らさる所の変あり且つ治は志と徯たす憂虞目に溢る自ら思惟する毎に塊汗背に浹し今莫大の典を以て諸れを称さるの地に擬す縉紳牘を具て而請ひ大臣筵に登つて請ひ六軍万民閤に伏して請ふ上下相持し歇泊期なし大同の情終に孤くべからず商量を積費し玆に已むを得ず勉めて此の大事に従ふ宜しく其礼儀を斟酌して而行ふへきなり」
〈＊韓訳を私訳〉
「朕の不徳にもかかわらず即位以来三十四年時局に多くの困難に遭遇し、ついに万古にかつてなかった兵乱があったのだが、また治国は思いの通りにはならず様々な憂いが目前にあふれたのだが、自ら思うときはいつも汗が背中を濡らし、いまこの上なく強力な法であってもこのすべての問題を解決することは出来ないほどに至った。縉紳たちは文章を整え疏請しており、大臣たちはむしろを敷いた席を広げ、身を伏せて請願し、六軍万民が闕門の前に伏せて請願し、上下が必死に疏願しており、百姓たちの大同和合の精書を見る時、朕は心細くはなくなった。そして考えを重ねた末にここに余儀なくこの大事に従うことにするので当然その礼義を推し測り施行しなければならないのである。」
これより先、宮内府は一早く皇帝受命壇を南別宮に建設しつつあり、先月末より急に人夫数百名を増し、昼夜工役を監督しその速成を促され、陰暦十二日(明七日)を期して竣工させる、との事である。また陰暦九月十七日(陽暦十月十二日)をは同宮においていよいよ称号式を挙行されると仰せ出された。その当日における儀式だといって伝えられるところよれば、
一, 称号式の当日は百官悉く金冠朝服を着すべき事
二, 士・庶人の衣制を変更し、長袖・周衣・鶴装・革帯を採用し、この衣制に明確にならう事
三, 各部の衣制を変更し、尚書侍��中書舍人を設け、協弁参書官局長などを廃止する事
四, 律暦を改定し服色を変更する事
と言う。この儀がその筋に起っている事はあながち虚説ではないようだ。しかしながら、その内ある一、二件の外は、この短期日内にこれを実行できるかどうかは甚だ疑わしい事実である。おそらくは礼服として旧制の衣冠を用いる位に過ぎないであろう。
国王は既に皇帝号を宣称した。後宮、東宮がどうしてこれに釣り合わなくてよいであろうか。そこで掌礼院卿・金永寿は奏請して、同十七日(陽十二日)をもって故・閔后を冊して皇后に、王太子を冊して皇太子に、同十九日(陽暦十四日)をもって王太后に位号を進奉し、王太子妃を皇太子妃に冊することでその裁可を得た。そしてこの尊号宣称嘉納後における人民の反応に関してはまだ何等の変化も伝えられていない。
官吏進退
一. 外部協弁・高永喜（コヨンフィ）は先月二十五日に学部協弁となり、同日特命全権公使・兪箕煥（ユギファン）がその後を継いだ。
一. 仁川監理・李在世は先月十九日依願免官となり、同日仁川府尹・姜善錫がその後を継いだ。
一. 平安南道の観察使・李完用（イワニョン）は先月二十二日依願免官となり、従二品・趙民熙が先月二十六日をもってその後を継ぎ、李完用は二十八日をもって中枢院一等議官に任ぜられた。また従一品・申箕善（シンギソン）は先月二十八日をもって中枢院副議長に任ぜられた。
一. 侍衛大隊長参領・趙東潤は親衛第一聯隊第三大隊長に、親衛第一聯隊第三大隊長参領・張基濂は親衛第五大隊長に、親衛第五大隊長参領・金在殷は侍衛大隊長に、申性均は黄州地方隊大隊長にいずれも先月二十六日任命された。
一. 従二品・成岐運は駐箚欧州六国公使館一等参書官に、六品・高永鎮は同三等参書官に、いずれも先月二十三日に任命があった。
一. 議政府贊政・朴定陽を度支部大臣に、宮内府特進官・李鍾健を副将とし、また軍部大臣に宮内府特進官・趙秉式を法部大臣に、議政府贊成・趙秉稷を学部大臣に、侍従院卿・鄭洛鎔を農商工部大臣に、大医院卿・閔泳奎を宮内府大臣に、いずれも去る一日任命があった。また前・法部大臣・韓圭卨（ハンギュソル）は中枢院一等議官に、前・度支部大臣・沈相薫および農商工部大臣・李允用はいずれも議政府贊政に転じ、前・宮内府大臣・李載純は単に勅任官三等に敍せられた。
ここで新任大臣の略歴を挙げると
朴定陽（パクチョンヤン）は潘南（＊現・羅州市潘南面）より身を起し、慶尚道暗行御史、翰林院学士、吏曹参議大司成、吏曹参判都承旨、駐米公使戸曹判書となり金宏集内閣の時に学部大臣となり、また昨春より内部大臣となり、時には総理大臣を兼任し去年の十二月まで勤続し、その後議政府贊政に転じた。
李鍾健（イチョンゴン）は元来武官を以て身を起し、平安兵使、捕盗大将、別営使、刑曹判書を経て昨年六月警務使となり、十一月宮内府特進官となった。
趙秉式は刑曹参判より忠清監司に転じ、明治二十二年頃には督弁交渉事務大臣となり、また咸鏡道監司となり、例の所謂防穀令を発したもので、内政改革以後は掌礼院卿となっていたが、昨年十二月韓圭卨に代って法部大臣となり、間もなく疑獄を起して自ら敗れ、同月退けられて後宮内府特進官に転じた。
趙秉稷（チョビョンジク）は例の元山防穀令の時、閔種黙に代って外衙門督弁となり、外部農商工部大臣を経て議政府贊政となった。
鄭洛鎔（チョンナギョン）は統制使捕、盗大将総戎使、刑曹判書、禁衛大将後営使の重任を経たが、内政改革後は差したる重任に挙げられた事はなく、昨年わずかに漢城府判尹に任じられていたが、当時病と称して職を取った日は少なく、その後侍従院卿に転じた。
閔泳奎（ミンヨンギュ）は閔泳駿と叔姪の間であり、故・閔后の外戚であった。かつて京畿監司水原留守、吏曹判書、掌礼院卿を歴任し、その後閔応植の後を継いで大医院卿となっていた。閔派中最も清廉との評判があると言う。
一. 一品李鎬俊は先月三十日中枢院議長に任ぜられ、議政府議政・沈舜沢は奉常司都提調に、掌礼院卿・金奎弘は侍従院卿に、正二品・趙東冕は大医院卿に、弘文大学士・金永寿は掌礼院卿に、侍従院卿・金奎弘、正二品・李𨯶永は殯殿都監提調に任ぜられた。
一. 閔泳綺が警務使に転じて以来久しく欠員となっていた軍部協弁は、去る三日参将・朱錫冕に任命があった。氏は先に閔泳煥がロシアに使するに当って宮内府主事として随行し帰国の後侍従等を経て今日に至ったものである。
雑件
一. 露国財務官・アレキセイエフおよび書記官フイルドの両氏は、先月三十日入京した。当国政府の依頼により当国の財政および関務一切の事情を看検・指揮する目的で来たものと言って目下露公使より朝鮮政府へ交渉中と言う。
一. 厳（オム）・尚宮は出産前に慶運宮対門のところに一屋を構え別居しているが、現に母子とも健全との事であるのでまもなく再び後宮に出入して殊更寵権を弄することになるのであろうとの噂。
一. 南・内部は去る三日、何者かによって各門あるいは通街要処の場所に榜示（＊公示文の掲示）をされて、厳しい弾劾を受けた。その榜示には、
「南氏が内部大臣として多くの売官をなして自ら資産を増やしている事。また軍部大臣署理中に地方の将官に多く門下の士、あるいは因縁のあるものを挙げて私恩を売っている」
とある。
一. 木浦、甑南浦（＊鎮南浦）居留地規則制定に関する使臣会議を先月中旬より当公使館に開設し、数回会合の後二十三日をもって会議は結了し、修正案について目下「外部」と交渉中である。また本月十五日「外部」において調印となるはずである。
一. 先月十四日軍部は親衛隊各大隊に訓令を与えて、第一・第二大隊よりは各一百名の兵を出し、第四・第五大隊よりもまた各一百名を出し、露国式訓練のため第一・第二大隊は午前七時より九時まで、第四第・五大隊は午後二時より四時まで軍部門前において習練させると伝え、露国士官三名、下士十名をもってその教師に充て、同月十六日より開始する計画のところ、兵卒中に多く逃走するものがいて実施の運びに至っていないと言う。
一. 今回度支部の奏請により、予備金中より宣禧宮（ソンヒグン）移建費増額、慶運宮建築費増額、義和宮留学資金増額、外三件に対し二十一万三千九百八十二円九十四銭九厘を支出した。
以上具報に及びます。 敬具
明治三十年十月六日
京城 加藤 弁理公使
大隈 外務大臣 宛
한국사데이터베이스 (history.go.kr)
012_0030_0140 駐韓日本公使館記録 12巻 参. 本省往復報告 (14) [宮廷録事•官吏進退•雑件]
文書題目 (14) [宮廷録事•官吏進退•雑件]
文書番号 報告第三二号,第九六号(京城),第九七号(仁川),第九八号(釜山),第九九号(元山)
発信日 明治三十年十月六日 ( 1897年 10月 06日 )
発信者 京城 加藤 弁理公使
受信者 大隈 外務大臣
(14) [宮廷録事•官吏進退•雑件]
報告第三二号,第九六号(京城),第九七号(仁川),第九八号(釜山),第九九号(元山)
宮廷録事
当国王が今回大君主の称号を廃し皇帝号を宣揚する事になった事情をはっきりさせると、もともと国王は皇帝という称号を無上の栄えとし、内心これを受ける事にしきりに心をひかれていたのだが、一方その意を迎えて数年前より進号の上奏をしたものがまた一人では止まなかった。ただその都度常に種々の事情があってまだこれを果すことが出来ていなかったわけである。近頃になってその熱が再燃して、秘かに嬖臣（へいしん ＊国王お気に入りの臣下）である宮内府特進官・趙秉式、農商工部協弁・権在衡、法部協弁・兪箕煥らに内命をふくませ運動させられたことがあったので、趙秉式（チョビョンシク）などは主として進号（皇帝の称号への宣揚）上奏者の勧誘に勉め、その結果として先月二十一日には前・監察・李教弼、内部主事・張志淵など及び前・侍御・宋秀晩並びに前・注書・安衡鎮などをはじめとして、慶尚南北道幼学・姜懋馨などをその次とし、ついで二十四日には農商工部協弁・権在衡、二十五日には外部協弁・兪箕煥及び忠清道幼学・沈魯文など、二十八日には前・侍読・金斗秉、致仕奉賀・金在顕たちの廷臣及び儒生などの応援上疏となり、二十九日には次いで成均館学生に及び、館学儒生進士・李秀丙など同館学生の代表の上疏となり、文蔭武（＊蔭は蔭叙制（ウムソジェ ＊上流層の子孫を科挙の試験によらず特別に官吏に採用する制度）の出身者）の三班が均しく中枢院に会合してそれぞれ約する所があった。本月二日においては前・承旨・金善柱などや慶尚道幼学・郭善坤などの縉紳（チーンシン ＊身分が高く上品な人）による上疏、及び立廛市民（イプチョンシミン ＊六注比廛＜ユクチュビジョン＞の一つである線廛＜ソンジョン＞を言う言葉。六注比廛は朝鮮時代に、専売特権と国役負担の義務を負うソウルの六つの市廛＜シジョン＞で線廛、綿布廛、綿紬廛、紙廛、紵布廛、内外魚物廛の六種を言う）、前知事・丁載昇などの市民による上疏となり、なかでも各廛の市民に至ってはその数幾万人、同日午後に手に藁席を抱き、頭に素帽を戴き、慶運宮前に参上して跪き大声で懇請するのであった。これに対し国王はわざと謙讓をよそおい、上疏ごとに允可（＊許可）の批旨を下されはしなかったが、大勢がここに至って既に定まったので沈・議政は先月三十日に国王に稟請の事がある称して参政・贊政・参贊。掌礼院卿を率いて宮殿に詣り「皇帝の尊号をお受けになってもらいたい」と奏請したのだが、ここに国王と稟請者との間に種々の魂膽があり機軸が急に成熟したのでその翌十月一日に議政・沈舜澤、特進官・趙秉世など百官を率い正式に進号の上奏を呈した。その文に曰く、
臣等前席に於て誠を積み罄陳して聖心槪せず靳旨乃ち降る誠に徊徘欝を齎らすの至りに勝へさる所以なく猗たる我か邦国を開く五百年聖神相繼き重凞累りに洽し禮樂典章衣冠制度漢唐に損益す宋帝一たひ明代を以て準となせば則ち郁文醇禮の直接一統となれり惟ふに我か邦是れ耳我か聖上聰睿智勇百王に卓冠し天姿兩儀に合し玄��神明に通す三皇の道を述へ五帝の心を傳へ臨御する三紀功化は則ち郅隆の由を尙ふ所なり治法は則ち典謨の紀載する所なり曩きに艱會多難に値ひ以て邦国の殷憂を固ため以て聖明の乾斷廓奮を啓き百度惟れ貞に宗社頼て安く綴旒を轉して盤泰を措き方隅砥平氛祲を銷して絪緼を凝らし弘業を重恢にし治代興隆獨立の基を建て自主の權を行ふ是れ天眷宥密景命迓続の會なり按するに萬国公法に云へるあり各国自主なるもの隨意に尊号を自立し己れの民をして推戴せしむべし但し權の他国をして之れを認めしむるなきのみ下文に某国の王と稱し皇と稱するの時某国先つ之れを認め他国後ちに之を認むるの語あり夫れ尊号我れにあり故に自立と曰ふ之れを認む人にあり故に權なしと曰ふ未た人に權なきの故を以て我か自立の權を廢するを聞かさるなり是を以て王と稱し皇と稱するの国他国の承認を待たずして自ら尊号を立つ某国先つ之を認めて他国後ちに之れを認むの例ある所以なり其の先つ認むと言ふ所以のものは立号の先にあらずして他国に先するの謂なり則ち安ぞ自ら尊号を立てずして而先つ他国の認を求むる者あらんや今陛下巍蕩の��天と大を同ふし通達の道天と諦を同ふす大を以てして言へは皇なり諦を以てして言へは帝なり羲農堯舜の聖を以て漢唐宋明の統に接す惟ふに今日大皇帝の位号を尊ひ古に準し今に合す其時を考ふれは則ち可り禮に據るも亦当さに然るべし天に應し人に順ふの義にあつて維新の命を眷顧せらる容さに仰て答へさるべからさるなり擧国大同の義勉めて循はさるべからさるなり乃造化の跡斂て而無きか如く冲牧の衷聖自ら居らず固より欽仰すと雖も而古昔帝王肹蠻の治挹遜の規未た曾て咈而讓を受けず居らさるの文あらず用て敢て齋沐相率齊聲仰き籲ふ伏て願くは亟かに兪音を賜へ賁章を擧くるを獲ん事を千萬顒祝す惶恐敢て奏す
〈＊韓訳から私訳〉
「謹んで申し上げます。記憶しておりますところでは、徳は天地と同じものを皇帝と言いますが、三皇と五帝は功績と徳行が皇天と合致しているので尊くまた称讃するものです。徳が申し分なく高ければ地位と呼称も同時に高いものであり、功労がこの上なく大きく思われるのです。 この上なく大きく思われ限りなく尊ぶ例としてこの上なく高い呼称を掲げることは、即ち聖帝と明王がみな同様に経験した事であって天理と人心にはずれないことです。このような理由で臣たちが先日真心を込めて申し上げたことなのですが、聖上におかれては御心にお留めなさらず許諾を後回しにされたのですが、まことにどうすればよいかわからず息苦しいこと限りない思いです。
ああ、我が国が開国して以来五百年において聖神の国王が継承し光り輝く業績が十分となりました。こうして礼楽の典章と衣冠の制度を漢・唐・•宋の皇帝とほとんど同じにし、終始一貫して明国時代を基準にしました。そのため光り輝く文明と純粋な礼楽の終始一貫した正統を頂くのが即ち我が国です。わが聖上におかれては聡明で賢くいらっしゃることが諸王の第一であり天稟は日・月に合致し、高い徳は神明に通じております。そして三皇の道を継承し、五帝のこころを伝えて即位なさって以来三十年に、教化の功は泰平な世上に高めることになり、政治の制度は典謨に記載されているところです。先だっての困難な時に当たって多くの困難を経ながら国家をぐらつかないようになさって、大きな気遣いを経験されつつ聖明でおられることを示しました。そうして粘り強い決断で奮発なさり、全ての法律と制度が正しく整い、宗社が安定しました。ここに死に瀕していた危機を引き戻し盤石の上に置くことになり国中が平穏になり、誤った気運をなくし平和な気運が強化され、さらに加えて弘業を広げることになりました。また教化の政治が旺盛で、独立の基盤を保ち自主の権利を公使することになり、これは天の助力が緻密であることを示し、国家の運命が継続される好機です。万国公法を注意して調べてみると『各国の自主はその意思によって自ら進んで尊号を打ち立てる。こうして自分の国の百姓が推戴するだけであるなら権威がないのだが、他国に承認させなければならない。』とありました。その下の説明文には『ある国が王なり皇帝を呼称する時はその国がまず承認し、他国は後に承認する。』とありました。そもそも尊号は我が国にあるのであるから自立するものであり、承認することは他人にあるのだから権威がないということです。しかし他人に権威がないから我々の自主権を廃止すると言うことばを聞くことは出来ませんでした。このようなことのため、王や皇帝と呼称しようとする国は他国の商人を待つことなく自立して呼称を打ち立てるものです。 これはその国がまず承認し他国はその後で承認するという規則があるからです。まがいわゆる「まず承認する」ということは、「呼称をさだめる以前」ということではなく「他国より先ず」ということです。そうだとするとどうして自主的に呼称を高めることができないで、まず他国の承認を求めるものがいるでしょいうか。
いまや陛下の非常に高い徳は天のように高く、精通なさっている度は天と同様に子細であられます。ここに大きくまた広くあらせられる事として申し上げるならば、皇であると同時に、子細に申し上げるならば帝であります。伏羲氏と神農氏および堯・舜のような聖徳として漢・唐・宋の正統を頂いて今日大皇帝の位号で高くあらせられることが古今に該当する事であります。またその時期を考察すると今こそ当を得ている時であり、礼法に依拠しても当然なことです。今や天に応答して民心に順応する正しい道にあって、天がお助けになり国家を新たにしようとする天命に報いないではありえません。そして国全体の皆同じ議論を手助けし、従わないことは出来ない事なのです。ここに造化の業績をお収めになり、百姓をお育てになる衷心を自分自身にお置きにならないことはまことに欽仰なことです。・・（一文略）・・ 私共はここに敢えて沐浴斎戒して共に来たり、同じ声で仰ぎ見つつ訴えます。謹んで願うことは、速やかに許諾なさり美しい法を挙行なさいませ。これを千万遍お願いしつつ、畏れ多くも敢えて申し上げます。」
以上のとおりであった。ところが国王は既に黙諒しておられたにもかかわらず、
「先に既に朕の意志を述べて置いた。またここに互いに集まって意見を述べている。まことにまだ分かっていないようである。これは必ず従えない事である。それをいつまでも煩請することはまだは穏当を理解していないのである」
との批旨を下したのだが、暗に儀式的な秩序を履むことを望んでおられるようなので、沈・議政以下百僚は均しくその意を心に留め、同日再請、三請を重ね、一方ではその着手準備の一端として「このような重様な儀式に正任大臣を置いていないのは欠点である、との名をもって閣臣の大更迭を行った(別項に詳記す)。翌二日には更に前日の如く五回まで懇請し続いてその翌三日にはまた再度奏請し前後十回を重ねることになった。その最終の䟽文は次の通り。
「伏して以みるに臣等謹んて公法を按するに曰く欧州各国の皇帝君主位は平行に居ると云ふ然れ共東西洋有国の位号爰に異なり習尙の同からさる古より然り況んや彼の西欧の書は文を同ふせす其皇帝の号君主の稱皆な是れ譯傳して音に擬準するものなり意義は則ち同しと雖も而字音は則ち異なり又奚そ必す我か東亞の美号を捨てゝ而彼西欧の慣習を援かんや近日巷議に外国或は尊奉の後に承認せずと疑ふものあれ共此れ萬国通行の公法を知らざるものなり臣等謹んて按するに萬国公法に曰ふあり各国自主なる者隨意尊号を自立すべしと故に在昔俄羅斯国彼得第一の初めて帝号を稱するや普魯士荷蘭先つ之を認めて而他国後ちに之を認む其後法蘭西の奈波崙第一奧地利の富蘭斯第二の帝と稱する人の之れを沮むなし此れ皆自主の權を以て任意号を建て他国従つて之れを認む寔に公法に遵ふものなり今陛下自主の權を以て亦隨意に行ふと云はゝ則ち締盟各国以て永く和好の誼を敦ふし孰れか後先して之れを認めざらんや況んや東亞の大�羚颪汎�本と皆な此の号あり但我か邦は則ち今に迄て未た擧らさるもの多くは局面に關するあるなり此れ擧国の民臣誠を殫し力を竭し惟た勤進を知つて而已むべからさるものあり伏して願くは陛下亟かに允兪の旨を降し克く天心に協ひ以て人の願に従はん事を云々」
〈＊韓訳から私訳〉
「伏して思いますのに臣らが謹んで公法を探ってみますと『欧州各国の皇帝と君主の位は平等である』となっております。しかしながら東西洋各国の位号はこれとは異なっています。慣習と風俗が同様ではない例からそうなります。ましてやあの 西欧諸国の書は文字が同じでないため、その皇帝の称号、君主の称号はすべてこれが翻訳され伝えてくることの擬制音となって来たことです。すなわち意味は同じだ言っても字音は相違します。またどうして間違いなく我が東洋の美号を捨てて彼ら西洋の慣習を受容しなければならないでしょうか。最近世の中に外国式の称号を進奉するなら受け入れることが出来ないと言うものがあるが、これは万国に通用される公報を知らないのである。我らは謹んで参考にするのであるが、万国公法でいうところがあります。各国が自主だと言うことは、言葉通り尊号を自己自らが打ち立てると言うことです。こうしてかつてロシア・ピヨートル一世が初めて帝号を称し、プロシア、ネーデルランドが皆先ずこれを承認し、そして他の国々が続いてこれを承認しました。その後フランスのナポレオンがまず第一に、オーストリアのプランス第二に帝を称したのだが、他の者たちがこれをくい止めませんでした。これはすべて自主権をもって任意に号を改め、他の国々がこの称号を承認する事は全く公法に遵守することです。今陛下が自主権をもってやはり自国の意向に従い施行するとすれば、即ち同盟を結ぶ各国たちが、今後親のよしみを厚くし皆が前後してこの尊号を承認しないでしょうか。まして東洋の大清国と日本がみなこのような号を持っています。ただ我が国が今までまだ差し上げていないことは多くは国民に関係することがありました。この問題は百姓であったものが挙国的にひたすら位号を勤進することを認識し真心を尽くしこの運動を継続する事が必要だと考えます。
伏して祈りますことは、陛下におかれては直ちに許可するとの批旨をくだし天意に従い百姓の所願に従ってください。」
既にこのように実に十回の上疏を重ねることになっているので、国王はここにおいては下民のもろもろの思いを止めることはできないとの考えられ、初めてここに次の批旨を下し、下民の願いを嘉納されることになった。その詔に曰く、
「朕か否徳を以て臨御する三十四載時の多難に遭ひ竟に万古未た有らさる所の変あり且つ治は志と徯たす憂虞目に溢る自ら思惟する毎に塊汗背に浹し今莫大の典を以て諸れを称さるの地に擬す縉紳牘を具て而請ひ大臣筵に登つて請ひ六軍万民閤に伏して請ふ上下相持し歇泊期なし大同の情終に孤くべからず商量を積費し玆に已むを得ず勉めて此の大事に従ふ宜しく其礼儀を斟酌して而行ふへきなり」
〈＊韓訳を私訳〉
「朕の不徳にもかかわらず即位以来三十四年時局に多くの困難に遭遇し、ついに万古にかつてなかった兵乱があったのだが、また治国は思いの通りにはならず様々な憂いが目前にあふれたのだが、自ら思うときはいつも汗が背中を濡らし、いまこの上なく強力な法であってもこのすべての問題を解決することは出来ないほどに至った。縉紳たちは文章を整え疏請しており、大臣たちはむしろを敷いた席を広げ、身を伏せて請願し、六軍万民が闕門の前に伏せて請願し、上下が必死に疏願しており、百姓たちの大同和合の精書を見る時、朕は心細くはなくなった。そして考えを重ねた末にここに余儀なくこの大事に従うことにするので当然その礼義を推し測り施行しなければならないのである。」
これより先、宮内府は一早く皇帝受命壇を南別宮に建設しつつあり、先月末より急に人夫数百名を増し、昼夜工役を監督しその速成を促され、陰暦十二日(明七日)を期して竣工させる、との事である。また陰暦九月十七日(陽暦十月十二日)をは同宮においていよいよ称号式を挙行されると仰せ出された。その当日における儀式だといって伝えられるところよれば、
一, 称号式の当日は百官悉く金冠朝服を着すべき事
二, 士・庶人の衣制を変更し、長袖・周衣・鶴装・革帯を採用し、この衣制に明確にならう事
三, 各部の衣制を変更し、尚書侍��中書舍人を設け、協弁参書官局長などを廃止する事
四, 律暦を改定し服色を変更する事
と言う。この儀がその筋に起っている事はあながち虚説ではないようだ。しかしながら、その内ある一、二件の外は、この短期日内にこれを実行できるかどうかは甚だ疑わしい事実である。おそらくは礼服として旧制の衣冠を用いる位に過ぎないであろう。
国王は既に皇帝号を宣称した。後宮、東宮がどうしてこれに釣り合わなくてよいであろうか。そこで掌礼院卿・金永寿は奏請して、同十七日(陽十二日)をもって故・閔后を冊して皇后に、王太子を冊して皇太子に、同十九日(陽暦十四日)をもって王太后に位号を進奉し、王太子妃を皇太子妃に冊することでその裁可を得た。そしてこの尊号宣称嘉納後における人民の反応に関してはまだ何等の変化も伝えられていない。
官吏進退
一. 外部協弁・高永喜（コヨンフィ）は先月二十五日に学部協弁となり、同日特命全権公使・兪箕煥（ユギファン）がその後を継いだ。
一. 仁川監理・李在世は先月十九日依願免官となり、同日仁川府尹・姜善錫がその後を継いだ。
一. 平安南道の観察使・李完用（イワニョン）は先月二十二日依願免官となり、従二品・趙民熙が先月二十六日をもってその後を継ぎ、李完用は二十八日をもって中枢院一等議官に任ぜられた。また従一品・申箕善（シンギソン）は先月二十八日をもって中枢院副議長に任ぜられた。
一. 侍衛大隊長参領・趙東潤は親衛第一聯隊第三大隊長に、親衛第一聯隊第三大隊長参領・張基濂は親衛第五大隊長に、親衛第五大隊長参領・金在殷は侍衛大隊長に、申性均は黄州地方隊大隊長にいずれも先月二十六日任命された。
一. 従二品・成岐運は駐箚欧州六国公使館一等参書官に、六品・高永鎮は同三等参書官に、いずれも先月二十三日に任命があった。
一. 議政府贊政・朴定陽を度支部大臣に、宮内府特進官・李鍾健を副将とし、また軍部大臣に宮内府特進官・趙秉式を法部大臣に、議政府贊成・趙秉稷を学部大臣に、侍従院卿・鄭洛鎔を農商工部大臣に、大医院卿・閔泳奎を宮内府大臣に、いずれも去る一日任命があった。また前・法部大臣・韓圭卨（ハンギュソル）は中枢院一等議官に、前・度支部大臣・沈相薫および農商工部大臣・李允用はいずれも議政府贊政に転じ、前・宮内府大臣・李載純は単に勅任官三等に敍せられた。
ここで新任大臣の略歴を挙げると
朴定陽（パクチョンヤン）は潘南（＊現・羅州市潘南面）より身を起し、慶尚道暗行御史、翰林院学士、吏曹参議大司成、吏曹参判都承旨、駐米公使戸曹判書となり金宏集内閣の時に学部大臣となり、また昨春より内部大臣となり、時には総理大臣を兼任し去年の十二月まで勤続し、その後議政府贊政に転じた。
李鍾健（イチョンゴン）は元来武官を以て身を起し、平安兵使、捕盗大将、別営使、刑曹判書を経て昨年六月警務使となり、十一月宮内府特進官となった。
趙秉式は刑曹参判より忠清監司に転じ、明治二十二年頃には督弁交渉事務大臣となり、また咸鏡道監司となり、例の所謂防穀令を発したもので、内政改革以後は掌礼院卿となっていたが、昨年十二月韓圭卨に代って法部大臣となり、間もなく疑獄を起して自ら敗れ、同月退けられて後宮内府特進官に転じた。
趙秉稷（チョビョンジク）は例の元山防穀令の時、閔種黙に代って外衙門督弁となり、外部農商工部大臣を経て議政府贊政となった。
鄭洛鎔（チョンナギョン）は統制使捕、盗大将総戎使、刑曹判書、禁衛大将後営使の重任を経たが、内政改革後は差したる重任に挙げられた事はなく、昨年わずかに漢城府判尹に任じられていたが、当時病と称して職を取った日は少なく、その後侍従院卿に転じた。
閔泳奎（ミンヨンギュ）は閔泳駿と叔姪の間であり、故・閔后の外戚であった。かつて京畿監司水原留守、吏曹判書、掌礼院卿を歴任し、その後閔応植の後を継いで大医院卿となっていた。閔派中最も清廉との評判があると言う。
一. 一品李鎬俊は先月三十日中枢院議長に任ぜられ、議政府議政・沈舜沢は奉常司都提調に、掌礼院卿・金奎弘は侍従院卿に、正二品・趙東冕は大医院卿に、弘文大学士・金永寿は掌礼院卿に、侍従院卿・金奎弘、正二品・李𨯶永は殯殿都監提調に任ぜられた。
一. 閔泳綺が警務使に転じて以来久しく欠員となっていた軍部協弁は、去る三日参将・朱錫冕に任命があった。氏は先に閔泳煥がロシアに使するに当って宮内府主事として随行し帰国の後侍従等を経て今日に至ったものである。
雑件
一. 露国財務官・アレキセイエフおよび書記官フイルドの両氏は、先月三十日入京した。当国政府の依頼により当国の財政および関務一切の事情を看検・指揮する目的で来たものと言って目下露公使より朝鮮政府へ交渉中と言う。
一. 厳（オム）・尚宮は出産前に慶運宮対門のところに一屋を構え別居しているが、現に母子とも健全との事であるのでまもなく再び後宮に出入して殊更寵権を弄することになるのであろうとの噂。
一. 南・内部は去る三日、何者かによって各門あるいは通街要処の場所に榜示（＊公示文の掲示）をされて、厳しい弾劾を受けた。その榜示には、
「南氏が内部大臣として多くの売官をなして自ら資産を増やしている事。また軍部大臣署理中に地方の将官に多く門下の士、あるいは因縁のあるものを挙げて私恩を売っている」
とある。
一. 木浦、甑南浦（＊鎮南浦）居留地規則制定に関する使臣会議を先月中旬より当公使館に開設し、数回会合の後二十三日をもって会議は結了し、修正案について目下「外部」と交渉中である。また本月十五日「外部」において調印となるはずである。
一. 先月十四日軍部は親衛隊各大隊に訓令を与えて、第一・第二大隊よりは各一百名の兵を出し、第四・第五大隊よりもまた各一百名を出し、露国式訓練のため第一・第二大隊は午前七時より九時まで、第四第・五大隊は午後二時より四時まで軍部門前において習練させると伝え、露国士官三名、下士十名をもってその教師に充て、同月十六日より開始する計画のところ、兵卒中に多く逃走するものがいて実施の運びに至っていないと言う。
一. 今回度支部の奏請により、予備金中より宣禧宮（ソンヒグン）移建費増額、慶運宮建築費増額、義和宮留学資金増額、外三件に対し二十一万三千九百八十二円九十四銭九厘を支出した。
以上具報に及びます。 敬具
明治三十年十月六日
京城 加藤 弁理公使
大隈 外務大臣 宛
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