18970628 NO5049 施政一班•任免一束•雑件
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012_0030_0100 駐韓日本公使館記録 12巻 三.. 本省往復報告 (10) [施政一班•任免一束•雑件]
文書題目 (10) [施政一班•任免一束•雑件]
文書番号 探聞報告第二八号,第七六号(京城),第七七号(仁川),第七八号(釜山),第七九号(元山)
発信日 明治三十年六月二十八日 ( 1897年 06月 28日 )
発信者 京城 加藤 弁理公使
受信者 大隈 外務大臣
(10) [施政一班•任免一束•雑件]
探聞報告第二八号,第七六号(京城),第七七号(仁川),第七八号(釜山),第七九号(元山)
施政一班
さきに内部大臣・南廷哲より儀制及び歴史編纂に関する上疏をしたところ御裁可があり、このごろ史礼委員というものが若干置かれた。
一.近年一の流行的である伏闕上疏（ふっけつじょうそ）というものは、実際には種々の弊害があり、今後も続く恐れがあるので、先月二十六日詔勅を下してこれを禁止された事は前報告に記載して置いたのだが、その後例の上疏者なるものは、この詔勅があるにもかかわらず依然疏庁を構え、あるいは党派を集め、あるいは費用を徴收し全くこれまでのやり方を改めないので、去る二十一日また次の詔勅でもってこれを厳禁された。
「（前略）先日の勅諭はまことに足早に下され、事実を明らかにし民心をやすんずることによって偽りの説を絶たせるために下したものである。それなのについにやめることなく互いに競って投書し、聴聞の迷惑を重ね、京��に弊害を残している。これが果して国の為めにするものの心と言えるのか。しばしば戒めているのであるから当然このようなことがあってはならない。もしまた前習を引き継いで一向に止めようとしない場合は縉紳であろうとも処断を待つ必要はなく、直ちに厳しく処断せよ。先ず内部より警務庁に申し伝え詳しくすべてを榜示し、それでまた現れたなら榜示に従って禁止せよ。」
そして警務庁は現にこれらの人物を束縛し、例の上疏者にやや顏色を失わせることになっている。
一. 本年三月十六日付勅令第十六号を以て内地郵便規則を発布されたが、その結果として該細則九十二条制定せられ、去る十五日付農商工部令第十四号を以って発布された。
一. 従来軍部に軍医の設置がなかったのだが、最近になって新設せられ、去る十六日六名の任命があった。
任免一束
一. 前項に記載した史礼所委員に、内部大臣・南廷哲、副員に三品・李雅元、南廷弼、金演の三氏が去る十四日いずれも任命された。
一. 法部刑事局長・兪箕煥は去る十六日無任所全権公使に任ぜられ、その後任に内部三書官・李忠求が去る二十一日任ぜられた。
一. 前項に記載した軍医には李基元・崔斗鉉・�脩�寿・許��・郭鍾龜・鄭錫永が任命されいずれも判任六等に叙せられた。
一. 李・外部大臣はさきに露国士官傭聘問題に反対したのだが、その後再三病と称して辞表を呈出していたのだが、去る二十三日、療養の上出仕せよとの批示を以って辞表は許されなかった。もっとも同時に議政府贊政・趙秉稷に臨時署理（＊職務代理）を命ぜられた。
雑件
一. 一時議政（＊最高官庁である議政府の官僚）になるかとの評判であった沈舜沢(シムスンテク)は、御召しによって先月十九日に入闕したのだが、その後どうしたことか議政任命の御沙汰がないので、沈氏は満ち足りない気持ちが続いていた。そして結局病と称して本月上旬再び都門を出て青陽（チョンヤン ＊公州の西隣）の旧盧に帰り、その後数回その特進官としての本官をも辞したいと奏上したところ、去る二十五日御裁可があった。
一. 露国プチヤター大佐は一旦帰国の事を世間に披露した後、出発期日については何度も変更していたが、ついに去る十日陸路で仁川まで帰ったのだが、間もなくまた引き返した。聞くところによると、同人は当分の間は帰国をしないだろうとの事。
一. 李・宮内大臣は去る九月十日において各外国語学校を巡覧し、日語学校に臨んだ時は、特に生徒奨励の目的で金二十円を同校に寄付した。
一. 任じられて江原道横城（フェンソン *江原道の中部にある郡。郡の西部は京畿道に接する）に赴かこうとする郡主副尉・劉聖元に、去る十二日軍部より「横城付近は兵乱の後とかく不穏の模様があるので、もし緩急があったならば分隊司令官となって付近の各站（＊宿駅）を指揮し臨機防禦の任務に就け」との訓令を与えた。
一. 去る九日隆武亭(旧守禦庁)において観兵式が挙行されることになり、各国使臣に陪観するよう通知があったので、同日午前十時本使は公使館付武官並びに書記官・通訳官などを従え参列した。これより先き、国王におかれては、李・宮内、李・外部、沈・軍部の各大臣其他の文武官を随え既に亭内に出御があった。各国使臣の参列を待ち一同に謁を賜り、その後演習に取り掛った。最初には各一隊より二・三十人宛を選抜して器械体操を演じさせ、次に中隊運動、銃槍試合、柔軟体操をなし、最後に小隊の全距離縱隊、大隊縱隊、分列式を演じその式を終えた。軍隊は侍衛隊五個中隊で、プチヤター大佐は始終国王に侍して総指揮を司り、同隊付露国士官三名及び下士十名はその指揮監督を行った。この軍隊全般の成績についてはやや観るべきものがあったようだ。これが終わって来賓一同に洋餐の饗応があった。午後二時四十分にそれぞれ退出した。同日参列した外国使臣には、露・米・仏の三公使、英総領事、独領事及びその他公使館書記官、公使館付武官など数名。ちなみに記すと、この観兵式はプチヤター大佐の発意によったものだと言う。
この観兵式の当日、国王は時に三名の将校を近くに召して賞辞を賜っただけでなく、その後十三日には侍衛隊全隊の技術が大いに熟達したとのことで、大隊長・張基濂に、下士へ二百元、兵卒へ二百元、それぞれ分賞するよう詔を下された。
一. 国王には最近露国公使館護衛水兵五十名に一元四十銭ずつ、下士七名に四元ずつ、露語通弁十五名に五十元ずつ与えてねぎらわれた。
一. 去る二十二日、本官は日置書記官、小村外交官補を従え日語学校を訪覧した。学務局長兼外国語学校長・韓昌洙、主任教官・長島巖二��などが案内して教場に導き、読書・地理・歴史・会話並び兵式体操等の修業を順次視察しその成績を見たのだが、従来に比し大いに進步したものがあった。よって生徒に向い一場の奨励演説をなし、さらに数種の賞品を各生徒に与えた。生徒よりは日語をもって答辞を述べた。当日閔・学部大臣も出席の約束があったのだが、急に緊急公務が出来たと断って来たのだが、翌二十三日に至ってこれを訪ね生徒に金十円を賞与した。
一. 当国武官の採用については、採用法は勿論、進級法などこれを管理する体制がなく、おおむね攀援（はんえん ＊縁故で引き上げること）によっていることは従来の習榻（しゅうとう ＊習慣か）から見てはっきりしているが、甚しい場合は買官・売恩・争奪・睥睨の境に陥る例がある。現に今回任命があった地方隊参領の出処を視と次の通り。前兵使・鄭騏沢は国王、前水使・具永祖前と水使・禹箕鼎は厳尚宮、前兵使・徐廷圭は韓圭卨、前兵使・李奎曾は沈相薫、前統制使・閔泳玉は閣永綺の推薦によっており、さらに国王の嬖侍宮内府侍従・李漢膺、閔泳煥の家人・李容観もその内に加わっている。これまた情弊の一端を推知するに十分であろう。
一. 当国に於ける本年一月より五月迄の海関税は
合計三十七万一千四百二十五円四銭
にしてこれを各港並びに月割に区別すれは
一月には
仁川にでは二万九千五百三十円八十七銭、
釜山にでは五万七千四百零八円五十銭、
元山にでは三千六百零四円五十二銭
二月には
仁川にでは一万零四百四十七円八十六銭、
釜山にでは二万千七百三十九円六十銭、
元山にでは五千七百二十九円八十九銭
三月には
仁川にでは三万は千九百十二円
釜山にでは二万五千四百九十六円四十二銭
元山にでは六千七百五十二円三十二銭
四月には
仁川にでは四万九千四百五十八円七十三銭、
釜山にでは三万六千二百十六円九十七銭
元山にでは九千八百三十八円四十銭
五月には
仁川にでは四万七千二百五十円八十一銭
釜山にでは三万七千七百九十二円四十七銭
元山にでは一万千二百四十五円六十八銭
なり。
以上具報に及びます。 敬具
明治三十年六月二十八日
京城 加藤 弁理公使
大隈 外務大臣 宛
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