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2022年01月19日18:21

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「察する」に「れる・られる」が付くと〈2〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【27】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1980862166&owner_id=5019671

mixi日記2022年01月18日から

 下記の続き。
【「察する」に「れる・られる」が付くと】
https://mixi.jp/vie

 テーマサイトは下記。
【「察する」に「れる・られる」が付くとどういう形になりますか。】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12760279.html

 サジを投げたあとに、すばらしい論文が引用された。
 論文からの抜粋なんで、途中まではそのまま引用させてもらう。
 結論にあたる〈5.「察する」に搾って。〉以降の部分はアンマリなんで、書きかえさせてもらう。

===========引用開始
[ サ変動詞の活用のゆれについて ] 電子資料に基づく分析
田野村忠温
file:///C:/Users/81909/Downloads/kk_ngkgk_009_01.pdf

1.
現代語のサ変動詞は活用のゆれの観点から次の4つのグループに分類することができる。
  (A)サ変としてのみ活用するもの
      「する」f実行する」「びっくりする」「ジャンプする」など
  (B)サ変とサ五のあいだでゆれているもの
      「愛する」「属する」「達する」「反する」など
  (C)サ変とサ上一のあいだでゆれているもの
      「論ずる」「応ずる」「重んずる」「察する」など
  (D)サ変とサ下一のあいだでゆれているもの
      「進ずる」「魅する」の2語

2.
「信ずる」「感ずる」「察する」は上記の
(C)サ変とサ上一のあいだでゆれているもの一「信ずる」類(p23)
に該当すると思われるので、そこから要点をさらに抜粋します。

◎このグループに属するのは,
 (5)按愛憎詠演応感興偶吟献減講高参散准殉準乗信生煎損存嘆断談長通転点投動同難任認念判封変弁報奉崩命銘免論
などの一掌漢語に「ずる」を加えたものである。

◎せいぜい言えるのは,「感じる」「信じる」「通じる」のように話しことばでも普通に使われる語ではサ上一の比率が特に高いのに対して,「準ずる」「乗ずる」唯ずる」のように書きことばで使われることの多い語ではサ変にとどまっている率が相対的に高いという程度のことである。したがって,ここでは形態のゆれの観察されるケースについての統計を掲げるにとどめざるを得ない。

信ずるー207
信じるー748(78.3%)

感ずるー241
感じるー4686(95.1%)

信ぜられー1
信じられー1474(99.9%)

感ぜられー5
感じられー2339(99.8%)

(ただし、)
◎これと同様のゆれを示すサ行の動詞が少数ながらある。湯沢(1944)が挙げているところによれば,
 (7)決高察接達発
などに「する」を付けたものがそれであり,特に「察」にサ上一の用例が多いとされている。
この「察する」類の動詞のサ上一化はもはや消滅寸前と言うべき状態にあり,サ上一の用例は「察しられ」「接しられ」の2つの言い回しが少数見られただけであった。

察せられー28
察しられー 5

接せられー 4
接しられー13

3.
「決する」「欲する」は、
(B)サ変とサ五のあいだでゆれているもの一「属する」類
に該当するのでしょう。

決せられー20
決しられー0

「欲する」については無例ですが、「欲される」でしょうかね。
※「決」が分類 B と C にまたがっている理由はよくわからない。

4.
文語の場合、未然形は「せ」だと思うので、

「信ぜられる」「感ぜられる」「察せられる」「決せられる」「欲せられる」

となるような気がします。

===========引用終了

 そういうことなのか。
 以前当方が書いたものとすり合わせてみる。当方が書いたものを【to】、論文の記述を【論】

【to】1)する 可能形は「できる」
※「勉強する」などの熟語動詞(仮称)なども同様
【論】(A)サ変としてのみ活用するもの
      「する」「実行する」「びっくりする」「ジャンプする」など

【to】2)愛する 本来の可能形は「愛せられる」(たぶん)。
※五段活用との混同(五段活用への移行?)が進み、「愛される」→「愛せる」になりつつある。
【論】(B)サ変とサ五のあいだでゆれているもの
      「愛する」「属する」「達する」「反する」など
【to】3)論じる 本来の可能形は「論ぜられる」(たぶん)。 
※上一段活用との混同(上一段活用への移行?)が進み、「論じられる」になりつつある。
【論】(C)サ変とサ上一のあいだでゆれているもの
      「論ずる」「応ずる」「重んずる」「察する」など

【to】4)発する 本来の可能形は「発せられる」(たぶん)。
※「〜ッする」「〜ンする」は五段活用化はしにくいとされるが、「反する」あたりは微妙かも。

【論】(D)サ変とサ下一のあいだでゆれているもの
      「進ずる」「魅する」の2語

 4)(D)以外はほぼ対応する。当方も素人としてはがんばっているかも。
【論】のすごいのは、そのあとに細かい例示があること。これは研究者の仕事だね。

 問題は、「察する」にしぼった場合。
【論】(C)サ変とサ上一のあいだでゆれているもの
 はそのとおりだろう。
 ただ……↑から再掲する。
===========引用開始
この「察する」類の動詞のサ上一化はもはや消滅寸前と言うべき状態にあり,サ上一の用例は「察しられ」「接しられ」の2つの言い回しが少数見られただけであった。

察せられー28
察しられー 5

接せられー 4
接しられー13
===========引用終了
「察しられ」の割合は、ほかと比べてもそんなに少ないのだろうか。「接しられ」にいたってはこちらのほうが多い。
 こんな理由で〈「察せられる」とするのが統計的に見た場合、極めて順当〉と決めつけるのはどうなんだろう。
 辞書にも、「察しられる」が認められているのだから、どちらもアリとしかいえないのでは。
 そもそも「察せられ」「接せられ」を含めても、使用例がかなり少ないとはいえそう。使用例が極端に少ないのだから、グダグダ言っても意味がないのかもしれないが。

 ちなみに、ネットで検索できる正規の辞書は、『大辞泉』、精選版『日本国語大辞典』とも「察する」と「察しる」を立項している気がするんだけど。再三書いてるとおりで精選版『日本国語大辞典』は非常にひきにくく、ひき慣れないと見つけられないかもしれない。だからといってウソを書かれては困る。
 なんだかなあ。
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