mixiユーザー(id:4997632)

2021年12月31日21:36

76 view

農と食    農仕舞い  大野和興

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202112312041355




2021年12月31日20時41分掲載  無料記事  印刷用
農と食
農仕舞い  大野和興

 各地に百姓の友人がいるので、盆暮れには生産物をいろいろ送ってくれる。お返しは秩父の酒と豚肉の味噌漬け、それに自身の唯一の生産物である本をおまけにつける。

 今年異変が起こった。みんな40年、50年の付き合いで、同じように年を取ってきた。その彼らが荷物の中に入れてくれる手紙で、「送れるのは今年が最後です」と書いてくる。岐阜の柿、紀州のミカン、高畠のブドウ、新潟のもち、三里塚の豚肉、みんなそうだ、コメだけはまだしばらくは年間通して買わないですむが、あとは軒並み今年限りになりそうだ。

 10月に山形・上山市に農民詩人の木村迪夫さんを訪ねた。詩のほかにコメと果樹をつくる百姓だが、果樹はもうやめている。最後に残った20アールほどのコメも、今年の収穫で最後にするという。貧農の家に生まれ、土地を少しずつ増やして百姓として生きてきた。「やめることを決めて田んぼに立ったら涙が出てきてね」。

 俳句の季語に「畑仕舞い」という言葉がある。秋が深まり、収穫を終えた畑の作物残渣や枯れた草を始末し、来年の春耕に備えるさまをいう。多くに仲間が人生の“農仕舞い”に入りつつある。木村さんは自身の田仕舞いの詩を朗読してくれた。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年12月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031