■横綱は阿炎にワナをしかけた 照ノ富士、6度目Vの裏側
(朝日新聞デジタル - 11月28日 05:21)
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大相撲十一月場所千秋楽、昨日2場所連続(新横綱からは第48代横綱大鵬以来59年ぶり)6回目の優勝を決めた横綱照ノ富士は、結びの一番で大関貴景勝を押し出しで制し、「一年納めの九州場所」を全勝優勝で締め括り、今年(令和三年)の大相撲の「有終の美」を飾りました。全勝優勝は今年の七月場所の横綱白鵬(現:間垣親方)以来で優勝制度ができた明治42年以降、史上40人目。平成以降では大関武蔵丸(後に第67代横綱。現:武蔵川親方)、第65代横綱貴乃花(大関時代にも達成)、第68代横綱朝青龍、第69代横綱白鵬(大関時代にも達成)、第70代横綱日馬富士(大関時代にも達成)、大関豪栄道(現:武隈親方)に続いて7人目となったとか。
その今場所、そして今年の大相撲としても「結びの一番」、立ち合いから大関に突き放され、また往なされながら、横綱は前傾姿勢を崩さず、往なしも叩きもせずに応戦。大関に喉輪で起こされるも落ち着いて対応。大関の引きに乗じて押し切って勝負あり。「自分はそんなに才能のある力士じゃない。いろんなことできる力士じゃない。でかい体を正面にぶつけて受け止めてやっていくだけだった。昔からこの相撲を理想にずっと稽古して頑張ってきた。少しずつ理想の相撲になりつつある」と、その「理想の相撲」が出来たと納得しながら、明日(11月29日)に30歳の誕生日を迎える照ノ富士は今日の一番を振り返っていました。
優勝インタビューでは「大きく目標を立てて二桁優勝を目指して頑張っていきたい」と語り、その上で「そう簡単にいくことではないので自分なりに頑張っていきたい」と、今年と同じ年間4度の優勝で達成する来年の目標に向け、歩みを進める意思を示していました。
さて、三賞選考委員会により決まった今場所の三賞は、殊勲賞は「該当者なし」、敢闘賞は阿炎と今日の一番で勝つことの条件が付いて隆の勝、技能賞には意外にも初の三賞となった宇良が選ばれ、通例よりも早く13時前には決まっていたようでした。今場所を大きく盛り上げた帰り入幕の阿炎がどのような内容で受賞するかに注目していましたが、昨日の十四日目の照ノ富士との直接対戦で敗れ、全勝を続けてきた照ノ富士の優勝が決まったことが「敢闘賞のみ」と言う結果に影響したと思われます。また、十四日目の打ち出し後に編成された千秋楽の取組で、阿炎が隆の勝と対戦することが決まったことで、隆の勝に「勝つこと」と言う条件付きで(恐らく)敢闘賞としたのだろうと推察した通りとなりましたが、その一番の結果は隆の勝が両手で受けて突くも、隆の勝が出たところを阿炎が思わず引いて墓穴を掘り、赤房下に土俵を割って押し出しで隆の勝の勝ち。隆の勝は11勝4敗で敢闘賞ゲット(2回目)、3回目の敢闘賞の阿炎は12勝3敗に終わりましたが、昨日までの緊張感の賜杯レースが決着したからなのか、それとも今日は疲れが出たのか、それまでの14日間の集中力に満ちた強さは影を潜め、それまで無かった「不用意な引き」が出た一番で、NHKのテレビ向正面解説の舞の海は「改めて、阿炎は“気持ちで相撲を取る力士”だと認識した」とコメントしていました。確かに、出場停止の謹慎を経て“モデルチェンジ”したような突き押しの強さで大関貴景勝も圧倒した阿炎でしたが、今場所の土俵が真に“モデルチェンジ”となり、来場所以降に続くのか、注目となると思います。家族と離れて錣山部屋で生活することが謹慎期間における条件となり、現在もその状況は続いているようで、その状況から解放されて家族と共に生活することが認められる見通しとも言われている阿炎ですが、様々“問題行動”を起こした“前歴”のある人であり、注目していくべきかもしれません。
その他。千秋楽まで確定していなかった十両優勝は、先場所まで二場所幕内にいた西4枚目の一山本が初めてとなる十両優勝。星一つ差の荒篤山が敗れたことで優勝が決まっていましたが、大翔鵬を両手突きから叩き込みに退け13勝2敗として十両優勝。中央大学時代に全国学生相撲選手権16強などの実績を残して、卒業後は地元北海道の福島町役場に就職しましたが、制度が改められた年齢緩和制限を利用して平成29年の三月場所で初土俵した「脱サラ力士」で、令和元年の七月場所が新十両でした。
また、7戦全勝同士の決定戦となった序二段は西61枚目の優力勝(20歳、常盤山部屋)が東11枚目の魁鵬(25歳、友綱部屋)を引き落としに仕留めて序二段優勝。平成29年九月場所で初土俵を踏むも、平成30年の一月場所で右膝の亜脱臼、剥離骨折などの重傷を負い、番付外に陥落。その年の十一月場所に前相撲から再出発し、三段目まで番付を上げながら、腰にヘルニアを患い昨年手術、更に今年の8月にも別の箇所を手術し、今場所は全休明けで臨んでいました。
さて、来年の大相撲はどんな動きを見せるか、注目したいと思います。
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