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2021年11月04日07:07

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10月の読書記録

今月こそは自分で満足できるくらいの冊数を読もうと思いながら、今月下旬に気せずして風邪で寝込んだため、思うように読めなかった。ナイスもあまり貰えなかったし。今月はもう少し読めるようになるといいけど。

2021年10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4311ページ
ナイス数:112ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■読書のちから
恐らく一時間強程で読了できる程度のヴォリュームであるが、あちこちに付箋を貼り付けたくなるくらいに濃い内容。ヴェイユ、須賀敦子、井筒俊彦など、先に読んだ『生きる〜』でも取り上げられ、僕自身それなりに読み込んできた書き手のコトバが、著者の手に掛かることによって、一層の魅力を帯びてくる。著者自身は闇雲に知識を吸収することに警鐘を鳴らしてはいるが、それでいて古今東西の古典に精通しているその読書量の幅に改めて驚愕。著者と同じ年齢の者として、こんなこと書かれたら、自分には何も書けないと嫉妬心を抱いてしまうほど。
読了日:10月30日 著者:若松 英輔
https://bookmeter.com/books/16974907

■訴訟 (光文社古典新訳文庫)
約三十年ぶりに新訳にて再読。訳文のためか、初読の時に覚えていた閉塞感があまり感じられず、不思議と透明感を覚えるのが印象的。後、不条理な掟にひたすら翻弄されるという印象だった主人公Kが実は結構ゲスで傲慢な人間だったということを認識。それから巻末の別稿も非常に興味深い。このテキストと現行のテキストとを比較しながら読み進めていくとまた違った魅力が引き出せるかもしれない。後、個人的に驚かされたのが、終盤でカトリックが教会かなり大きな要素を占めること。ユダヤ人である著者はどんな思いであの場面を書いたのかが気になる。
読了日:10月28日 著者:フランツ カフカ
https://bookmeter.com/books/535694

■生きる哲学 (文春新書)
単なる音や文字で表される言葉ではなく、人の魂から直接発せられ、そして相手の魂を揺さぶるコトバ。そんな珠玉のコトバをチョイスし、そしてまさに魂を揺さぶるかのような解説を寄せた一冊。一読して終わらせるのは勿体ない。国境や宗派を超えた究極の宗教を模索するとすれば、その手がかりの一端は本書に窺えるのでは?とさえ思えてくる。そして、自分が普段、いかに表面的に言葉を弄んできたか?という自省に駆られる。また、著者の読書の幅と読み込みの深さに改めて驚愕。いみじくも著者は自分と同じ歳。こりゃ叶わない…と羨望と嫉妬を感じる。
読了日:10月26日 著者:若松 英輔
https://bookmeter.com/books/8795211

■<わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)
それなりに興味深く読めたものの、あまり万人向けではないな…というのが正直なところ。本書で述べられているように、日頃から小まめに情報収集をして、それをまとめ、人前で説明することを重要な業務としている人は、かなり限定されるのではないかと思うのだが…ただ、わかりやすさとは何か、そしてそれをいかにして実践していくかを述べた最初の概説はかなり参考になったけれど。また、本書の解説をそのまま実践するまでには至らなくても、日頃から自分なりにアンテナを張り巡らせて、情報を取り込みストックすることの重要性は再認識できたか。
読了日:10月25日 著者:池上 彰
https://bookmeter.com/books/603535

■どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)
女っ気のない、今だったらホモソ的関係と揶揄されかねない、旧制高校に学ぶ若者達。パワハラまがいの悪戯や、周囲の人にとっては傍迷惑でしかない悪ふざけが横行する。それらの愚行を野蛮の一言で片付けてしまうのは簡単だが、それでも何とも言えないノスタルジーを覚えるのは、やはりそこに今は遠い過去となった昭和の匂いを如実に感じ取るからだろう。また、生徒に劣らぬ奇人変人揃いの教師達も何とも味わい深い。ああいう良い意味で緩い環境の方が若者達は闊達に成長していくのではないか?と思えてくる。そして、ラストでの父への思いに涙。
読了日:10月24日 著者:北 杜夫
https://bookmeter.com/books/561223

■男おひとりさま道
独身、子なし。身近に親類なし。孤独死街道まっしぐら…という者にとってまさに福音…とまではいかないが(笑)、やはり参考になる記述に事欠かなかった。とりわけ、印象的だったのは、性愛を抜きにした異性との友情を育むようにとのアドヴァイス。死ぬまで現役を志向する世の多くの男性にとっては、受け入れ難い指導だろうが、残りの人生を有意義にするためには、ある程度甘受すべきだろう。何かにつけ、女性に比べ、柔軟性に欠ける男性という生き物。年を経るにつれ、そんな自分を持て余す男性は少なくないに違いない。今から気をつけるべきか。
読了日:10月18日 著者:上野 千鶴子
https://bookmeter.com/books/566833

■楡家の人びと 第三部 (新潮文庫)
人が生活をしていれば、自ずとドラマが生まれる…あまりに陳腐な言い方だが、ついそんなことを思ってしまう。しかもこの第三部の主な舞台になるのは、第二次世界対戦という未曾有の出来事。その出来事に対峙する主な登場人物は、ほぼ総じて悪戦苦闘を強いられる。とりわけ印象的だったのは、峻一が直面した飢えとの闘い。多くの兵士にこんな苦難を強いた日本軍の無為無策ぶりに、やはりあの戦争がいかに馬鹿げたものだったかを改めて痛感。また一時とはいえ、毅然とした振る舞いを見せる周二も印象的。そして何より藍子を襲った不幸が痛ましい…
読了日:10月18日 著者:北 杜夫
https://bookmeter.com/books/4015445

■楡家の人びと 第二部 (新潮文庫)
予想外の面白さだった、著者随一の大長編の第二部。第二部より著者をモデルにした周二が登場することによって、この小説が余計に味わい深くなった感が。個人的には何かにつけ要領が悪く、つい人の顔を伺ってしまう気弱な性格であるので、その周二につい共感を抱いてしまう(笑)。その一方で、義父の亡霊に悩まされ、自分の学求心、妻子との関係に日々悩む徹吉の姿にも少なからず共感を抱くことに。僕自身は妻子はいないけれど、それでも、壮年期から老年に至るまでの独特の葛藤にある程度共通するものがあるのでは?藍子と城木との関係も気になる。
読了日:10月15日 著者:北 杜夫
https://bookmeter.com/books/4062778

■家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平
本書が出て早三十年。この当時席巻したバブルはとっくに遠い過去のものとなり、女性を巡る事情も大きく変わった。よって本書で展開される分析も、今日においてはそぐわない箇所も当然少なからず散見されるが、それゆえにこそ、フェミニズム史を振り返る上で非常に参考になる知見があると思う。また、古色蒼然とも思える言説と同時に今日にも通じる女性を含むマイノリティの問題が本書で鋭く取り上げられているということを見逃してはならない。何かと物議を醸し出し、槍玉にあげられることも多い著者だが、その声に真摯に耳を傾けるべきだと思う。
読了日:10月13日 著者:上野 千鶴子
https://bookmeter.com/books/11834

■楡家の人びと 第一部 (新潮文庫)
もっと重たい内容を予想していたのだが、意外とユーモラスなのにちょっとびっくり。それと同時に読みやすさと端正さが同居したその文体に改めて驚かされた。著者の文体はもっと評価されてもいいのでは?それはともかくとして、主人公基一郎の人物描写が卓抜。それはもちろん基一郎だけでなく、各登場人物があたかも目の前にいるかのように生き生きと描かれているのが印象的。これ、NHKの朝ドラで実写化されてもいいかも?と思ってしまった。また、もう一人の主人公ともいうべき、桃子も何とも言えず魅力的。色々とありそうだが、幸せを望む。
読了日:10月11日 著者:北 杜夫
https://bookmeter.com/books/4003452

■往復書簡 無目的な思索の応答
両者の被るところ、似ているところ、そして時に乖離し、また時に絶妙に交わる二人の言葉が織りなす独特な世界。とりわけ、二人とも基本的に世の趨勢に与することができず、つい世相を斜めから見てしまうことによって、世間から逸れてしまうという点で似通っているのが面白い。そのためか、読み進めていくうちに、その文章が一体どちらが書いたものかが、時折判然としなくなるのが本書の妙なのかもしれない。百頁強程の小部な本だがそこで語られる言葉は良い意味でこい。個人的には三百頁くらいのヴォリュームで読みたかった。続編を強く望む。
読了日:10月08日 著者:又吉直樹,武田砂鉄
https://bookmeter.com/books/13611340

■波〔新訳版〕
約二十年ぶり、新訳にて再読。全体的な雰囲気と最後のフレーズの朧げな記憶はあったのだけれど、再読してみて、こんな内容だったっけ?と驚かされることしきり。決して読みやすいとは言い難い内容の筈なのに、不思議と惹かれるものを感じ、ひたすら読み進めていた感が。とにかく六人の人間のモノローグが一つの基調になっているため、それぞれの人物特性とそのモノローグとを結びつけるのが、ちと厄介。それでも詩情に満ちた文章を拾い読みするだけでも、その魅力の一旦は味わえるか。とにかく一読しただけで終わらせるのは、もったいないかも。
読了日:10月05日 著者:ヴァージニア ウルフ
https://bookmeter.com/books/17905127

■小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける―これだけは知っておきたい70のポイント
僕を含めて多くの人は政治に関して、小学校レベルの知識さえ持っていなかったんだな…という事実に驚愕させられた。また、優れた内容を持つ小学校社会科の教科書を十分に生かしきれていない学校教育のあり方にも改めて問題を感じる。そして何より重要なのは、小学校レベルの社会科教科書を学ぶことを通じて、今の日本が抱える問題や矛盾点が露わになるという事実。基礎的な点を抑えないままにヘイトツイートを繰り返したり、現政権を擁護する人達の知的レベルがいかにお粗末なものかが窺い知れる。この佐藤氏と井戸氏のシリーズ、続編を強く求む。
読了日:10月04日 著者:佐藤 優,井戸 まさえ
https://bookmeter.com/books/10115718

■哲学に何ができるか (中公文庫)
四半世紀ぶりの再読。初読の時は「まあ、こんなもんかな」という印象だったのだが、今回読み返してみて、思っていた以上に内容が多岐に渡っているのにちょっとびっくり。廣松氏がキリスト教にかなり突っ込んで言及しているのには、特に驚かされた。それはともかくとして、四十年以上も前の時点ですでに時代の閉塞感が感じられていたのに、その感覚は基本打破されることなく、その後も延々と続いてきて、今日ではその当時では考えられなかった程の終末観さえ感じられるということに何とも言えない感慨を覚える。それからマルクス持ち上げられ過ぎ。
読了日:10月03日 著者:五木 寛之,広松 渉
https://bookmeter.com/books/76998


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