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2021年10月19日09:40

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暴言・杉田水脈氏を「比例上位に」岸信夫氏が出した「要望文書」の中身

■衆院選が公示、立候補の届け出始まる 31日投開票
(朝日新聞デジタル - 10月19日 08:35)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6707971
■暴言・杉田水脈氏を「比例上位に」岸信夫氏が出した「要望文書」の中身

           
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 杉田水脈氏は2017年の衆議院総選挙で自民党の比例代表の公認候補として出馬し当選

 衆議院議員総選挙(10月31日投開票)に向けた候補者選びを巡って、公示直前(10月16日)に自民党山口県連が作成した「異例の文書」を入手した。文書は安倍晋三・前首相の弟であり、防衛大臣を務める岸信夫・山口県連会長名義で、党本部の遠藤利明・選挙対策委員長に宛てたもの。自民党の比例中国ブロックの公認決定を巡り、党本部の決定に抗議し、さらには過激な発言で物議を醸してきた杉田水脈氏の掲載順位の優遇を求める内容となっている。

 安倍政権下で起きた森友学園問題を厳しく追及してきたジャーナリスト・相澤冬樹氏はこの文書から、「安倍前首相が比例名簿の順位決定に今でも強い影響力を持っていることが窺える」と指摘する。公示直前に異例のドタバタ劇となった自民党の比例名簿発表の裏側で何が起きていたか、相澤氏がレポートする。

 今回、入手した文書を読み解くうえで、まず「山口3区」での自民党公認候補を巡る“騒動”について知っておく必要がある。参議院議員だった林芳正・元文部科学大臣が将来の総理総裁をにらんで鞍替え出馬を表明。現職は二階派の重鎮で31年間議員を務めた河村建夫・元官房長官だったが、岸田政権が誕生し、二階俊博氏が幹事長を退いたことで情勢が一変。岸田派である林氏の立場が強まり、河村氏は引退を勧告され、「長男の河村建一氏の比例単独擁立」を見返りにそれを呑んだのだ。

 筆者が入手した〈第49回衆議院議員総選挙に係る比例代表第二次公認候補者について〉と題された文書はそれに絡む内容だ。日付は自民党が二次公認を発表した翌日にあたる10月16日で、差出人は自民党山口県連会長の岸信夫氏と同幹事長の友田有氏の連名。宛先は党選対委員長の遠藤利明氏となっている。

 河村氏の引退に伴って比例代表の中国ブロックで建一氏が追加公認されたことについて、〈ご本人(注・建一氏)から、山口県連に対しては、何らの要請も申請手続きも出されておらず、当県連から党本部に対して公認決定を願い出た候補でもありません〉としたうえで、〈比例代表中国ブロックの第二次公認候補として河村建一氏が決定されたことに強く抗議を申し上げる〉〈この方は、山口県連とは何ら関わりのない候補であることを確認させていただきます〉と強い調子で抗議している。土壇場で特定の公認候補を批判することも異例だが、それよりも自民党関係者の間で物議を醸したのが最後の3行だ。

            
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 〈当県連といたしましては、比例代表中国ブロックでは、既に、現職の杉田水脈氏を第一次公認候補としてご決定いただいており、本候補の名簿上位掲載にご配慮をいただきますよう、強くお願い申し上げます〉

            
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 衆議院の比例代表は全国のブロックごとに名簿掲載の順位が当落を左右する。名簿の順位は党本部が決めるから、各都道府県連にとって地元の候補が上位に掲載されるかどうかは最大の関心事だ。とはいえ、特定の候補の公認決定に〈強く抗議〉し、別の候補の〈上位掲載〉を〈強くお願い〉するというのは異例のことだ。文書を出した責任者の岸氏は安倍晋三元首相の弟である。兄の安倍氏に近い杉田氏の上位掲載を、弟の岸氏が取り計らうという構図が透けて見える。

            
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                  岸信夫氏

 ◆「生産性」問題の後も擁護した安倍氏

 ここで〈上位掲載〉を〈強くお願い〉されている杉田水脈氏は、数々の差別発言で騒動を巻き起こしてきた。特に2018年に雑誌『新潮45』(新潮社)に掲載された寄稿の内容が問題視された。

「LGBTのカップルは子供を作らない、つまり『生産性』がない」

 子供を産まないと生産性がないという。では子供がほしくても叶わない人はどうなるのか? 人の価値を生産性に置き換えるのは命の選別につながり、決して許されないというのが世界的な常識だ。この言葉に国内外から抗議が殺到し、自民党本部前では抗議のデモが行われた。『新潮45』は反論を特集したが、それがまた批判を呼んで遂に休刊に追い込まれた。

 そんな杉田氏は兵庫県の出身で西宮市役所などに勤めた後、2012年に日本維新の会から立候補し比例代表近畿ブロックで初当選。次の選挙(2014年)で落選した後は慰安婦問題などで保守的な言論活動を展開。これが安倍晋三首相(当時)の目に留まり、自民党からの立候補につながったとされる。なぜ、出身地の兵庫ではなく縁もゆかりもない山口の県連に所属し、比例中国ブロックから立候補したのか。山口県内の政界関係者は語る。

「安倍さんが自ら“引き取って”山口県連に所属させた。当時の県連幹部は頭を抱えていましたよ。『総理の頼みだからなあ。断れんよ』と。ただ杉田さんはそれから熱心に県連幹部のところを回ったので、県連内ではウケがよくなった」

 一連の騒動もあり、当然ながら自民党内には杉田氏に批判的な声が多い。それでもこの4年間、杉田氏が国会議員でいられたのは安倍前首相の後ろ盾があったからだ。前述の「生産性」問題の際も、現職総理だった安倍氏は「まだ若いから、注意をしながら、仕事をしてもらいたい」と擁護するようなコメントを出していた。

 杉田氏は前回の選挙では中国ブロックで比例名簿「17位」。それより上位の16人は全員小選挙区との重複立候補である。中国地方は“保守王国”でほとんどの小選挙区で自民党候補が当選。比例復活は1人だけで、杉田氏はその次の順位で当選しており、比例単独では事実上の「トップ掲載」だった。

             
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                   杉田水脈氏

 今回の選挙でも冒頭の文書にある通り、自民党山口県連は杉田氏をただ1人、比例単独候補として擁立した。ただし、今回はほかの県の選挙区事情もあって、中国ブロックの比例単独トップ掲載が保障される状況ではなかった。10月18日夜に筆者が入手した発表用の名簿を見ても、杉田氏の掲載順位は比例単独候補として3番目となっている。

 前回よりも下になったとはいえ、中国ブロックの比例で自民党が5議席を獲得した2017年の総選挙と同水準の結果となれば当選圏内となる位置には残った。その一方で驚かされたのは、河村建一氏の処遇である。10月15日の時点では「比例中国ブロック」での公認と発表されていたのが、急転直下で「比例北関東ブロック」の比例単独候補として2番目の位置に入ることになったのだ。安倍元首相の意向もあって、山口県連が急きょ、建一氏の比例公認に抗議し、杉田氏の名簿上位掲載を強くお願いした結果、建一氏が北関東ブロックへの押し出されることになったのではないか。

 自民党山口県連は文書について「党本部の選対のほうに提出していたのは事実です」(事務局長)とだけ回答した。

 有権者に信を問う小選挙区での出馬とは異なり、比例単独は党の論理で当選させることができる。社会の多様性に対して問題発言を繰り返してきた杉田氏を強く推すという山口県連の要望を、有権者はどう見るだろうか。



取材・文/相澤冬樹(ジャーナリスト)
2021.10.18 22:00  
NEWSポストセブンより


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