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2021年10月10日21:40

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Mirlard!(ミルラード) 第13話 鎮魂序曲 その2

2日後ロアたち一行は、小さな村にあるユニゾンの家まで到着した。
そこには、ユニゾンの妻のカトリーヌと、娘のエメが住んでした。そして、
家事や子育てをしながら、ユニゾンの帰りを待っていた。そしてロアは
話しかける。
「あの…、ユニゾンさんの奥様のカトリーヌさんですね。」
「はい、うちの旦那をご存じで…。」
「はい、そして、今旦那様をお連れしてきました。」
「そうなのですね!!ユニゾンは生きているのですね!!」
「それが、実は…。」
そして、事の次第をカトリーヌに話をした。話を聞いたカトリーヌは、
驚いたと同時に涙した。そこへ、ユニゾンも馬車から降りてきて
カトリーヌの元へやって来た。
「カトリーヌ…。」
「あなた…。」
「ただいま。ごめんよ、こんな姿になって帰ってきて。」
「いいえ、それでもこうして帰ってきてくれたのは嬉しいです!!」
そして、ユニゾンに抱き付き、涙にくれた。それから、娘のエメもやって来て、
「パパ…。」
「エメ、ごめんよ。こんな風になってしまって…。」
そして、二人に抱き付いた。
しばらく経って、カトリーヌがユニゾンに聞いた。
「しかし、誰があなたをこんな風に助けてくれたのでしょうね。」
「さあ…。」
「それはあたしだよっ!!」
そして、馬車のそばから小柄な娘が現れた。
「あなたは??」
「あたしは、死霊魔導士のティセナ。キャメルグラードの闘技場で処刑を
 見ていた時、ユニゾンさんの心の声が響いて来たんだよっ。心を痛めたので、
 それで家族のものまで送り届けよう、そう思って、肉体に魂をつなげておく
 魔法をかけていたのさっ。あと、天からの矢や、爆発も全部あたしが
 やったものだよっ。」
それに皆が驚いた。それからフィムは、
「肉体に魂をつなげておく魔法なんて…相当魔力が高いのだな…。」
と驚いた。
「まあ、あたしももう575歳のババァだからね。もう本当の顔なんて
 こんな感じだよっ。」
と、自分の顔の皮を剥がすとその顔は骸骨になっていた。亡くなった若い娘の
皮をかぶっていたのだった。これには、皆もさらに驚いた。
「ただ、ごめんよっ。首まで繋げるだけの魔力がなかったんだ。あたしも
 まだまだ修行がたりないねっ。」
「いえいえ、ここまでしてくださっただけでもありがたいです。」
「本当にありがとうございます。」
こうして、ユニゾンとカトリーヌはティセナに、そしてロアたちに礼をした。
それから、カトリーヌは皆に料理をふるまった。シチューや鶏肉、サラダなど
数多くのごちそうが載った。そしてそれを皆で頂いた。その後、家には、
ユニゾンとカトリーヌ、エメの3人だけにしてロアやティセナたちは外へ
出て行った。そして家族3人の団らんの時間となった。それから1時間後、
キャンディート王国の兵士の軍団がやってきた。
「何だ何だ?キャンディート王国の連中か?」
「そうだ、ユニゾンがここにいるのは分かっている。ただちに引き渡せ!!」
「せっかくの家族団らんをぶち壊そうとはあんたたちもずいぶん無粋だね。
 そうはさせないぜ!!」
「ならば力づくで連れていくだけだ!!やっちまえ!!」
それから、兵士たちとの乱闘になった。ロアやレオンは剣で戦い、フィムや
ティセナは魔法を駆使して戦った。ペティオスは、杖や石化光線で戦った。
どちらかと言うと五分五分の戦いだった。しばらくして、ロアたちに援軍が
やってきた。
「人んちの領土でずいぶんやりたい放題やっているじゃないか。お前らの
 勝手にはさせないぞ!!」
そうしてやってきたのはディシェルだった。自分の軍隊を連れて援軍に
やってきた。さらに、この騒ぎを聞きつけ、ユニゾンも外へ現れた。
「私のために戦って下さっているのに、私だけ家にいるわけにはいかない。
 私も戦うぞ!!」
「分かった!!みんなで追い返そう!!」
そして、ロアたちは、キャンディート王国の軍団に再び立ち向かった。
今度は援軍も得てロアたちは、キャンディート王国の軍団を打ち負かして
いった。そして、ついにキャンディート王国の軍団を追い返したのだった。
「やったな!!」
「へっ、ざまあみろ!!」
レオンは叫んだ。それから、ユニゾンが、挨拶をした。
「私のために戦って下さって、そして、領主様まで来ていただいてありがとう
 ございます。」
「いいえ、あなたも私の領土の民。心を配ってやらねば。」
ディシェルは語った。だが、そこでユニゾンが、胸を押さえうずくまった。
「済まないっ。あたしの魔法ももうここで限界だっ!!」
「あなた!!」
カトリーヌが駆け寄り、ユニゾンをベッドへ連れていった。

ユニゾンは、家のベッドで寝かせられ、皆が見守っていた。
「私はもうここまでだ。カトリーヌ、エメ、最後に会えて本当に良かった。」
「あなた!!しっかりして。」
「ティセナさん、ロアさんたち、そして領主様。こんな私のためにここまで
して下ったことに感謝します。本当に皆さま、ありがとうございます。」
「こうしてみんなに支えられて、私は幸せ者だ。それでは、しばらく
 眠らせてもらうよ。おやすみ。」
「あなた!!」
こうして、ユニゾンは息を引き取った。その姿を見て涙にくれるカトリーヌと
エメ、それをロアたちはずっと見守っていた。そして翌日、皆でユニゾンの
埋葬を行い、祈りを捧げていった。

終わり
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