「労をいとわず」16年間　欧州をけん引したメルケル氏の功罪

「労をいとわず」16年間　欧州をけん引したメルケル氏の功罪

イチオシ 篠田航一 

国際 速報 欧州

毎日新聞 2021/9/19 08:00（最終更新 9/19 08:00） 有料記事 3643文字 配信より

訪問先のアルバニアで記者会見するメルケル氏＝アルバニアの首都ティラナで2021年9月14日、AP

　ドイツのアンゲラ・メルケル首相（67）が9月26日のドイツ連邦議会選（総選挙）に出馬せず、選挙後に政界を引退する。2005年から16年間、ドイツ、そして欧州をけん引してきたメルケル氏とはいったいどのような政治家だったのか。その功罪は何か。ドイツ政治に詳しい成蹊大学法学部の板橋拓己教授（欧州政治史）に話を聞いた。【聞き手・篠田航一】

自己主張せず、世論を重視

　――長期政権を維持できた理由は。

　◆複数の要因があるが、まず前任の首相シュレーダー氏（在任1998〜05年、中道左派・社会民主党）が着手した構造改革の恩恵を享受できたことが大きい。ドイツは90年代には経済が停滞し、「欧州の病人」とまで呼ばれていたが、シュレーダー氏が大手術をした。メルケル氏は05年の首相就任後、その成長の果実を手にし、ドイツは輸出大国として生まれ変わることができた。その点では幸運だったといえる。

　もちろんメルケル氏個人の能力は高い。メルケル氏は最初から危機対応に追われた首相だった。欧州連合（EU）の基本条約「リスボン条約」のとりまとめに尽力し、欧州債務危機、ウクライナ危機など数々の危機にも対処した。

　一方、長期政権を維持できた背景には、他の政党の政策を次々に取り込み、メルケル氏が所属する（中道右派の）キリスト教民主同盟（CDU）の成果にしてしまった点も指摘できる。たとえば社会民主党は看板政策の「最低賃金制度導入」、緑の党は「脱原発」の果実をメルケル氏にいわばとられた形になった。

　その半面、CDU党内では後継者が育たなかった。彼女自身が人を上手に育てなかった面もあり、結果的に自分の地位を脅かす実力者が次々に失脚し、CDUを自分の人気に依存する政党にしてしまった。こうしたさまざまな要素が重なって長期政権になった。

　ただ、本人はそれほど長く続けるつもりはなかったのではないか。本来なら（前回総選挙の）17年で辞めても不思議ではなかったが、「米国第一主義」を掲げたトランプ氏が米大統領になるなど国際情勢が激変する中、続投を考えた面もあると思う。

　――メルケル氏個人の特質とは。

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「黒い雨」浴びた人救済を 弁護士などが相談会 広島

2021年9月19日 12時27分、NHK NEWS WEB 配信より

広島への原爆投下直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、政府が、原告の住民に限らず「黒い雨」を浴びた人たちの救済を検討する考えを示す中、被爆者健康手帳の申請などを支援する相談会が広島市で行われています。

広島市中区で行われた相談会は、弁護士や被爆者団体などで作る支援団体が開いたもので、事前に申し込みをしたおよそ50人が参加しました。

放射性物質を含むいわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたと住民などが訴えた裁判では、原告全員が被爆者と認められ、すでに被爆者健康手帳が交付されていて、原則、医療費などが無料になります。

政府は、原告と同じような状況にあった人についても救済を早急に検討する考えを示しています。

相談会では、弁護士が「被爆者手帳の交付を待っている人がいることを政府にわかってもらう必要がある」と述べました。

会場では、このあと手帳の申請書の書き方など個別の相談に乗っていました。

支援団体によりますと、19日参加した人以外にも、およそ240人から相談会への申し込みがあったということで、今後対応を検討することにしています。

参加した広島市安佐北区の70代の女性は「相談会を開くのはいいことだと思う。広く知ってもらって手帳の申請が進めばいいと思う」と話していました。

弁護団の竹森雅泰弁護士は「黒い雨を浴びた方たちはご高齢で、政府の具体的な策を待っていられない。相談会に来られなかった人にも手帳の申請を早くできるような支援をしていきたい」と話していました。

私のコメント　:  令和3年9月19日、広島への原爆投下直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、政府が、原告の住民に限らず「黒い雨」を浴びた人たちの救済を検討する考えを示す中、被爆者健康手帳の申請などを支援する相談会が広島市で行われました。広島市中区の相談会では、弁護士や被爆者団体などで作る支援団体が開いたもので、事前に申し込みをしたおよそ50人が参加しました。