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2021年09月03日23:16

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゚Д゚) < お気楽探偵アトレヤ (Agent Sai Srinivasa Athreya)

『トイ・ストーリー』主人公がカウボーイなのはなぜ? 知識や感性を底上げする「超戦略的シネマ鑑賞法」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=90&from=diary&id=6654266

 さあ、語ってもらおうか…インド映画の背後に存在する無数の知識と感性の数々を…(って、某赤い小丸1星風に語られたらワクワクで拝聴しちゃいまっせ)!!
 インドに限らず、「映画は一番お手軽な(外国)旅行」「お金をかけないで手軽にできる異文化交流」な面が強いなあ、とか思って見てた時期もあるワタスにしてみれば、映画の背景となる生活文化・社常識や価値観・そこに根ざす歴史と伝統ってのは、毎度尽きせぬ興味の一端でございますわよ。視覚芸術だの視覚表現ってそう言うもんでないの?

 さあ! インド映画のめくるめく多様なる背景文化を探りに、参ろう! 映画祭の国へーーーーー!!!!

インディアンムービーウィーク2021
https://imwjapan.com




お気楽探偵アトレヤ (Agent Sai Srinivasa Athreya) 2019年 146分
主演 ナヴィーン・ポリシェッティ(脚本も兼任) & シュルティ・シャルマー
監督/脚本/原案/台詞 スワループ・RSJ
"普通の人生がつまらなくとも、探偵の人生とは実にユニークだ"

https://www.youtube.com/watch?v=iPfVbR5oAWE

 マディヤ・プラデーシュ州ボーパールの大学に通うサイ・スリーニヴァサ・アトレヤはある夜中、叔父からの電話を受けて急遽故郷のアーンドラ・プラデーシュ州ネロールへと出発する。思いも掛けない知らせに、彼は…。

 それから3年後。
 ネロールでFBI(Fathima Bureau of Investigation = ファティマ探索事務所)を開設したアトレヤは、助手スネーハと共にイッパシの探偵気取り。
 毎日探偵映画で助手に探偵業を勉強させては、その観察眼で周辺の事件に首を突っ込んで小銭稼ぎをしていた所、友人のライター シリーシュから「この頃、毎日線路沿いに身元不明の遺体が発見される」という話を聞き「もし今度死体が発見されたら連絡してくれ」と伝えていた。
 数日後、件の死体発見の連絡を受けて現場へ急行するアトレヤだったが、そこで死体を調べようとしていた所を警察に犯人かと疑われ、問答無用で勾留されてしまう…!!


プロモ映像 Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズ)

https://www.youtube.com/watch?v=HrEtnOJ75CI


わーい(嬉しい顔) スワループ・RSJの監督デビュー作となる、大ヒット・テルグ語(南インド アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナー州の公用語)サスペンスコメディ。
 インドに先駆けて、米国、オーストラリア、カナダでも公開されたよう。
 日本では、2020〜2021年のIMW(インディアン・ムービー・ウィーク)にて上映。2023年のIMWパート2でも上映されている。2024年の池袋インド映画祭@シネ・リーブル池袋でも上映。

 出だしはわりと軽快な、ハリウッド製探偵映画マニアの主人公による探偵もどき映画として始まりながら、不可解な事件と人物たちとの点と点が結びついていくにつれて、インド社会特有の凄まじい闇が浮かび上がっていく社会派な面も内包した一級サスペンスへと変転していく傑作。
 名探偵を気取る主人公と探偵業に憧れる助手との凸凹コンビも鮮やかに物語内で機能しつつ、テンポのよい掛け合い台詞が徐々に事件の周囲を囲い始め、その真相へと導いていく硬軟取り混ぜた台詞劇がやたら楽しい。

 主役アトレヤと共に脚本(監督のスワループ・RSJと共同)も担当したのは、1989年アーンドラ・プラデーシュ州ハイデラバード(現テランガーナー州内にある、アーンドラ・プラデーシュ州との共同州都)生まれのナヴィーン・ポリシェッティ。父親は製薬業者で、母親は銀行員だそう。
 土木工学を修了後ソフトウェア開発会社に就職し、その後に英国移住していたものの、俳優業を目指してインドに帰国。劇団に参加して舞台演劇を通して演技を習得していく。
 12年のテルグ語映画「Life Is Beautiful(ライフ・イズ・ビューティフル)」に出演して映画デビューし、テルグ語映画を中心に映画&TV&ネット配信コメディなどで活躍。19年公開の本作で主演&脚本デビューして、Zeeシャイン・アワードのテルグ語映画注目・オブ・ジ・イヤー賞を獲得。同年には「きっと、またあえる(Chhichhore)」でヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画デビューもしている。

 アトレヤの助手であるスネーハーを演じたのは、1994年ウッタル・プラデーシュ州ラクノウ生まれのシュルティ・シャルマー。
 18年にタレント発掘TVショー「India's Next Superstars(インドのネクスト・スーパースター)」に出演して注目を集めてMVに出演後、本作にて映画&主演デビュー。同年放送のTVドラマシリーズ「Gathbandhan(縁組)」でも主演して、以降TVにて活躍中。21年にはネットフリックス配信の「おかしな子(Pagglait)」でヒンディー語映画デビューもしている。

 いちいち往年の探偵スタイルにこだわり、映画や小説で有名な名探偵にあこがれ、それらに倣って周辺情報から真実を探り出す観察眼を持ったお調子者アトレヤ(事務所をFBIと名付けて、Fは昔の彼女ファティマに因んだんだ! とか言い出すノリの良さ!)ってキャラの濃さで、映画の魅力はかなりの部分を形作られているよう。事件の捜査が進むと、似たようなFBIを設立したお調子者探偵気取りが隣の州からもやってくるんだから、このお調子者名探偵で色んな人を主役に立ててシリーズ化してもいいんでない? って感じの軽快な語り口が楽しい楽しい。
 まあ、事件の真相を導くシークエンスが台詞に頼りすぎな感もあるのがサスペンスとしてどうよ? って気もしてくるものの、出てくる登場人物の言質がすぐ二転三転するわ、余計な手出しをしてより話がこんがらがるわ、その真相の中に横たわるまさにインドでしかありえない慣習と腐敗、因習からくる社会の暗部を切り取るその視線の鋭さも相まって、複雑な因果関係の成り行きは全く予想不能。そこに、感傷的に繰り返される主人公の亡き母親の思い出も関わってくるんだから、その物語展開・語り口は見事。軽妙な雰囲気と、シャレにならない深刻な社会腐敗の現実が突きつける重々しさが見事に融合して、映画的ボリュームが満ち満ちてますことよ。大ヒットに伴って、シリーズ化も企画予定と言う話が出てくるのも「さもありなん」って面白さで、そっちも期待してしまいまっせー。

 ま、種明かしされた事件の真相の衝撃が高いと言っても、微妙にハッタリ度合いも高くて「それ、本当にそこまで手の込んだことして破綻しないものなの?」って感じもなくはないけれど、それでも…というかだからこそ、この構造が破綻しないまま隠蔽できてしまいそう…と思えてしまうほどには、インドの警察や村社会やあれやこれやが機能不全に陥って色んな犠牲を要求することを日常としてしまってるのかな…と納得してしまうくらいには説得力はある。
 その説得力自体が恐ろしいのが、なんと言ってもこの映画の魅力であり、出演者たちの弁舌の豊かさが形作る魅力ですかね。外から見てるだけでは、容易にその姿を完全には見せてくれないインド社会の、その底の深さ具合を見せてくれる一本でもありましょうか。



受賞歴
2020 Zee Cine Awards テルグ語映画特別功労作品賞・テルグ語映画監督デビュー賞・注目・オブ・ジ・イヤー賞(ナヴィーン・ポリシェッティ)



・本作主演ナヴィーン・ポリシェッティの、ヒンディー語映画デビュー作「きっと、またあえる(Chhichhore)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1978392164&owner_id=3570727



・Agent Sai Srinivasa Athreya を一言で斬る!
「相変わらず、数字と人の顔を瞬時に記憶するインド人の頭の良さ! 探偵業には必須能力ではありますワ!」
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