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2021年09月02日06:32

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8月の読書記録

先月は先々月以上に読書が滞ってしまった。まあ難しめの本の割合が多かったせいもあるか。とりあえずバルトの『キリスト教倫理』を読破できたのが大きかったな。今月はもっと本を読むようにしよう。

2021年8月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3777ページ
ナイス数:119ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■キリスト教倫理 IV(新書97) (新教新書 (97))
前巻に引き続き、表面上の平明さに惑わされて、字面だけを追っていた感が否めない。それでも、かなりの付箋を費やしたので、やはり何かを感じ取っていたのも確かなのだろう。訳者前書きでも触れているように、本書の肝はやはり召命だろう。ただ、一読しただけでは、その真意は測り難く、今後も幾度となく読み返すことになりそう。一クリスチャンでありながら、普段神の存在をあまり意識せずに生活してきたことを改めて反省。また、自由とは神からの制約があってのものというテーゼには今更ながらに考えさせられる。詳細な解説が欲しかったか。
読了日:08月27日 著者:カール・バルト
https://bookmeter.com/books/1245667

■キリスト教倫理 III (新書96) (新教新書)
二巻と同じく、かなり平明な内容に若干拍子抜けした感が。それでもあちこちに付箋を貼っているから、それなりに感じるところがあった筈なのだが、今一つ中身が頭に入っていない(笑)。恐らくその平明さを鵜呑みにするのではなく、さらに深く読み込んでいく必要があるのだろう。いみじくも本書の副題である「生への自由」という言葉は、一見平凡ではあるが、捉えようによっては幾十もの解釈が可能かと思われる。逆説的表現を多用するあのバルトの著作である。平明一辺倒であるはずがない。恐らく一生に渡って読み返し続けることになるだろう。
読了日:08月25日 著者:カール・バルト
https://bookmeter.com/books/1343655

■キリスト教倫理 II (新書 95) (新教新書 (95))
もっと抽象的な内容を想像していたのだが、相当に具体的な内容で、ちょっとびっくり。倫理学とは本来そういうものだとも言えるが。ただ、第一章に関しては、著者の愛人との関係を思うと、素直に読めないというのが正直なところ。また、今日のジェンダー的観点からすると色々と問題が指摘されそうでもある。個人的にとりわけ興味深かったのは、第三章か。国際関係、あるいは隣国との関係を「近い者と遠い者」と表現するのが、著者らしい。どんな場合にあっても、神の声を聞き取ろうとする姿勢。困難ではあるが、そこから始めるしかないということか。
読了日:08月21日 著者:K.バルト
https://bookmeter.com/books/1245765

■木精―或る青年期と追想の物語 (新潮文庫)
北杜夫ってこんな小説を書く人だったんだ…とちょっと驚き。先に読んだ『夜と〜』の「羽蟻〜」の背景になったのが本書だったのか、と納得させられもした。子持ちの人妻でありながら、幼女のような無垢さをも併せ持った倫子の性格、一部男性にはたまらん存在だが、同性からは不興を買いそうな気がするのだが、どうか。また、今では考えられないくらい、海外が遥かに遠い世界だった時代のドイツ留学の過酷さに改めて思いを馳せた次第。そして何より印象的だったのが、幾度となく繰り返されるマンへの思い。「トニオ〜」を強烈に読んでみたくなった。
読了日:08月21日 著者:北 杜夫
https://bookmeter.com/books/433955

■夜と霧の隅で (新潮文庫)
北杜夫って、こんな端正な文章を書く人だったんだ…とちょっとびっくり。表題作は勿論のこと、収録作品それぞれ味わい深い。個人的にとりわけ印象深かったのは、「谿間にて」か。ひたすら幻の蝶を追い求める男の姿とその顛末はどこか悲喜劇的。ヘッセの「少年の日の思い出」のオマージュとも思えるのだがどうか?圧巻はやはり表題作。ストーリーのあらましは知っていたが、そこに日本人患者が存在していたとは意外であるのと同時に、作品がグッと身近に感じられた。彼が選んだ結末はとてつもなく痛ましい。優劣思想と対峙する上で非常に示唆的。
読了日:08月20日 著者:北 杜夫
https://bookmeter.com/books/500193

■路上 (河出文庫 505A)
もっと若い時に読んでいれば、あるいは違う訳文だったらのめり込めたのかも…以前から興味は持っていたが、読みそびれていた一冊。でもいざ読んでみたら、何となしイメージしていたのと違っていて肩透かしを食らったというのが正直なところ。勝手にごく狭い世界での「路上」を想像していたが、いざ読んでみたら、かなり広い地域を巡る旅の話。しかも似たようなゴロつきまがいの人間が似たような話を繰り返すだけ…というのは言い過ぎだが、今一つストーリーにメリハリを感じられず、正直読み通すのが辛かった。とりわけディーンにはやや辟易した。
読了日:08月18日 著者:ジャック・ケルアック
https://bookmeter.com/books/528493

■読まずに小説書けますか 作家になるための必読ガイド (ダ・ヴィンチブックス)
とにかくお二人の圧倒的な読書量に驚愕。ただ量を読んでいだけではなく、ジャンルの幅と読みの深さに嫉妬さえ覚える。僕自身それなりに読書をしてきたと思うのだけれど、存在さえ知らなかった本がこれだけあるのだという単純な事実に恥いるばかり。まあ、書評を職業とするには、あれだけの本を読まなければいけないということなのだろう。また、あれだけの読書量を誇りながら、お二人ともなぜ小説家を目指さなかったのか?というのが気になる。何より改めて物語を紡ぎ出すという作業のしんどさを再認識。小説家なんてなるもんじゃないな…と痛感。
読了日:08月15日 著者:岡野 宏文,豊崎 由美
https://bookmeter.com/books/630720

■和辻哲郎―文人哲学者の軌跡 (岩波新書)
理解の程は怪しいが、一読してかなりの良書だと思った。和辻といえば、純粋な哲学者というより、哲学の素養のあるエッセイストという印象が強いのだけど、その印象は概ね間違っていなかったと再認識。それにしても、西洋の文化を本格的に取り込み始めて、わずか半世紀程の間に、西田を始めとする錚々たる哲学者を生み出したというのは、どれだけ当時の日本が内包していた知的ポテンシャルの凄さを窺わせる。また、和辻と軍国主義や右翼思想家、及び愛国主義との微妙な関係は今後も議論が必要だろう。『倫理学』や他の著作を読んでみたくなった。
読了日:08月12日 著者:熊野 純彦
https://bookmeter.com/books/463756

■子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から
とてつもなくヘビーでしんどい状況を綴っているのに、どうしてこうも笑わせられたり、時には勇気を得たりさえするのか。本書で幾度となく繰り返される緊縮経済への批判、移民との軋轢…現在の日本では問題にされていないが、それでも他人事で済まされない可能性は多分にある。何より多様性をどう捉えるかは、今後の日本の運命を左右する命題という点で、貴重に重要。本書では言及されていないが、他人の靴を履くという例えで語られるエンパシーという言葉の重要さ深さを改めて考えさせられる。地べたのリアルさ、重たさ、そこから始めるしかない。
読了日:08月09日 著者:ブレイディみかこ
https://bookmeter.com/books/12727978

■辻
十一年ぶりの再読。その重厚で豊穣な文体や独特の文学世界を改めて堪能。後半は駆け足で読んできたが、できれば、一日三十分ずつかけて一編の小説を読んでいくというスタイルが相応しいのではないか?と読了後ふと思った。また、この十一年という歳月が、親近者の死や自分自身の老後及び最後をリアルに感じさせるようになったことを痛感。そして、著者の世代の人達は、自分達よりずっと早くに老成していたんだな…と再認識。例えば同じ三十代で妻子がいて家を構えるというのでも、今の人とはどこか胆力の違いが伺える気がする。また再読したい。
読了日:08月08日 著者:古井 由吉
https://bookmeter.com/books/455907

■「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
文章術本の細部をあげつらう本を勝手に想像していたが、実はかなり真っ当な文章術本だったので、肩透かしを食らった感が否めない。それなりに興味深く読めたものの新見に欠けるというのが正直なところ。文章術本の古典ともいうべき谷崎の「読本」からすると、良い文章のあり方に多少の変化はあるものの、基本はほぼ一緒というのはさもありなんというか。また、この世には読みにくいが、それが逆に魅力となっている文章が少なからずあるわけで、そういった文章をどう捉えるべきかという視点も欲しかった気がする。やはり全体的に食い足りなかったな。
読了日:08月07日 著者:藤𠮷 豊,小川 真理子
https://bookmeter.com/books/17225632

■カンタベリ物語〈下〉 (ちくま文庫)
上巻より更に読み進めるのが辛かった…というのが正直なところ。巻末の「牧師の話」など、キリスト教信者である僕でさえかなり退屈だったのに、キリスト教の素養がない人はあれをどう読んだのだろうか?注釈もあまりないし。また、恐らく不正確だと思われる牧師という訳語が多用されているのも気になる。本来だったら、その辺りを解説した改訂版が出て然るべきだと思うが…また、本作は文学史に残る名作だとされているが、本書を読む限り、その文学的価値は理解し難い。その文学的意味の解説も欲しいか。別の訳で読み直すか、悩ましいところである。
読了日:08月05日 著者:ジェフレイ チョーサー
https://bookmeter.com/books/93192

■定年をどう生きるか (SB新書)
毎度のことながら、この人が哲学者と名乗ることに対するモヤモヤ感が止まらない(苦笑)。後、やはり日本語表現として気になる箇所が散見することを除けば、それなりに興味深く読めたか。僕自身、後十年もしないうちに還暦を迎えるわけで、定年というテーマは途轍もなく重たいもの。しかし、この本を読む限り、経済的問題を度外視すれば(もちろんこ問題が一番重要なのだが)、自分の老後はそんなに不安がない気がする。とりわけ、読書の習慣が身についていることが自分の強みの一つになっているな…と今更ながらに痛感。これは大事にしないと。
読了日:08月04日 著者:岸見 一郎
https://bookmeter.com/books/14022263


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