[毎度のシリーズ]
ほぼ毎年再録していますが、今回は新作もあるのでチョイお楽しみに
遠いむかし、小学三年くらいの話です。
たぶん私の見間違えだとは思うのですが、私にはとても怖い思い出です。
我が地域には
【静御前】を祀る仏堂
『静御前堂』
というところがあり、小学生低学年の頃はよく遊びに行きました。
決して近くはない場所でしたが、あの当時はどこまでも歩いて行きましたね。
そこで祭りがあり、私は近所に住んでいる父の妹であるおばさん達と一緒に行った時の事です。
祭り終り帰路につく頃は辺りもうっすらと暗くなっていました。 このお堂から家に戻る道筋はいくつかありますが、一番の近道はむかしの追い剥ぎが出そうな小高い木々が繁った林の中の細い道を通らなければならないない。
この道は日中でも薄暗く、苦手な場所だった。 おばさんはこの日子犬を連れてきていて、帰りは私が抱いて帰りました。
子犬に気をとらとられてトボトボ歩いていたらすでにおばさんとその知人達は既に林を過ぎていて、後ろにも誰もいなくなっていました。 林道は決して長くはなく、1分半ぐらいで通り抜けられるがそれでも怖い。
本当は走り抜けたかったが、子犬が結構重かったので早歩きで通った。 怖い余りに林道両脇をキョロキョロ見ながら歩いていた。
その時あるものが目に入り、私は心臓が止まりそうになるくらい驚き、結局もうダッシュで走りだしておばさんの後でピタッと貼り付く様に止まった。
「何したのそんなに慌てで…」
そんなおばさんの問に私はなにも言わなかった。
私が林の中で横を見た時、少し土に埋もれながら私を見つめていたのは
「総入れ歯」
では無く、むし歯のない歯が生えたしっかりと肉感のある
『歯茎』
だった。
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