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2021年09月01日14:56

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原発雑考第398号の転載    原発容認?の枝野発言  新しいエネルギー基本計画など

原発雑考第398号の転載です。


2021・ 9・5
発行 田中良明
転載自由
連絡先 豊橋市富士見台二丁目12-8 E-Mail tnk24@tees.jp


原発容認?の枝野発言

 立憲民主党の枝野代表が今年2月14日の西日本新聞に載ったインタビューで、「原発を止めれば再処理も止まるので、六カ所村に運び込まれた使用済み核燃料はただのゴミになり、青森県との約束ですぐに県外に運び出さなければならないが、引き受け手がないので運び出せない。したがってただちに原発を止めることはできない」という趣旨のことを述べた。
原自連が、この発言は原発ゼロ社会の速やかな実現を掲げる立憲民主党綱領に反するのではないかという質問状を出し、それにたいして8月3日に枝野代表から綱領に反するものではないとういう返答がなされた。
 枝野発言はおかしい。まず、青森県との「再処理が止まれば、使用済み核燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずるものとする」という約束は、青森県、六カ所村、日本原燃の間で交わされたもので、政府は約束の当事者でないし、内容も、使用済み核燃料をすぐに県外に運び出すことを約束したものではない。政府と青森県の約束もあるが、それは、青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にはしないという内容であり、再処理が止まっても、政府が約束不履行に陥るわけではない。
 それに、そもそもプルトニウム利用は日本でも国際的にもすでに破綻している。そのことに目をつむって再処理工場を稼働させても、国際的な取り決めで再処理して取り出せるプルトニウムの量は限られ、必然的に再処理できる使用済み核燃料の量も限られる。しかもそれで空いたスペースには各地の原発から使用済み核燃料が新たに運び込まれることになる。つまり再処理に固執すれば、かえって六カ所村は実質的に使用済み核燃料の中間貯蔵地であり続けることになるのである。それを避けたければ、原発と再処理を止め、使用済み核燃料の処理方法を熟議によって決めていくほかないのである。
 枝野発言はお粗末だ。その背景には衆院選を睨んで連合や国民民主党などの原発推進の既成組織にすり寄ろうという魂胆が透けて見える。


新しいエネルギー基本計画

 2030年の日本のエネルギー需給の目標を定めた第6次エネルギー基本計画(以下、「計画」と略記)の概略が固まった。社会で利用されるエネルギーのなかで圧倒的に重要なのは電気であるが、CO₂排出削減のために各領域で使用エネルギーの電気へのシフトが進むことで、その重要性は今後さらに高まる。「計画」でも電気についての記述が圧倒的である。
 その電気について、まず指摘すべきは、30年の総発電量が9300〜9400億kWhとされていることである。温暖化対策の基準年である13年が1兆0845億kWhだったから、そこから約14%の減である。19年の総発電量は1兆0238億kWhであり、13年からの6年間ですでに5.6%減になっている。このペースを続けるだけで30年には16%の減になる。加えて、19年から30年までの間に人口が7.6%減ること(13年から19年の間は0.9%しか減っていない)、これから社会全体で本格的な省エネに取り組まれることなどを考えれば、30年までに13年比30%の減が可能だろう。そうなれば、30年の総発電量はほぼ7600億kWhになる。9300〜9400億kWhという「計画」の総発電量は、節電可能性の著しい過小評価にもとづいた過大な想定である。
 つぎに、原発の電源構成比(総発電量に占める割合)が20〜22%とされたことも大問題である。14年の第4次計画でこの数字が掲げられ、それが18年の第5次計画に引き継がれ、さらに今次計画に引き継がれたのである。 この間に原発をめぐる状況は大きく変わった(脱原発指向の定着、発電コストのいっそうの上昇、再稼働の停滞など)。エネルギー全般をめぐる情勢も大きく変わった(50年カーボンニュートラルの目標化、再エネ発電の普及とそれに伴う発電コストの急激な低下など)。そういうなかで、しかも構成比計算の母数になる総発電量の想定も変化しているのに、なぜか構成比だけが微動だにしていないのである。これはどう考えてもまともに計算した結果ではなく、政治的判断によって外から持ち込まれた数字であることは明白だ。
 この原発の電源構成比は、およそ実現不可能であるという意味においても受け入れがたい。「計画」では原発の新設・リプレースは言及されていない。国民の反発が強いことを考慮したためだが、仮に新設・リプレースの推進を掲げたところで、いまから準備して30年までに運転に漕ぎ着けることは不可能である。したがって頼みにできるのは既設原発の再稼働だけであるが、それで20〜22%はとうてい無理である。
 以上に指摘した2点は、総発電量1.3〜1.5兆kWh、火力発電と原発で30〜40%という、先に決定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で掲げられた50年の目標に沿ったものであり、この目標のでたらめさ(本誌390号参照)から派生したものである。
 再エネ発電については、「計画」では30年の電源構成比を36〜38%にするとなっている。この目標については、EUの30年目標が65%であることなどと較べて過少であるという意見がある。同時に他方で、この目標を達成するには10年足らずで発電量を倍増させねばならないが、メガソーラーや大型風力などの大規模な再エネ発電設備を増強する余地はほとんどなく、将来の主役と期待される洋上風力はまだ開発途上で30年に電源として貢献する可能性はないことなどを考えると、過大であるという意見がある。
 どちらの意見ももっともである。こういうことになったのは、日本の再エネ発電が実績も発展可能性も貧弱であるからであり、それはひとえにこれまでの再エネ発電軽視・敵視の政策のせいである(それらの政策は現在もほとんど是正されていない)。
 このことを認めたうえで、総発電量の削減率を上述したように30%とすれば、まったく違った光景が見えて来ることを指摘したい。「計画」の再エネ発電量は3400〜3500億kWh(9300〜9400億kWhの36〜38%)であるが、総発電量が7600億kWh(13年比30%減)になれば、3400〜3500億kWhはその45〜46%になる。EUの目標値には及ばないが、50%に近い数字である。
 それだけではない。「計画」では30年に原発が総発電量の20〜22%を、石炭・石油火力が21%を賄うことになっているが、以下の計算が示すようにそれらをゼロにすることもできるのである。
  ・2030年の総発電量は13年比30%減の7600億kWh。
  ・再エネ発電は「計画」と同じ3400〜3500億kWh。残り4100〜4200億
   kWhはLNG火力で賄う。
  ・19年のLNG火力の発電量は3802億kWhだが、13年に4435億kWh、14
   年に4552億kWhを発電しており、4100〜4200億kWhは十分に可能。
 さらに、上述したような非常に不利な条件の下で30年目標を達成することができれば、それを跳躍台として、その先においては洋上風力などの強力な助っ人の参入も期待できるので、50年にはカーボンニュートラル達成に必要と見込まれる再エネ発電1兆kWhの達成も夢ではなくなる。
 全体として「計画」は、従来のエネルギー政策の枠組みに囚われた、完全に時代錯誤的な内容であるが、30年の再エネ発電目標3400〜3500億kWhという数字は、捉えようによっては意味があるともいえる。


雑 記 帳

 オリンピックの喧噪を別にすれば、コロナと大雨で終わった8月だった。
 雨については、豊橋では12日から19日までに458ミリ(1日あたり57.3ミリ)、18日には1日で181.5ミリ降った。もっとひどかったのは日照で、この8日間の合計が2.9時間、1日あたりわずか22分だった。地球温暖化の影響で海水温が上昇し、水蒸気が大量に発生したことが大雨の原因の1つとされている。このまま温暖化が進めば、西日本では梅雨はなくなり、6月から8月までが雨の期間、つまり雨期になってしまうかもしれない。
 甲子園の高校野球大会で近畿勢がベスト4を独占した。しかも、準々決勝までに敗退した近畿勢2校が負けた相手はどちらも滋賀の近江高校で、近畿勢は他地域勢には無敗だった。もともと近畿は高校野球が強いが、これほど極端な結果になったのは、コロナと大雨で他地域勢がコンディション調整に苦しむなか、近畿勢は地元の利を生かすことができたからではないか。そう考えると、これはコロナと大雨の夏なればこその出来事といえよう。

万場緑地のネコ 第23話 この春からときどき見かけ、8月になってほぼ毎日見かけるようになった1歳くらいのオスの真っ黒なネコ。木陰にじっと潜んで餌の順番を待っている姿が真っ黒な装束の忍者のようだったので、影丸と命名した。私たちの世代に絶大な人気があった白土三平の長編漫画『忍者武芸帳 影丸伝』の主人公の名前である。ところが、名前を付けたとたんに人前にはほとんど姿を現さなくなった。影丸と名付けられて、いっそう忍者らしく振る舞おうとしているのだろうか。

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