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2021年07月26日13:46

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特別展 国宝 聖林寺 十一面観音(1)

7月24日午後、東京国立博物館へ。
「特別展 国宝 聖林寺 十一面観音 〜三輪山信仰のみほとけ」
フォト

聖林寺の十一面観音菩薩立像が、初めて東京においでになる。
これは何をおいても拝観に行かねばなりません。
日時指定券を取り、この日を待ちわびていました。
久しぶりに恋人に会えるような、居ても立っても居られない気持ち。
なにせ、27年ぶりの再会なのです!!!

20代のころ数年にわたり仏像の勉強をする機会があり、奈良や京都を訪れました。
日本のすべての仏像を拝観したわけではないけれど
聖林寺の十一面観音(天平時代)、薬師寺の聖観音(白鳳時代)が大好きです。
両者は全然違います。聖観音は見るからに、若々しく瑞々しい。
聖林寺の十一面観音は、あまりに崇高で、神々しく圧倒的な威厳に満ちています。

14:30過ぎに入館し、特別5室に入ると、控えめな照明の空間。
とにかく部屋の壁に沿ってぐるっと、他のものを先に見ました。
15:00、いよいよ十一面観音にまっすぐ対峙します。

鋭い目、引き締まった口元は、厳しいお顔立ちの印象です。
でも奥の奥に、柔和な慈悲深さをたたえている眼差し。
仏像を拝観するときは、目の合う位置まで下がるのも大事。
相当離れると目が合います。
目の前に参拝に来た人だけでなく、世の中すべてを救う、遠い広い目線。

胸や背中は分厚く、どっしり男性的。
それに対し、後ろから見る腰のくびれ辺りは、艶めかしい女性のようです。
細めの腕や、しなやかな指先しかり。違和感は全くなく、絶妙な均整。

悟りを開いた如来に対し、菩薩はまだ修行中なので、人間に近いお姿です。
普通は瓔珞(ようらく)というアクセサリー飾りを見かけますが
この観音様は召しておらず、それがより男性的に見える一因かもしれません。

衣文(えもん)の流れるような美しさ。
右肩から左腕へ、左肩から右腕へ、風をまといゆるやかに舞うような表現。
実に繊細で、美しい彫刻です。

じっくり拝観しながら、何周もしました。
少し立ち位置や角度を変えるだけで、いろんな発見があります。
そのすべてが美しすぎる。いくら拝観しても飽きません。
天平時代の格の高さ。魂の高い作者に、精魂と祈りを込めて作られたのでしょう。

十一面観音だけを1時間、拝観しました。心から一礼して退出。
出たところで図録やグッズや奈良の食品など、販売していました。
図録は・・・本当に見たいページ以外が多い。手ごろなポスターもありません。
絵葉書を4枚だけ、買いました。

奈良・桜井市、聖林寺の観音堂が、十一面観音のお家。
高台にある聖林寺から見える三輪山、お寺とお堂の空間こそ、いちばん引き立つ。
それでもはるばる東京までおいでになった。
9月半ばの会期中、また会いに伺いたいと思います。

奇しくも同日夜、通販のフェリシモでブレスレットを見つけました。
なんと、聖林寺の十一面観音の光背・宝相華文(ほうそうげもん)デザイン。
ふだんアクセサリーなんて買わないけど、導かれたようで注文しました。

☆☆☆
27年前、平成6年は、聖林寺・観音寺・唐招提寺・新薬師寺を訪れました。
20代の青年が70〜80名ほど、参加したはずです。
私は先生とともに下見も行ったので、この年に2回、4寺をまわっています。

美術研修の数日後、東京でまとめの講義がありました。
聖林寺・観音寺の十一面観音は、ともに国宝で時代も一緒です。

先生がどちらの仏像が良かったか尋ねたとき、観音寺に手を挙げたのは十数人。
聖林寺はたった二人、そのうち一人が私です。

先生は「予想どおりだね。聖林寺のほうが良いという人は、渋好みですね。
同世代より年上のほうが好きというか。でもね、私も聖林寺のほうが好きです」
そんな懐かしい記憶も、鮮明によみがえります。
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