7月21日は、グランドピアノが届いた日。
1990年、社会人1年目のときです。
31年前の6月半ば。
KAWAIに勤める知人の紹介で、グランドピアノフェアに行きました。
到着するや否や、知人の上司まで至極丁寧に応対してくれました。
確実に購入するつもりで訪れているから、そんな気を遣わなくていいのに。
ショパンアニバーサリーという珍しい商品名のがありました。
キンキンしない、柔和な響きで気に入りました。
もちろん、音質は調律でいかようにもできますが。
それにしようか決めかけたとき、別のピアノを勧められました。
弾いてみても、プロじゃないから、違いがそんなにわからない。
自宅で弾くならこちらのほうが、と言われたんだっけ? どうだっけ?
どちらもプーランク「ナゼルの夜」の1曲を試しに弾きました。
自分で決めかけていたから、複雑な心境でしたが・・・
ここは勧められたとおりにしてみよう、と思いました。
それから1カ月、待ちに待ったピアノが届いたとき。
正確には、届くまで、ずっと前から。
最初に何を弾こう? 記念すべき第1曲めを何にしよう?
ドビュッシー「ヒースの茂る荒れ地」にしました。
たった4ページ、すべて3段の楽譜に描かれた風景。
紫系の花が一面に広がるといっても、荒野なのでどこか寂し気。
そして夏の終わりから秋の訪れの知らせでもあります。
でもこの曲、やわらかな、おだやかな、透明感のある温もりを感じます。
高音で表現する鳥のさえずり。余分な音を一切省いた色彩。
楽譜上はそれほどでなくても、完璧に弾くには難しさもある、そんな曲。
今日は21時に帰ってきて、弱音ペダルを使わずに、この曲だけ弾きました。
そしてピアノに感謝の気持ちを込めて、お菓子も買ってきました。
ピアノに!? そう、ピアノに。いつもありがとう。今までありがとう。
練習の間が空くと弾けなくなるのは、単に指だけが原因じゃなくて。
弾けば弾くほど、ピアノは応えてくれる。生き物だと思ってます。
意識的に感情を込めるのではなく、自然に響くのが理想。あくまでも自然に。
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