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2021年07月12日07:42

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SNS「いいね!」非表示は「いいね疲れ」解消にならない?“非表示にできる私”への承認欲求高まるとの声


■SNS「いいね!」非表示は「いいね疲れ」解消にならない?“非表示にできる私”への承認欲求高まるとの声

           
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 フェイスブックとインスタグラムが今年5月、「いいね!」の数を非表示にできる機能を取り入れることを発表した。SNSの「いいね!」の数を気にしすぎて疲れる「いいね疲れ」を起こす人も増えている昨今。この機能はその解消の一助となるのだろうか。AERA 2021年7月12日号で取り上げた。

 ◆◆◆

 明治大学教授で心理学者の岡安孝弘さん(62)は、私たちには人から賞賛されたい「賞賛獲得欲求」と、人から拒否されたくない「拒否回避欲求」があるという。SNSで「いいね」をもらうとそれらが満たされ、安心感を得ることができる。心理学で言う「強化」にあたる。

 「その強化には二つのパターンがあります。ほめられてうれしいと快が生じる『正の強化』、拒否されなくて安心したなど不快が解消される『負の強化』です。『いいね疲れ』に影響するのは多くの場合、後者です」

 例えばインスタグラムに投稿して「いいね」をもらうためには、写真や動画をそれなりに工夫して努力しないとなかなかもらえない。本人が楽しんで「正の強化」でやれている分には、仮に「いいね」をもらえなくてもまだ疲れない。だが「他者から拒否されていないという安心感を得るために」エンドレスにやり続けるとしたら、強いストレスを感じ、精神的に疲れてしまうと、岡安さんは指摘する。

 ■「お返し」にも疲れる

 一方で、「いいね」をする側が疲れてしまうケースもある。

 初心者やシニア向けのオンラインスマホ教室「パソコムプラザ」代表の増田由紀さんはある日、インスタを教えたばかりの60代の女性から「ちょっと疲れちゃって」と相談された。

「その方は『いいね』をもらったら、その人のインスタを見て、お返しに『いいね』を付けていたようなんです。年配の方ほど律義なので、『いいねをいただいたらお返ししないと悪い』と思いがちだと感じます」

 そうした人たちは、SNSを「日常のコミュニケーションとは異質の、特別なシステムのように」思い込んでいることが多いと、増田さんは言う。

「SNSも人付き合いの一種。気軽に楽しんでと伝えています。『いいね』で疲れてしまうなんて、もったいないですから」

 いいねをお返しして、疲れてしまう。これは律義な年配の人に限らない。前出の岡安さんはその心理をこう解説する。

「『いいね』をもらったら、ちゃんとお返ししないと、その人から排除され、仲間外れにされるかも。それはすごく不安ですよね。そこを解消するために『いいね』を返す。この行為も『単に安心するためだけに続ける努力』ですから、ひじょうに疲れてしまうと思います」

 ■やはり逃れられない

 では、今回のフェイスブックやインスタの措置は、有効なのだろうか。

 岡安さんは懐疑的だ。SNSを使う人が「賞賛獲得欲求」と「拒否回避欲求」を持つ限り、そこにアクセスする際には、自分が安心できる何らかの「結果として生じる好ましい事象」を求めるはずだと言う。

 「たとえば『いいね』の機能がなくなれば、それに代わる機能を持つ他のアプリが台頭するかもしれません。また、これまで『いいね』をただ押せばよかったところを、メッセージを書いて相手を承認しないといけなくなれば、もっと疲れる可能性もあるかもしれませんね」

 筑波大学教授で社会学者の土井隆義さん(60)は、今回の対応が「いいね」の表示/非表示を「選択させる」点に注目。「いいね」を見えないように、つまり「自分は『いいね』を求めなくても生きていける」という選択をする人は、「そういう自分だ」ということを、また誰かから承認してもらわないと安心できないのでは、と話す。

「ひとりキャンプ、ひとりカラオケなど『ソロ充』を求める人たちも、1人でキャンプする様子を写真や動画に撮ってインスタグラムにあげたりします。『人と群れなくても1人でこんなに充実している私なんだよ』ということを、周りに認めてもらいたい。実は承認の構図から逃れられてはいないんです」


 同様に、「いいね」の非表示を選択しても、「私はそんなことにとらわれずに充実できている人間だ」ということを周りから承認してもらわないと、それはそれできつくなってくる。そう、土井さんは言う。

「そっと非表示を選択するのではなく、声高に『いいねを非表示にできる私を見て!』が必要になるとか。それもまた、疲れてしまうかもしれませんね」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2021年7月12日号より


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