中期防の前倒し改定、自民が衆院選公約 中国抑止へ検討
安保戦略・大綱の見直しも視野
2021年6月27日 1:00
自民党は秋までにある衆院選の公約で、5年ごとの中期防衛力整備計画(中期防)の改定を明記する検討に入った。軍事力を強化する中国を抑止するため防衛装備品などの購入に充てる防衛費を増やす狙いがある。中期防の前提になる国家安全保障戦略や防衛大綱の見直しも視野に入れる。
中期防は5年ごとの防衛費の見積もりや必要な装備品の数量を定める。おおむね10年間の防衛力の目標水準を示す防衛大綱の裏付けとなる経費を示す内容になる。
今の計画は2018年末につくり、19〜23年度の防衛費を27兆4700億円程度と定めた。通常なら次の改定は23年末になるが、策定から3年後に国際情勢などを踏まえ再検討できると定める。
21年は現行の中期防の3年目にあたり、自民党内で「防衛費を増やすため前倒しすべきだ」との声が広がる。
菅義偉首相は4月にバイデン米大統領と会談し、共同声明で「日本の防衛力強化の決意」を確認した。中国が「核心的利益」と位置づける台湾に武力侵攻するのではないかと日米は警戒する。
共同声明では52年ぶりに「台湾海峡の平和と安定」に触れた。台湾は沖縄県・尖閣諸島と170キロしか離れていない。台湾有事は尖閣防衛の問題に発展する恐れがある。
防衛力をどう強化するか。自民党は組織的な戦闘を長期間にわたって続ける「継戦能力」を重視する。台湾有事が起こった際、米軍の主力が本土から駆けつけるのにおよそ3週間かかる。
それまで最前線で戦う在日米軍などへの後方支援は自衛隊が主に担う想定だ。大量の弾薬や燃料、装備品の部品の備蓄が必要になる。
新領域の技術開発も念頭にある。岸信夫防衛相は17日、欧州議会のオンラインでの公開審議で「宇宙やサイバーなどの技術に投資したい」と語った。各国が注力する人工知能(AI)や無人機の実用化も急ぐ。
各国の19年度の国防費を比べると、日本は国内総生産(GDP)比で0.9%だった。米国は3.05%、ロシアは2.75%、韓国は2.44%、中国は1.25%になる。
過去10年間で日本は防衛費を1割増やしたが、中国は2.4倍、ロシアは2.6倍に膨らんだ。
北大西洋条約機構(NATO)は加盟国の国防費をGDPの2%以上に引き上げる目標を掲げる。トランプ前米政権は同盟国に少なくとも2%にするよう要求した。
自民党の防衛相経験者は「米政府からの防衛費の増額圧力はこれからも続く」と見る。
自民党は衆院選の公約で、13年にまとめた国家安保戦略と18年に改定した防衛大綱の見直しも掲げる見通しだ。
現行の戦略は国際社会の安定に進んで取り組む「積極的平和主義」を掲げる。中国の台頭や米中対立といった安保環境の変化に合わせるべきだとの意見が出ている。
代表例が経済安保で、重要な技術流出の防止策への意識が乏しいとの指摘がある。装備品の性能や重要インフラに関する情報が漏れれば日本の安保に影響がおよぶ。
安保戦略や防衛大綱は自衛隊と米軍の役割分担を定める日米の防衛協力の指針(ガイドライン)に連動する。これらの一体的な改定を含め党内の論点になる。
自民党は14年衆院選の公約でも安保問題を具体的に記した。「重点政策」に日米ガイドラインの見直しのほか、集団的自衛権の行使容認を念頭に「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備する」と盛った。
安全保障関連法成立後の17年衆院選は経済政策を前面に出し「日米同盟をよりいっそう強固にすることで抑止力を高める」などの記述にとどめた。
自民党が次期公約で防衛力強化を掲げるのは世論の動向も一因だ。日本経済新聞社の1月の世論調査で日米関係で期待する政策を複数回答で聞いたところ「中国や北朝鮮への抑止強化」が54%でトップだった。
新型コロナウイルス対策や自由貿易体制の推進、脱炭素化への協力などを上回った。日本が台湾海峡の安定に関わる賛否を聞いた4月の質問で「賛成」が74%に達した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA239IG0T20C21A6000000/
>北大西洋条約機構(NATO)は加盟国の国防費をGDPの2%以上に引き上げる目標を掲げる。トランプ前米政権は同盟国に少なくとも2%にするよう要求した。
日本の国防費がGDPの2%に達するまで、圧力が続くでしょう^^;
台湾防衛は、米国だけでは守り切れないので是非とも同盟軍との協力が必要なのだと、言い包められそうですw
「米軍は中国軍より弱い」とアメリカが主張する狙いは?
2021年4月22日(木)11時02分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/post-96131.php
直接米中が戦うのは、まだまだ先でしょう。
その前に、人工知能(AI)や無人機の実用化や、サイバー攻撃に対するセキュリティー技術への投資などが盛り沢山です。
軍事研究を容認する大学を中心に、私学助成金をばら撒く時期が来てます♬
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