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2021年05月13日02:28

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管理社会・性悪説とウェーバー

昨夜(5/12)のBSフジ『プライムニュース』
番組自体はイマイチだったのですが、番組最後の先崎彰容の質疑応答が、なかなか興味深い内容だったので、見逃し配信で再確認してしまいました。せっかくなので、文字に書き残しておきます。

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(反町)東京の男性からこんなメールが来てます。「今までの日本社会は性善説に基づいて物事を判断し、自由を謳歌しているように思われますが、今後の日本社会は性悪説に基づいた管理社会に、緩やかにでも移行する時期に来ているのではないのでしょうか」 いかがでしょう?

(先崎)まあ管理社会を、先崎は肯定しているように聞こえたのかもしれないが(笑)、今日、2冊の本を紹介しますよ。ぜひそれを読んで自分で考えてみるのがいいと思いますよ。
 1つは、「絶対的に自由を死守すべきだ、管理はいけないんだ」と言ったハイエクという人の『隷属への道』という本。
 それから、「そういった社会をどういうふうに構想するのか、政治家とはどうあるべきか」というのが、マックス・ウェーバーの、ここにありますけど『職業としての政治』。この2つを読むことによって考えてみるのが、管理社会が良いのか悪いのかを考えるきっかけにしてもらえればいいと思います。

(反町)ただ、先崎先生の今日のお話を伺っていると、性悪説……って言っちゃいけないのかな。でも、先崎の先生の言葉でいうと「奥深さ」……。

(先崎)あのね、性悪説っていうのは、やっぱりよくないんですよ。悪なんじゃなくて、人間は悪を含めて、きわめて、何ていうのかな〜、バケモノのような存在なんですよ。だって、妖怪とかを考え出したのは人間で、井原西鶴が「人はバケモノだ」と言ってるんだから。
 それを手なずける。つまり、資本主義が暴力だって、さっき仰ったけど、資本主義も暴力、社会主義も暴力なのかもしれない。つまり、「人間は暴力をどう手なずけるか」ってことを書いたのが、この本(『職業としての政治』)なんで、ぜひ読んでみてください。

(反町)それ、自分で自分をコントロールできるか、っていう意味ですか?

(先崎)だって、人間はそうするしかないから、いろんなものを導き出してきたんじゃないですか、宗教も含め。

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マックス・ウェーバーには詳しくないのですが……、
ウェーバー自身は、強い価値観・強い主義主張の持ち主で、政治的な主張・提言をたくさんしたにもかかわらず、学究においては、主観的な価値判断と客観的な事実判断の峻別を徹底する――という、一人二役的な人生を送った人なんですよね。なので、管理社会とか性悪説という文脈で、ウェーバーの名前が出てくるというのが、なんとも興味深いです。

ちなみに……、
昨夜のテーマは、『気鋭哲学者×伊吹文明 コロナ感染と資本主義 緊急事態宣言と日本人』というもの。

 ゲスト
 伊吹文明 元衆議院議長 元財務大臣 自由民主党衆議院議員
 先崎彰容 日本大学危機管理学部教授
 斎藤幸平 大阪市立大学大学院経済学研究科准教授

「気鋭哲学者」として出演していた斎藤幸平という人が、全共闘の学生みたいな稚拙なマルクス主義者にしか見えなくて、「いつの時代の議論なんだよ」と思いながら聞き流していました。「金持ちには8割くらい課税しろ」とか、発言内容があまりにも子供っぽかったせいか、対論相手の伊吹文明も苦笑しながら、「もういいです」というゼスチャーをしていました。

斎藤氏は、アメリカでサンダースを支持している若者と同世代とのことで、彼らの気持ちがよくわかると言っていました。
ボクは、マルクス主義を全否定する気はないですが、若い世代が過去の歴史や失敗を吟味することなく、安易な主張を再生産している姿を見ていると、こういう風にして、人間の過ちは繰り返されるのか――などと思ってしまいます。

それはそれとして……、
番組では、伊吹文明が、一橋大学の安丸良夫(日本思想史、宗教史)の名前を出して、「日本社会は、西欧のような一神教社会ではないので、唯物論は単純には当てはまらない」という話をする場面がありました。そうしたら、先崎氏が「今日、何より感激しているのは、伊吹先生の保守主義というのが、私が考えていることに近くて驚いた。しかも、安丸先生の話までしてくださって……」などと感激していました。(笑)

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