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2021年04月29日01:39

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日本語の壁を岡山弁で飛び越える (#464)

side A
1. 煙夜の夢 / 森は生きている
2. Gagarin / Moses Sumney

side B
1. 影の問答 / 森は生きている
2. 恋は思いのまま / 一十三十一
3. Lost in Yesterday / Tame Impara
4. マイ・ロスト・シティー / Cero
5. 何なんw / 藤井風

bonus
1. さん! / Cero
2. さよならべいべ / 藤井風
3. Shot in the Dark / AC/DC
4. そのいのち / 中村佳穂
5. Televised Mind / Fontaines D.C.
6. 罪の香り / 藤井風

#460で触れたMM誌の『2010年代の邦楽アルバム・ベスト100』から何枚か選んでオーダーしたものがレベル3に反映されてきました。最新の643枚めを組み上げて早速のウォークです。642枚めは飛ばしてしまいましたが近いうちに紹介します。

いきなり17分に及ぶ3部構成の大曲「煙夜の夢」からスタート。まだ明るい時分で煙夜の…の雰囲気には遠いかと思われましたが、案外3部めの「煙夜の夢(夜が固まる前)」の曲調はカントリー調だったりして、しかもあっさりした終わり方なんですよね。
同特集で19位にランクされた、<森は生きている>というかつて存在したグループの2作目にして最後のアルバム『グッド・ナイト』。もちろんこの大曲が最大の聴きもので、時間的および形式的制約からの解き放たれ加減と決して饒舌ではないもののきわめて充実したインタープレイが近年稀にみるほどの聴きごたえ感を味わわせてくれます。
岡田拓郎さんのギターを聴くだけでも十分、しかも彼自身がミックスに膨大な時間を費やしたというだけあって音像の研ぎ澄まされぐあいも見事なものです。

ただ、これは「MMで持ち上げられてるアーティストあるある」かも知れませんが…ヴォーカルが弱いんだよなあ…。
ロックギターのイディオムをふんだんに使いながらもロックのマッチョ性とは正反対のベクトルを志向している彼らの音楽にとって彼の声質はまさしく「タイプ」なんではありましょうが…結局のところ良質な音楽が「売れるかどうか」を左右しているのは結局ヴォーカルの力量が大半、ということになっちゃってるんじゃないでしょうか。それも10倍とか100倍とかいうスケールの話で。

もうひとつ気になったのはこのバンド、4ピースなんですが、なんと専任ベーシストがいないんですね。アルバムでは岡田さんが全曲ベースも弾いていて、しかも曲によっては存在感もあって僕の持論「結局巧いギタリストの弾くベースがいちばん上手い」にもう一つ裏書きを加えてくれてるわけなんですが、
これほどのバンドが「ベースレスで運営されて」しまっていた、ということはちょっとサビシい。このテーマについては642枚めを使って歩いたときにまた取り上げることになります。

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藤井風くんのことは1年前くらいに報道ステーションで十分な時間を使って紹介されていた時に初めて知りました。最近のJポップが何組かの新人の登場により急速に刷新されつつあることはなんとなく解ってはいたものの、個人的な好みにビシッとハマるものは限られるんだよなあとの思いがありましたが、
この若者は違うなあ! オーセンティックな洋楽のグルーヴとクォリティ感を最初から身につけてる感があり、それを素直に表現している人って結構居ないような気がして、気になってはいたのです。
その後同番組でもう一度観る機会があり、それから間もなくMMの2020年年間ポールでJポップ/歌謡曲部門の…1位に輝いちゃってるじゃありませんか、彼のデビューアルバム!
(しかしまあ…このかっこいいポートレイト・ジャケのアルバムがとっくに出ていることもろくに知らなんだのですから…困ったもんです)

…ただ、なんで「ロック(日本)」じゃなく「Jポップ/歌謡曲」なんだろうなあ…という疑問符はあったのです。同ポールの「ロック(アメリカ/カナダ)」1位のモーゼス・サムニーなんてちっともロックじゃない気もするし。R&Bだったら解りますが。
…まあ、モーゼスをあえて「ロック」のほうに入れるのは、ボン・イヴェールやジェイムズ・ブレイクも入ってることを考えたら「当然こうなる」ということでもあるのでしょう。しかし藤井くん、ロックじゃないのかなあ…?

選曲のためにヘッドフォンでじっくり聴くと、なんとなくその理由がわかったような。要は、ヴォーカルのバランスが「ロックにしては大きい」のではないかなあ…。あくまで「ちょっと」のレベルですけど。
これと関連するのですが、このアルバムHELP EVER HURT NEVERのプロデューサーYaffleさんがつい最近関ジャム出演時に話していたのですが、彼によると「ギターの音は周波数帯域的にヴォーカルを邪魔しやすい」のだそうで。確かにこのアルバムでギターの音が前面に出ている場面は「さよならべいべ」という8ビートが強調されたナンバーにおけるディストーテッド・リフを除きほとんどありませんね。
個人的にはそのコメントを聞いた瞬間「そういう考え方は良くないなあ。少なくとも俺にとってのロックな音ではないなあ」という風に感じたのでありました。

しかし、そんな些細なズレを別にすれば、見事な音楽ですよ。MM推しのアーティストにしてはヴォーカルの力量も飛び抜けてるし。Yaffleさんの仕事だって立派なものです。
それに、ギターサウンドの不在を補って余りあるのが、彼の岡山弁をふんだんに盛り込んだ歌唱。日本語との相性が難しいと思われていたR&Bグルーヴを、難なく乗りこなしてる感さえあるんですよ。これ、東北弁には逆立ちしても無理だわね。

アルバムのオープニング曲「何なんw」を最初に耳にした時にまず浮かんだのはdbCliffordという人のSimple Thingsという曲でした。彼もスティーリー・ダン〜ジャミロクワイのフォロワーを公言している人でしたが、残念なことに売れなかったなあ…すごく良いアルバムだったんだけどね。今のアメリカって、売れる要素にすごく変なハードルが一杯ある感じですよね。
でもここ日本だと、藤井くんが売れる可能性は十分あるような気がする。特に40代以上男性に大きなマーケットがあるんじゃないかと。報ステがプッシュしてるのもそういうことなんじゃないですかね。

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本日触れられなかったアーティストについては次の回に必ず!
今日は…マズいマズいマズい。81.1も…。
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