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2021年04月25日12:32

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115-11話-1 詩・短編を書いてみた(第1952回)

【養子の魔王様】
110-11話-1「龍の首輪を持った少女」
【あらすじ】
ある日のこと。
僕が魔城の庭で用事を済ませていると。

人が乗った小さい龍が降りてきた。

『何だ、あれ?』


そのような龍を初めて見た僕は
敵が攻めてきたのかと思い
警戒しながら近づいく。

すると――。

『すみません。こちらにミカエルさんはいらっしゃいますか?。荷物を届けにきました』
『え、荷物…?』

予想外の言葉に戸惑う僕。

すると
僕の後ろから『すみません』と言いながら
ミカエルさんが駆け足で近づいてきた。

『お忙しい所ありがとうございます』
『いえ、こちらこそご利用ありがとうございます』

二人はそう言葉を交わし
ミカエルさんが彼から荷物の受け取った。
その後
龍に乗った人は
その龍の背中に乗って飛び去って行った。

あれは一体…。

『ミカエルさん。あの人は何なのですか?』
『あの方々は「リュウビ族」と言います』

リュウビ族…?

ミカエルさんから教えてもらった。

かつて魔界には
火を吹いたり
空を飛べたりする龍が
今よりも沢山いたという。

そして戦争の際。
その龍を兵器として扱おうと考えた前魔王が
敵のみに攻撃するように調教させようと指示し
生まれたのが魔王直属の攻撃部隊「リュウビ部隊」である。
しかし
戦争が終わり
役目を失った彼らは自ら城を離れ
とある場所に「ミアナ」という町を作り
今は物資の運搬などをしながら
「リュウビ族」と名乗りながら
生活しているという。

そんな人達がいるのか…。

そう思っていると
ミカエルさんが『会いに行ってみますか?』と言う。

『えっ!?。行けるんですか?』
『はい。リュウビ族には少し用事があるので。そのついでに王子も見識を広げてみるのも良いと思います』

こうして
僕はリュウビ族のいる
ミアナへ向かうことになったのである………

―――――――

後日。
僕はミカエルさんと一緒に
迎えに来たリュウビ族の龍に乗り
彼らが住む町へと向かう。

幾つかの山を越え
少しお尻が痛くなった頃
山岳に囲まれた小さな町が見えてきた。

あれがリュウビ族の住む町のようだ。

僕達は端にある町の玄関口へと降りる。
町は自然の中に作られたような感じで
人よりも生き物が好みそうな雰囲気だ。

龍から降りると
この町の人が数人近づいてきた。
どうやら偉い人のようだ。
ミカエルさんは彼らと少し話した後
僕の方を向いて――。

『では王子。私は用事を済ませてきますので、それが終わるまで自由に散策されてはいかがですか?』
『え、いいの?』

ミカエルさんはさっきの人達から一人。
若い人を案内人として僕に付けてくれた。

僕はミカエルさんと別れ
案内人と共に町の散策を始めた。

町は売店や役場など町として当たり前の物が存在し
違うとすれば
大小の龍が町のあちこちにいること。

きっと
彼らの生活を支えている所だろう。

そのような感じで町を見て周り
散策を終えようとした
その時だった。
僕は建物と建物の間に
人が通れる抜け道のような獣道を発見した。

それを案内人に尋ねると。
道の方向から「龍の寝床」に通じてるかもしれないという。

龍の寝床…。

その場所が気になった僕は
案内人の許可をもらい
龍の寝床へ行ってみることにした。

その道をしばらく進むと
僕の世界でいうところの「コロッセオ」のような外観の建物が見えてきた。
そして
その建物の穴の1つ1つに
大小様々な龍が
寝床として使っている光景は
まさに圧巻だった。

凄い…。

胸の高鳴りを感じながら
建物を見渡していると
龍に付いた鎖のリードを持った
少女を見つけた。

僕は案内人さんに彼女のことを聞いた。

彼女の名前は「ララティーナ」。
戦前から続く龍を調教して
管理する「龍守り」の家系の生まれで。
その実力は歴代最高と言われており。
彼女にかかれば
どんな龍でも調教させてしまうらしい。

ただ
彼女は大の人嫌いで。
リュウビ族の人達も
彼女との交流はほとんど無いという。

『そうなんですね…』

僕は案内人に向けていた視線を彼女に戻す。
すると
彼女はこっちを見ていた。

僕達に気づいているようだ。

僕は彼女に手を振る。
しかし
でも少女は表情1つ変えず
奥へ消えていった。
雰囲気だけだが
人嫌いというのは本当らしい。

『ララティーナさんと話せないですか?』

僕は案内人に尋ねたが
彼は首を横に振った。

どうやら
彼女と話す以前に
あの建物に入るには
この町の長老の許可がいるらしい。

残念だなぁ…。

そう諦めようとした時
どこからか人の談笑する声が聞こえてきた。

僕達は咄嗟に身を隠す。

一体誰だ…?

その声は徐々に大きくなっていき
このエリアに入ってきた。

僕は胸の鼓動を感じながら
ゆっくりとその姿を見る。

そこにいたのはミカエルさんと
ここに来た時にミカエルさんと話していた若者。
そして
髭の生えたご老人の3人。

『あのご老人は…?』

案内人さんに尋ねる。

彼は『長老です』と教えてくれた。

あの人が長老…。

確かに身体は年相応だが
何かを極めたかのような雰囲気を感じる。

ただ、どうしようか…。
とても出れる状況でもないし…。

そう思った時
突然
長老が僕達の方を向いた。

僕と完全に目が合っている。

そして
何故だろう…。
その目から視線を離すことが出来ない。

その状況に気づいたミカエルさんが
長老の視線を追い
僕達を見つけた。

『お、王子!?。どうしてここに…』

僕達は隠れていた場所から出て
ミカエルさんらに
偶然ここに来てしまった事を説明した。

その説明に
ミカエルさんらは納得してくれて
その流れで
隣にいる長老の事を紹介してくれた。

長老の名前は「マルクス・スタンフォード」
リュウビ族を束ねる長老で
ミアナ町の首長をしているという。

僕は長老に頭を下げて挨拶をした。

長老はそんな僕を
気に入ってもらえたのか
僕を受け入れてくれた上に
皆と同行することも許可してくれた。

『では、君は帰ると良い。町の案内、ご苦労だった』

長老にそう言われた案内人さんは
頭を下げて町へ帰り
付き添いの若者は
入り口の見張りを始めた。

『では、参りましょうか』

長老は龍の寝床に向けて歩きだし
それに着いていくように
僕とミカエルさんも龍の寝床の中へと入った。

――――
112-11-2話


『お〜い、ララティーナ』

長老がそう呼ぶと
奥からララティーナが出てきた。

最初に見た時は気づかなかったが
僕は彼女を見て驚いた。
龍を調教する人とは思えないほど
姿は小柄で
とても
この仕事を担えるようには見えなかったからだ。

何で彼女が龍の調教を…?

そんな疑問を抱いていると
長老がララティーナに言う。

『ララティーナ。例の龍の調教は済んでおるか?』
『はい…。出来ております』

彼女は弱々しい声でそう答え
この奥から鎖に繋がれた龍を連れてきた。

その龍は随分と大人しそうである。

その龍を見て
長老は驚きと喜びの声を出した。

『おぉ…。あの暴れ龍をここまで大人しくさせるとは…。やはり、ララティーナに任せて正解だった』

長老はララティーナから龍に繋がれている鎖を受け取り
誇らしそうに龍の首を撫でている。

彼女の技術は本当に凄いようだ。

僕は声を掛けようと
ララティーナに視線を向ける。

彼女は寂しそうな目をしていた。
表情は変わってないが
そう見えたのだ。

『では、ララティーナ。ミカエルさんの頼まれた物は出来ておるのか?』

長老の質問に
ララティーナは目を伏せる。

『申し訳ありません。実はまだ出来ておりません』
『そうか…。君にしては珍しいな』
『……』
『まぁ、いつも頑張っておるのだ。そんな時もあるだろう』
長老はミカエルさんに顔を向ける。

『という訳なのだが…。ミカエルさん、もうしばらく待って頂いてもよろしいか?』
『私は構わないですよ。焦って出来る物ではないですから』『そう言ってもらえると有難い。では、我々は宿の準備をさせて頂きますので、皆さんもそちらに…』

僕とミカエルさんは長老にお礼を伝え
その宿で休むことになった。

その日の夜。
その宿で休んでいる時。
あらためて
僕はミカエルさんにここへ来た理由を尋ねた。

ミカエルさんが
ここに来た理由は「龍の卵」を手に入れるためだという。

龍の卵とは
母親のお腹で温めれば
その子供が生まれる物なのだが。
それ故に
膨大な魔力エネルギーが
その卵に込められているという。
それを摂取すれば
あらゆる身体の不調が消し飛ぶと言われているほど。
また
「龍の卵」は別名「魔力の卵」とも言われていて。
エネルギー変換をして
1つ摂取すれば
大魔術を何度も使える程の魔力が
込められているという。

僕は『何に使うの?』と聞いてみた
しかし
ミカエルさんは
それを何に使うかは教えてくれなかった…。

それから僕とミカエルさんは
「龍の卵」が出来るのを待っていたのだが
数日が経っても
ララティーナからの連絡はなかった。

その事に
『さすがにおかしい』と思った長老は
アポ無しで龍の寝床へ訪れた。
すると
ララティーナが「龍の卵」を隠していた事が発覚したのだ。
長老はすぐにララティーナを
自分の屋敷に呼びつけた。

その話を役人から聞いた僕とミカエルさんは
長老の住む屋敷へ向い
二人がいる部屋へ
メイドさんに入れてもらった。

その部屋で彼女は
長老から叱責を受けていた。

長老は『何故だ!』『どうしてだ!』など声を荒げて
彼女を問い詰めている。
しかし
彼女はうつ向いたまま一切答えないまま。

その表情はまるで
不甲斐ない自分に嘆いている。
…というわけではなく
ただ時が過ぎるのを待っているかのようだった。

少しして長老の感情が落ち着き
ララティーナは龍の寝床へと帰された。
彼女がいなくなった後。
長老はため息を1つ吐く。

『すみません。お見苦しい所を…』

そう言って謝る長老。

僕達は長老に詳しい話を聞いたが
聞いた話以上の情報は分からなかった。

一体、何があったのか。
こればかりは
彼女に聞いてみないと分からないだろう…。

そこで僕は
長老に『彼女と話をさせてください』と申し出た。

それが予想外だったのか
長老は戸惑う表情を見せる。
僕は『何か理由があると思うんです』と言ってお願いすると。
長老はミカエルさんを見て
少し考えた後
その許可をくれた。

僕はお礼を伝え
ミカエルさんと一緒に
ララティーナのいる龍の寝床へ向かうのだった…。


続く――――

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