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2021年04月06日21:22

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山野の恋愛奮闘記

はい、こちら前回の日記で友人へのシンプルな悪口を公開し、その上で今回はその友人の恋愛遍歴を晒そうとしている葉桜です。
株、暴落の恐れ急上昇中。

次の日記では、なんか凄く爽やかで清らかで美しいテーマにしないと取り戻せない。
そんなテーマで書いたことないけれど。

では、せっかく書いたので、またお付き合いいただけると幸いです。


山野くんが、恋をしたという。

「気になっている子がいる」という話は少し前から聞いていたのだが、どうやら私の知っている人だというので俄然興味が出てきた。
私も30代になって、周りの子で既婚者も増えてきており、こんなコイバナを聞くのは久しぶりだ。

そもそも私は学生時代から恋愛相談を受けることがほとんどなかった。
クラス全員が「AさんはBくんのことが好きである」みたいなことを知っていたとしても、私だけ知らされていない、ということはザラだった。
私の耳に入る頃には「好きになって、付き合って、すれ違って、別れました」という一連の流れ全てが終わっていたこともある。

ずっと仲がいいと思っていた友人から「私、高校のとき○○と付き合ってたやん?」と、さも「周知の事実とは存じますが」言わんばかりに言われたときには結構ショックだった。
友人よ、私、教えてもらってない。
これはあれだね?葉桜に「○○と付き合ってた」と知らせるのを忘れていて、かつ「葉桜に○○と付き合っていたということを知らせていない」ということも忘れていたという、二重の忘却が発生しているね?
寂しいじゃないの。幼稚園からの付き合いなのに。

まぁ「えーっと、恋愛経験が豊富…ではないですよねwごめんなさいww」みたいな容姿をしているし、相談されたとしてもぽかんと口を開けて「あ…へぇ…」と阿呆のようなリアクションしかできないので仕方ないのだけれども。


話を戻そう。久しぶりに降りかかってきたコイバナ。
相手が誰なのか無理に聞いてはいないが、山野が「葉桜っちになら教えてもいいよ」というので、教えてもらったところ「すーちゃん」と言われた。

すーちゃんとは、和菓子販売店で働く、優しくて快活な女の子だ。
彼女の得意料理はパスタの上にレトルトカレーをぶっかけたカレーパスタである。
なるほど、良い子を選ぶではないか、と謎の上から目線で葉桜は頷いた。

好きになったきっかけは、一緒に歩いていて山野が「コーヒーが飲めないんだ」と話していたら、別れ際に、すーちゃんが自動販売機でリンゴジュースを買って「お子ちゃまはこれでも飲んでな!」と言って渡してくれた時らしい。
中学生か!
でもなかなか素敵なエピソードである。あまずっぱい。アオハルじゃないか。
ちなみに後日この話をすーちゃんにしたら、すーちゃんは1ミリたりとも覚えていなかったという。
うん、人生ってそんなモンだよね。どんまい。


数年前、私、山野、すーちゃん、レオたんの4人で『フリー・インドア・4人の会』というグループを作っていた。その名のとおり、恋人がおらずインドア趣味の4人グループで、よくグループ電話をしたりしていたのだが、みんな仲がよく、8時から通話開始したら日付が変わるまで通話は続いた。
皆と話すのが楽しくて、もっと話していたいのだが、いつも私が一番最初に「ごめん…眠くなっちゃった。もう寝るね」と根を上げた。
私以外の3人は私と同年代のはずなのに、1時になっても2時になってもまったくテンションが下がらず、いつも寝落ちる私に対してテンション高々に「はいよー!」などとインディアンのような掛け声をかけ、3時や4時になるまで語り明かしていた。

私もレオたんも山野の気持ちは知っていたが、積極的な手助けはしないものの、2人の動向を見守っていく、というスタイルを保っていた。

山野に「告白はしないのか」と尋ねたのだが、彼は当時、仕事も精神的にも不安定な状態で「そんな状態で友達以上の関係を望むのは不誠実だと思う」と答えが返ってきた。
真剣な彼に告白を急かすような野暮なことはしたくない。
「恋のモラトリアム。悪くないだろう」などと呟き、私は傍観者に徹することにした。

ある日、フリー・インドア・4人の会で「いま恋人は欲しいか」というテーマトークになった。


葉桜「前回の恋愛でものすごく疲弊したので、あの徒労感を再度味わう可能性のあることを始めようとは思えないでいる」

レオ「いまは特定の相手はいない。最近知ったのだが、元セフレが親友と付き合っているらしく、地味に精神的ダメージを食らっている」

山野「気になっている人はいるけど、いまは告白するつもりはない」


3人の回答は以上のとおり。
山野の匂わせ発言が癪に障らない、といえば嘘になるが、まぁ彼の正直な気持ちなのだから仕方あるまい。

さて、気になるすーちゃんの回答。


「いまは『どうしても恋人欲しい!』って気持ちではないかな。
 元カレがいま上司として同じ職場で働いていて、向こうはもう結婚してるし、また付き合うってことはないんだけど、付き合いが長いだけあって、一緒にいると安心感はある。
 でもそれは『親友』『戦友』とかいう関係なんだなって思うようになったよ」


ほう。なかなか良いご回答ではないの。
山野はいま告白するつもりはない。
そして、すーちゃんもいま恋愛するつもりはない。
はー、ベストタイミングってあるもんだねぇ。

私はそう納得して、いつもどおり12時過ぎくらいに「ごめんなさい、もう限界です」と自己申告後、眠りの世界へずるりと落ちていった。

そして翌日、大好きなすーちゃんと長時間話せて山野はさぞかしウキウキしているだろうと思い、ちょっと冷やかしてやるかと軽い気持ちで「やあ山野くん、昨日は楽しかったね」と声をかけてみたら、山野はこれでもかというほど落ち込んでいて驚いた。

本気で心当たりがなく、「何?どーしたのっ!?昨日なにか落ち込むようなことあったっけ!?」と尋ねたら、山野は暗いといった表現を超えて暗黒のような声で「だって、すーちゃん、元カレ命みたいなこと言ってた…」と唸るように答えてくれた。
「すーちゃん、そんなTIMみたいなこと言ってなかったじゃん」と思ったけど、山野は聞く耳を持たなかった。
聞けば私が寝た後、3時まで話してから、すーちゃんは眠りにつき、そのあと死ぬほど落ち込んだ山野をレオたんは2時間慰め続けたという。レオたんは一体いつ寝るのだろうか。


そんなすーちゃんがある日、風邪をひいた。
季節の変わり目だったこともあり結構症状は重く、ひたすら寝て過ごしているらしい。

「すーちゃん、可哀想。大丈夫かな」と思いつつも「これは山野の株を上げるチャンス!」と老婆心を燃やし、私は嬉々として山野に「すーちゃんが風邪をひいたよ!」と報告した。

山野は「葉桜っち、なんでそんなに嬉しそうなの」と訝しんでおり、「連絡してみなよ」と言う私の提案を「そんな弱味につけこむような真似できない」と一蹴した。



『弱味につけこむようなこと』って何ですか?
私はただ「大丈夫?お大事にね」だけ送っておけば優しい人アピールができるんじゃないかと思っただけなんですけれど、彼は何を言うつもりだったのだろうか。「風邪薬がほしくば俺と付き合いなさい」みたいな脅迫でもする気だったのか。
山野が連絡をしないというので私はそれ以上突っ込むことはできず、その日はそこで話が終わった。


だが数日後、私のもとへ山野から「すーちゃんに告白しようとしたら、あしらわれた」と悲しみを報告が来ることになる。
「告白はしない」「風邪をひいたすーちゃんに連絡はしない」という宣言を2つ中2つ裏切られた私は驚きたまげ、山野に何故そのような事態になったのか経緯の説明を求めた。

山野はレオたんに「連絡してみろ」と言われ、すーちゃんに「風邪大丈夫?」とLINEしたら「まだ治ってないの。長引いちゃってて」と返事が来たという。
そこで山野は「治ったら伝えたいことがあるから、覚えといて」と伝えたところ「えー、何だろう?告白だったら困っちゃう(笑)」と返事が来たのだそうだ。


・何故私が言っても連絡しようとしなかったくせにレオたんの助言には素直に従うのか。
・何故「治ったら伝えたいことがある」などと言ったのか。
・それこそ弱味につけこもうとしたんじゃないのか。
・何故次回予告みたいなことをしたのか。
・お前はサザエさんか。
・「次回は『すーちゃん、風邪治る』『2人で会う』『山野、愛の告白』の3本です」か。
・「来週もまた見てくださいね」か。
・じゃんけんぽん、か。
・うふふ、か。

数々の疑問を私に抱かせた山野。


そして別日、全快したすーちゃんから「最近、告白されそうな気がする人がいて困ってる。でも違っていたら自信過剰みたいで恥ずかしい」と相談を受けた。

思わず「ピンポーン!」と叫びそうになったが、さすがに言うわけにもいかなかったので、枕に顔を押し付け「フィンプォォォォン!」と叫び発散させた。


名探偵コナンでさえ匙を投げるほどの、あまりの謎の深さに三十路は耐えられず、高校生バイトに助けを求めた。
ちなみに『ひばりの恋愛奮闘記』にも出てきた子である。

〈ひばりの恋愛奮闘気〉
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1978149247&owner_id=16919268

干物三十路の師匠はJK。
助けを求めるのに年上も年下もない。プライドなんかあるものか。得意分野は人それぞれ。
「これからの時代はアウトソーシングだ」と、オリエンタルラジオのあっちゃんもYouTubeで言っていた。

バイトちゃんに上記の「サザエさんか」のくだりも含めて説明し、「どう思いますか」と問いかけたところ、「いい年齢こいて何やってんのって感じですね」と言われた。


私「いい年齢、こいて…」

(注)私と山野は同い年。

思わぬもらい事故を受けてしまった。

「バイトちゃん…、私、山野と同い年…」と告げると「ひえー!」と声とともに謝罪をされ、そのリアクションはちびまる子ちゃんのようだなとふと思った。

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