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2021年03月19日04:14

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ロックバンドの美学 (#458)

side A
1. It Never Rains / Dire Straits
2. Love or Lies / Capsule
3. 極まる / 東京事変
4. Care / Beabadoobee

side B
1. Can't You Hear Me Knocking / The Rolling Stones
2. I Am the Walrus / Spooky Tooth
3. In Degrees / Foals
4. The Only Thing / Travis

bonus
1. Find My Way / Paul McCartney
2. 体操 / YMO
3. Brown Sugar / The Rolling Stones
4. Worth It / Beabadoobee
5. Inside / Van Halen
6. サイダーの庭 / スカート
7. Together / Beabadoobee
8. 返信 / スカート
9. ストーリー / スカート
10. ゴウスツ / スカート

昨日の予告どおりIt Never Rainsからのスタート。冒頭3曲が昨日のレベル4のいわゆる「D面」で、4曲めのBeabadoobee以降がレベル3の最新巻、vol.639のシャッフル再生となります。
ビーバドゥービーちゃん。久方振りのオキニちゃん登場、でございます!(キモ…?)

#450の「音楽誌と足並みが…」の回に書いた、ROとMM両誌の年間ポールを参考にしての購入CDがようやく反映されてきたのであります。
ビーバドゥービーはROで堂々の3位に加え、MMのロック[英・豪]部門でも4位。両誌の評価はなかなか一致を見ないのが通例でしたが、今年というか昨年の場合はMM英豪1位・RO2位のテーム・インパラを筆頭に、ROのトップ10ランカーのうち8タイトルがMMの[英・豪][米・加]いずれかで7位以内に入るというシンクロぶり。いつもの年に比べ期待できるものが多そう、と感じられた背景にはこんな現象もあったのです。
いやー、ビーバドゥービーちゃんいいですねえ。しつこいですが。まだ20歳の東南アジア系ロンドン育ちの女の子なんですが、ギターを軸にしたサウンドメイクが非常にいい感じの古さ加減で彼女が好きな90年代ロックの空気を演出、それに声がいい! まったく扇情的ではないんですが適度な甘さと舌っ足らずさを含んだ、僕にとっては理想的なセクシーヴォイスのように感じられます。
90年代好きというだけあってラインの隙間からあの頃の女性アーティストのエッセンスが滲み出てくるのも良い。一般的にはヴェルーカ・ソルトがまず参照されそうなところですが、曲によっては「…あっ、これSundaysじゃん!」という瞬間も。本人談「けっこうな数の中年男性が反応してくれ…」るのも当然ですって!

でもこのコンピにはまだ件のROトップ10アルバムは他には登場してきません。スカートはMM同号に既発曲リメイクアルバムという「アナザー・ストーリー」のインタビューが載ってまして、まあ以前から興味はあったのではじめて買ってみようかと思ったのでした。2D(印刷物)ではニュアンスが伝わらないアートワークはほんと最高です。
まあしかし、(メンバーには女性もいるとは言え)男性SSWのワンマンバンド的ユニットがカタカナで「スカート」を名乗るということには、一抹の不安も感じられるのです。要するにオタク度の高い人なんではないかと…そしてそれは当たってなくはないですね。良い意味でも悪い意味でも。

まず、リメイクのわりには各曲のサウンドづくりが至ってシンプルで。ほぼ4ピースバンドそのまんまの音数で、残響音もほとんど目立たない。これは好ましく感じられる点でもあるのですが、
いかんせん…歌にそこまでの魅力がない。(だから普通は音作りに頼りたくなるものだと思うのですが)
曲は、さすがポップおたくという良質さなんですけどね。MM誌の記者が彼らのライブにはじめて出かけた終演後、リーダー澤部さんに「よっ、日本のマシュー・スウィート!」と声をかけたという逸話も頷けます。なおマシュー氏は「うる星やつら」のラムちゃんおたくとしてよく知られています。

音づくりでおもしろいのが、カッティング・ギターのバランスが全体的に大きめであるということ。そしてその奏法は、昔のフュージョン〜AOR〜シティポップの領域で多用された16ビートカッティング。
でも曲はそこまでファンキーなわけではなく、まあ基本パワーポップ的なノリと言いますか。そのためもあってか、カッティングの音色は昔の「いかにも」というものに比べると若干歪み成分が多いのです。楽器も、ジャズマスターなんじゃないかなあ…。
とにかく、リズム楽器としてのギターにこだわりのある人ということはよーく伝わってきます。

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そうかと思えば、突然ローリング・ストーンズやYMO、ヴァン・ヘイレンといった超ビッグネームのど旧譜が飛び込んできて読者を混乱に陥れる?わけですが、
まずヴァン・ヘイレンについてはもちろん追悼の意が込められております。もともとハードロック/ヘヴィメタル系ではツェッペリン、VH、チキンフット、AC/DCの4組だけが例外的に好き、と公言していた私ではありますが、
考えてみればVHのアルバムって、結局2枚しか持ってなかったなあ、と思いまして。
そんなところにあの訃報です。エディは本当は超弩級のインスト・ギターアルバムを作りたかったんじゃないか、またそのキャリアの中で超一流のミュージシャンと一緒にそういうものを作る機会はいくらでも持てたんじゃないかとも思うのです。しかし彼はそれをしなかった。しないことが、彼にとっての美学だったのだろうな、というような考えが頭をよぎりました。
でもやはり、老成して後のエディもめちゃくちゃ素晴らしかったに違いありません。早すぎる死を悼むばかりです。

そんなわけでまずはサミー・ヘイガー加入後第1作の「5150」からゲット。初の全米No.1という大ヒットアルバムでもあり、楽曲の出来、ギター、曲調のバラエティなど申し分ない作品とは思いますが、
やはり…1986年という時代性が仇というか…音質的には不満たらたらですね。とにかく低音が軽いんじゃ!
そして、収録曲の中でDreams、Love Walks inという2曲が…これはもう、全くいただけない。
別にシンセ使いを否定するわけじゃないんですよ。前作におけるJumpのシンセ音はサイコー!と思いますし、本日登場したInsideのシンセベースのゴリゴリ感なんて、ファンキーな曲調同様意表を突いてて良いなあと思うのですが、
先の2曲のあのベタっとしたエレピ音交じりのシンセは…ジョナサン・ケインか! と突っ込みを入れたくもなる(ジャーニーファンの皆さんゴメンナサイ)。そんなに売れたいんかなあ…というこれはあの時代のあの辺の人全員に言いたいけれどね(笑)。

もうかれこれ色んな旧譜が揃ってきましたので、もはやストーンズ方面に進むよりないか…と考えていた折も折、Sticky Fingersの紙ジャケSHM-CDがYKKのファスナーを装備しつつ再発、というニュースがあり早速クリックしたという次第。
「家! 床! 殺虫!」でおなじみCan't You Hear Me Knocking(訳すれば「俺のノックが聞こえねえのかコラ」といったところ?)、これは今のところ私がイチバン好きなストーンズ・ナンバーということになりそうです。
やっぱこのリフですよね。半端ないセンスと思いますが、こういういい感じで歪んだリフを繰り出しながらも、決して(流行まっただ中の)ハードロック・バンドにはならなかったところにやはり美学を感じます。リズム隊の持ち味から言って「なれなかった」という可能性もありそうだけど。
しかしこの曲のベースの摩訶不思議なグルーブたるや。「上手い」「正確な」プレイをする演奏家が必ずしも優れたミュージシャンではない、ということを示す見本のように感じます。というか、今日はじめて感じたかも…。
ストーンズのベーシストとしてもちょっと軽く見られがちなビル・ワイマンですが(キースもロンも上手いからねえ…)、これからの余生、じっくり研究してみたいもんだという気になってきました。

しかし連日、何ちゅう時間になってんでしょう。ちなみに本日は78.7kg。よくやってはいる。
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