今から30年前、時は平成3年3月14日。
俺が受験した国立大学医学部の合格発表日。
当時はインターネットなんかない時代。
東京に住んでいた俺は遠方の地方大学を受験したため、大学から送られてくる合格者番号一覧が同封された電子郵便を待っていた。
完全に落ちたと思い込んでいたので、1年前の不合格時の記憶がまざまざと甦ってきて、恐怖心の方が強かった。
朝になり目が覚めて、「とうとうこの日が来た」と明らかにいつもとは違う精神状態だった俺。
とりあえずこたつに入って仰向けになり、天井を見つめていたのは覚えている。
んで、いつのまにか眠ってしまっていた・・・
ハッとして目が覚めて、時計を見たら確か昼をまわっていて2時頃だったか、その辺の記憶は曖昧。
電子郵便は届いているのか・・・
恐る恐る郵便受けをあけてみると、そこには一通の封書が。
それはまごうことなく大学からの電子郵便の封書である。
「来た」
その瞬間俺の心臓は突如高鳴り始め、極度の緊張と「間違いなく落ちている」という絶望感が全身を包んだ。
「受かっているわけない、絶対受かっているわけない」
自然とそんな言葉が口をついて出てきて止まらなかったのは、よく覚えている。
震える手で封書を持ちながらゆっくりと自分の部屋へ戻り、とりあえずそのままこたつの上に置いた。
いつまでもそうしているわけにはいかないのは分かっていた。
意を決して開封し、受験番号が縦2列にずらっと並んでいる、その全部を両手で隠して、1番から少しずつ手をずらしていった。
ちなみの俺の番号は割と終わりの方であった。
片側1列が見終わった。
右手で隠してあるもう1列の方を、上から少しずつ手をずらしていく。
もう俺の心臓はバクバクで破裂するんじゃないかというくらい。
そしてとうとう俺の番号のすぐ近くまでやってきた。
冗談じゃなく本当に口から心臓が飛び出しそうになり、
「もうだめだ!」
思い切って番号を隠している右手を一気にどけた!
と、次の瞬間!
いきなり俺の受験番号が目に飛び込んできたのだ!
「あ!あった!あった!!」
この時ばかりはさすがの俺も極度の興奮状態になってしまい、慌てながら受験票を持ってきて、何度も何度も間違いじゃないか確認しました。
***平成3年3月14日、忘れもしない、俺の夢が叶った、人生が決まったその日である。
・・・勤務医引退まで、あと16日。
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