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2021年03月13日04:03

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人がホームレスになる理由

■「いくよー。3、2、1」 ホームレス襲撃時の会話判明
(朝日新聞デジタル - 03月12日 14:13)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6443321

これを紐解いていくと、厚生労働省が2017年に発表した資料では、男性が路上生活をするようになった理由として最も多かったのは「倒産や失業」が27.6%、次いで「仕事が減った」が26.5%でした。 また、「病気・けがや高齢」が17.4%、「人間関係」が17.0%の割合となっていました。

ホームレスの人はどうして生活保護を申請しないのですか?

ホームレス状態に至る経緯・・・怠けていたからなるわけではない
・仕事を失う
(非正規雇用だと解雇されやすい/寮つきの仕事は解雇とともに住まいを失う)

・頼れる家族がいない
(家族との縁が切れている/家族も経済的・精神的に不安定な状態/暴力的であるなどのケース)

・健康状態がよくない
(発達の特性や、怪我や病気など)

学生の皆さんやその家族の多くが特に意識せず享受してきた基盤やつながりを、生まれつき・または人生の過程で享受できなってしまった状態にある人が存在しているということ、それらをだんだんと失ってホームレス状態となり、ビッグイシューの事務所を訪ねる人がいるということなどを説明していきました。

そして、いったん路上生活になってしまうと
・住所・連絡先がない人はまず採用されない

・保証人がいないと採用されにくい

・貯金が尽きていて、日払いの仕事しか受けられない(次の給料日までしのげない)

・それまでいろいろなものを失った過程で、自己肯定感や頑張る気持ちが削がれている
といった理由で、合法的で安定した仕事に就くことが難しくなります。

そのため、ビッグイシュー日本では、「ホームレス状態」の人に、その日からすぐにできる仕事として雑誌「ビッグイシュー日本版」の路上販売をしてもらうことで、少しずつお金を貯め、お客さんとの交流で自己肯定感を取り戻し、路上脱出を応援する事業をしています。

続いて新宿西口で販売をしている上野さんに、ホームレスになった経緯を話してもらいました。上野さんは1970年生まれの48歳。北海道室蘭市に近い伊達市出身で、高卒で専門学校へ。警備員やタクシー運転手などを点々としていましたが、ギャンブルやお酒で生活が崩れてしまい、東京でも職を転々とするうちにホームレス状態となってしまいました。

長崎:
ご家族には頼れなかったんですか。

上野:
お袋は難病のリウマチで、晩年は膠原病と診断され身体障害者手帳を持っていました。私が物心ついたときから入退院を繰り返すなどして大変そうでした。母方は親戚がおらず、ほとんど身寄りのない状態。
親父はちゃんと働いていたけど、平日はお酒、週末はギャンブル。
兄とは折り合いが悪くて、10年以上音信不通です。
家庭で苦労したと思っているから、だから本当は専門学校をちゃんと卒業して、「いいところに勤めたいな」とは思っていました。

自分の発達の特性や持病について、30代後半で判明
上野さんは、東京で路上生活したあと生活保護を受給し、その際医師にかかって初めて「てんかん」の持病があることが判明します。
また、緊急一時保護に入ったときにはADHDの傾向があるのではないかと検査を受けました。さらにビッグイシュー基金のスタッフの協力を得て障害者手帳を再取得した際の精神科の診断では、文章の能力はある一方で、処理速度が遅い、空間認識が弱いといった発達の特性があることがわかりました。

長崎:
東京に来るまで、持病や発達の特性についてご自身でもわからなかったんですね。

上野:
高校の先生はてんかんの発作に気がついたような感じはありましたが、どこに繋げたらいいのか分からないようでした。

長崎:
先生自身も、必要な支援の情報にあまり繋がれてない状況があるかもしれないですね。
お仕事するようになってから困ったことはありましたか。

上野:
地方で警備員とかタクシー運転手をやっているときの健康診断は、さっと形式的な感じで終わっちゃったので、なかなかそういう支援につながりにくかったと思います。

東京では、電動ドライバーを使う職場に行かされまして、そこで「12本を1分以内に打ってください」っていう試験があってやったけれども、まずピンが垂直に立たなくて。「次から次へと人が入るから、代わりいくらでもいるよ」という感じでした。

長崎:
経済的な不安定さもさることながら、「代わりの人はいくらでもいる」と扱われてしまう心への影響もとっても大きいなと感じています。年長者に比べて仕事の経験の少ない若い人はなおさらですね。

「自分で働いたお金で選べるご飯は美味しい」

長崎:
ビッグイシューをやってみてどうでしたか。

上野:
最初に無料で支給される10冊を売ってできたお金で、100均の時計を買おうと思ったんです。炊き出しの時間がわかるようにね。それができたら辞めようと思ってたんですが、最初の日に9冊売って、コンビニで、498円のお弁当を買ったら「おいしい」って感じて。
自分でお金作って食ったご飯は美味しいからもうちょっとやってみよう…が続いて5年もやっています。

長崎:
久しぶりに自分で働いて買ったご飯だったんですね。この仕事の醍醐味は何ですか。

上野:
醍醐味は、常連さんがいろいろできて嬉しかったのと、お客さんがいろいろ気にかけてくれるところですね。それもあって、ビッグイシューの販売や生活の維持など、ちゃんと毎日ご飯食べるほうに意識が向いてきて、何とかやっていけています。

長崎:
上野さんは、売上が安定してきてから、次のことを考えられるようになってきたと言ってましたが、どんなことを考えられるようになったんですか。

上野:
ビッグイシュー基金で、アパートに入居するための準備のシステムみたいな「ステップハウス」という仕組みがあって、そこに去年の秋から入り、今年の春、アパートに入居することができました。

編集部注:
ステップハウスとは、ビッグイシュー基金が他の団体と契約をして、一軒家を借り上げし、1階は緊急時、台風のときや急病のときなどのシェルターとして使いて、2階を、販売が安定してきた販売者の住まいとして使用している施設。利用料月額45,000円のうち、15,000円を積み立てて、入居者がステップハウスからアパートに移る際の敷金礼金・生活準備品などにするため返却する仕組み。

長崎:
アパート探しも、大変だったんですか?

上野:
物件探しっていうか、保証人を探すときに情緒が不安定になってきて。僕はここに存在しているのに、なんでそんなに証明を揃えなきゃいけないのって。路上にいたのは、僕の責任だろうけども。何でそう、証明、証明で追いこまれるんだろうって。

編集部注:
中には、ホームレス状態で長年過ごす間に戸籍を抹消されてしまうことがある。本人の行方が分からなくなってから7年経って「失踪宣告」の申立を家族などがすると、戸籍上はその人が死亡したものとされる制度。
そうなると戸籍を回復するための裁判所を通じた手続きが必要となる。

長崎:
ビッグイシューについて、ひとこと言うとしたら。

上野:
いろいろあるけれども、僕はとにかくビッグイシューがあって良かったです。それがなかったら、たぶん今、生きていたかどうか分からない。

人生で初めて聞く「ホームレスの人」のお話。学生さんたちは「初めて聞く話」に驚きながら、真剣に聞いてくれていました。
最後に、学生の皆さんから上野さんと長崎に質問が寄せられました。

学生からの質問「なぜ生活保護を受給しないのか」

男子学生:
昔から疑問に思っていたんですが、ホームレスの方は、生活保護は受給できないのでしょうか。それとも受給をしたくないのか。どういう問題があるのでしょう。

上野:
申請しに福祉事務所行くと根掘り葉掘り聞かれて、嫌気がさしちゃった人もいます。
僕もどぎついことを言われて涙目になって帰ってきたとかあった。あとは1回保護を取ったことがあっても、その後行方をくらませてしまった人には行きづらいと思います。

長崎:
ビッグイシューの販売に来た人には、もちろん生活保護の選択肢も示します。生活困窮者自立支援制度や自立支援センターの仕組みもあるので、公的なこともきちんとお伝えするんですね。ただそれでも、「受けたくない」っておっしゃる方もいらっしゃる。その理由は本当にいろいろありますけど、一つは家族に連絡がいくのが嫌だっていう理由があります。「心配かけたくない」みたいな理由もあるし、「自分の居場所を知られるのが嫌だ」とか、そういう理由から申請したくないっていう人もいました。あとは、動けるうちは、何とか自分でやりくりしたいんだっていう方は多いですね。「他の人が年金をもらえる年齢の65までは頑張りたいんだ」って、思われる人もいるようです。

編集部補足:
現在は生活保護の申請・受給のハードルが以前と比べて下がっていますが、以前は福祉事務所の窓口で追い返されるようなケースも多数あったため、その当時に冷遇された人の中には「以前とは違う」と話しても、はなから申請を諦める人もいます。

学生からの質問:ギャンブル依存症やアルコール依存は、自己責任ではないのか
女子学生:
お話ありがとうございました。ギャンブルとか、お酒とかに依存してしまう人もいるというお話がありましたが、私はやっぱりその人の問題なんじゃないかなって思ってしまいます。

長崎:
依存症を経験した人に、なんで始めたのかと聞くと、「ストレス発散のつもりで」とか「仕事の先輩に誘われて」とか、最初は本当にちょっとしたことがきっかけなんです。それがいつのまにやら深みにはまってしまう。それはその人の心を癒せる場所が他になかった、という背景を理解する必要があります。
依存症は、意志が弱いと思われがちですが、なってしまうと意思でどうにもなるものでもないので、「今度こそやめよう」と思っても、やめられるものではないんですね。
治療的なアプローチがないと回復できない病気ということを理解する必要があります。

アンケートより:生徒さんからの声
授業後に見せていただいたアンケートから、学生さんが今回の講義に驚いた様子が伝わってきました。

「家族と連絡を取るくらいなら家がないほうがいい、に驚いた」いわゆるホームレスと呼ばれる方の生の声を聞くことができた。中でも印象が強かったのが、家族と連絡を取りたくないという理由からホームレスとなる人がいるということだ。家族と連絡を取るくらいならいっそ家がない方がいいという考えにとても驚いた。

「自分はここにいるのに、存在する証明書が必要」に衝撃
自分はここに存在しているのに、なんで証明書が必要なんだ、という言葉にすごく衝撃を受けました。国が本当に守るべきなのはどういう人なのかという事を考えるきっかけになりました。人間とは何か、存在とは何か、自分が自分としているために他人の証明が必要な世の中とは何か。答えを出すことは難しい気もしますが、しっかりと考えたいと思いました。

「自分の知らない側面にこそ社会の課題が隠れている」生活保護を申請するにも言葉の圧力や家族に知られるなど様々な要因で受けたくても受けられない状況があるということを知らなかったので、社会にはまだまだ自分の知り得ていない側面が多く存在し、そういう見えづらいところにこそ取り組むべき社会の課題が隠れているのではないかと思った。
だからホームレスは個人の問題ではなくこの状況を見過ごしている社会全体の問題だと思う。

「なぜホームレスになるのか、なぜ脱出できないのか、が解消された」「危ないから近づいちゃいけません。」とホームレスの方の前を通る時に、幼い頃母に言われたことがある。その時もなんとも言えない違和感を感じたが、改めて今考えてみると、何が危ないのだろう、と純粋に思う。ホームレスにどうしてなってしまうだろう、そこからなぜ元どおりの生活に戻れないのだろうと感じていたが、今回初めて当事者の方の話を聞くことができ、自分の中のモヤモヤが少し形になって解消された気がした。今までの当事者ゲストのお話で1番興味深かった。

もちろん中には、「やっぱり自己責任だと思う」という声もあります。
一生懸命努力して大学に入学し、勉学に励む学生さんのなかには、想像しづらい方もいたかもしれません。

しかし家族から虐待を受ける、保護者が病気や依存症で頼れる状況ではなかった、そういう不安定な幼少期を経て、さらに仕事で辛い思いをしたり、適切な賃金が支払われなかったり、「あなたじゃなくてもいい」というような労働環境で過ごしてきた人たちは、心のタンクが空っぽです。依存症も根本をたどれば、そういったことが原因になっていることが多いです。

その人たちに、「努力不足」とか「もう1回頑張りましょう」と言うのは酷ではないでしょうか。 私たちができることって本当に限られていますが、まずはホームレス状態に陥っても脱出しやすい仕組み、そしてホームレス状態に陥らないようにするために、何ができるかを考えるきっかけになれば幸いです。
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