mixiユーザー(id:509182)

2021年02月28日18:05

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AMAZONレビューへの回答

Amazon『偽書が揺るがした日本史』のサイトにおいてレビューの形で次の問い合わせが寄せられたのでこの場を借りて回答したい。
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1.あれほどの大量の大福帳や明治の和紙をどこから入手したのか。
2. 和田家文書に記された古今東西にわたる膨大な情報をどこで調査したのか。
3. 和田家が集蔵している遺物美術品をどこから入手したのか。その費用はどこから出たのか。二度にわたり石塔山に大規模な盗難があったが、これなどもそれら遺物が「本物」であることを犯人たちが認めていた証拠でもある。
4.秋田孝季が奉納した「奉納御神前日枝神社」宝剣額の存在があるのに”和田家文書”を偽物と言う根拠はなにか。
と問われたら,この本の筆者は答える事ができないだろう。
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https://www.amazon.co.jp/dp/4634151634
1、 和田家文書で、紙背文書があるものや古い写本に書き込みを加えたもの以外の用紙については「明治の紙」である証明がなされていない。美濃紙など古風な和紙の製造は現代においても行われており、いかに大量であっても調達自体は難しいことではない。実際、和田家文書には針葉樹パルプや蛍光剤を用いた戦後の紙が含まれていることがすでに判明している。
 和田喜八郎が古書・骨董売買に関連していたことは複数の証言で認められている。喜八郎が古い大福帳を持っていたこと自体は謎ではなく、古書・骨董売買ルートで入手したものを古文書偽作の用紙に転用しただけである。用紙として喜八郎の主張する祖先(飯詰村の庄屋)と関係がない大福帳が用いられていることはむしろ和田家文書の由緒の怪しさを示すものでしかない(ちなみに実際の飯詰村の庄屋は喜八郎の祖先と無関係であり、その庄屋文書も実際の子孫の家に伝来している)。
 和田家文書の紙背文書には和田家文書としての本文より新しい日付のものさえあり、その存在は偽作説の方を裏付けるものである。
2、 和田喜八郎は若い頃に福士貞三や開米智鎧ら郷土史家の手伝いとして古文書を探索していた(実際には彼らから聞いた話を参考に文書を偽作していたと思われる)。喜八郎はその作業を通じて郷土史関連の重要な情報を得ていた。
和田家文書の元ネタとして指摘されたものは単行本、新聞記事、雑誌記事、テレビ番組などの多岐にわたる。和田家文書に「古今東西にわたる膨大な情報」が含まれていることは真正の古文書・古記録であることを裏付けるものではなく、その作成が20世紀後半の高度な情報収集システムを背景になされたものであることを示している。
3、 喜八郎所蔵の「遺物美術品」と称するものは観光地のおみやげ屋にあるようなレプリカや喜八郎本人の手製(喜八郎は若い頃に凧絵などを描いていた)でもできるようなものの域を出ず、まともな鑑定に耐えられるようなものではない。実際、喜八郎からアラハバキ神の御神体と称して提供された遮光器土偶がテレビ番組『開運!なんでも鑑定団』で取り上げられたところ、おみやげ屋で打っているようなレプリカと判明した例がある。
 喜八郎が石塔荒覇吐神社として建てた建造物が盗難にあったというのは喜八郎がそう言い張ったのみであり、その事件そのものの存在を裏付ける証拠はない。
4、 “「奉納御神前日枝神社」宝剣額”については、古い絵馬を加工して「秋田孝季」の名を書き込んだ贋作であり、そえられていた宝剣もなるものも現代(20世紀後半)の鋳物であることはすでに判明している。和田家文書の作者としての「秋田孝季」なる人物の存在に関する史料は和田家文書以外に存在せず、実際にはその作者として仮託するために実在の三春領主・秋田孝季をモデルに想定された架空の人物と思われる(そもそも三春領主・秋田家の親族が同時代の領主と紛らわしい名前を使い続けること自体考えにくい)
 以上、くわしい考証は『季刊邪馬台国』各記事をはじめとして30年以上にわたる過去の偽書説考証に譲りたい。思い付きの羅列による擁護論に対し、論拠を明らかにしたくわしい反駁は幾十倍、幾百倍もの労力と紙数を費やさなければできないものである。
 今回は要旨のみの指摘にて筆を置くこととしたい。
【追記】
なお、和田喜八郎の盗作問題をめぐる裁判については和田家文書における論文、及び和田喜八郎名義の書籍における写真の盗用をめぐるものであったが、青森地裁、仙台高裁とも、和田家文書に該当論文が参考にされた可能性はある(つまり偽作説の根拠は認める)が、盗作とまで言い切るのは困難ということで和田家文書の真偽判断を避け、写真の盗用のみを認めて喜八郎に賠償を求めるという判決であった。これを喜八郎側の勝訴というのは真作説側の強弁にすぎない。
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