ここからいくつかの日記は、第57回ネット鑑賞会用の解説です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
「レオノーレ」序曲第2番作品72a
ベーラ・ドラホシュ指揮
ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア
かんち自身の解説
歌劇「フィデリオ」のために作曲された序曲のうち、最も演奏機会がないのがこのレオノーレ序曲第2番ではないかと思います。なぜかと言えば、その内容がほぼほぼレオノーレ序曲第3番と同じだから、です。
しかーし!それに日の目を当てた演奏会がありました。それが以前取り上げた「レオノーレ序曲第4番」を演奏した、ホフナング音楽祭です。実は、正確には「レオノーレ第4番」は、元ネタはこの第2番なのです。それは、聴けばわかります。ああ、これが元ネタなんだな、と。確かにこれをこうすれば・・・・・あはは!これは笑うわ、となるでしょう。
しかし、ベートーヴェンはそんなお笑いのために作曲したのではなく、むしろ共和主義に燃えて、自由、平等、博愛をテーマに作曲しました。それは当時の社会に対しては対抗することであり、結局そういうラディカルなものを表現するためには、従来のオペラ序曲の構成では無理だと悟ったのか、落ち着いたのが現在の「フィデリオ」序曲という、音楽史上類を見ない、本編の旋律をほぼほぼ使わないという手法に落ち着いたのでした。
この第2番は、基本的に第3番と同じなので、本編からの旋律を大量につかっています。私たちにはこれでもいいのにと思っていても、ベートーヴェンにとってはどこかしっくりこなかったのでしょう。さて、第3番とどれくらい同じで、どこが違うのか。皆さんの耳で確かめてみてください。
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『レオノーレ』序曲第2番 作品72aは、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンがオペラ『フィデリオ』(レオノーレ)のために作曲した序曲の一つ。
1805年に作曲され、『フィデリオ』が同年11月20日に初演された際に序曲として用いられた。後に『フィデリオ』が改訂された際、新たに作曲された現行の『フィデリオ』序曲に差し替えられた。その後、この序曲は演奏会用序曲として単独で演奏されるようになったが、『レオノーレ』序曲第3番と比べるとあまり演奏される機会がない。
曲の素材は第3番と同じであるが、規模は第3番よりも大きく、また複雑になっている。逆に言えば第3番の方が簡潔にまとまっている。
演奏会用序曲としてはベートーヴェン没後の1840年1月9日、メンデルスゾーン指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による演奏が初演となる。その2年後の1842年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された。
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦五部、舞台裏にトランペット1
第3番と同一の編成である。
序奏つきのソナタ形式であるが、再現部を欠く。ハ長調。演奏時間は約13分。
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