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2021年02月08日15:30

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名より実を取る

自分は日本刀蒐集家。そして金はない。
ゆえに刀は下(銘)より上(出来)を見る。

上がよければ下はどうでもいい。ところが・・・

日本刀は下が偽物。それゆえ上がよくても不当に安いので自分は助かっている。

偽物と言えば新選組の近藤勇の刀。

俄か武士の近藤は剣術達者。なれば斬れ味でならした虎徹が欲しくなった。
しかし到底近藤ごときの貧乏人に買えるわけはない。

あちこちの刀屋に50両(今の500万くらいか?)で口を掛けたが、刀屋は「はいはい、出たら連絡しますよ」と言うだけ。内心「そんな金で買えるわけじゃねーよ」と嘲笑しながら。相場で500両。若打ち(初期作品)でも100両。・・・

しかしある刀屋が一計を案じた。
当時「四谷政宗」と評判の山浦清麿の刀を手に入れたからだ。
この刀に虎徹の銘を刻んで近藤に託そうと・・・

刀屋は、江戸の名工・大慶直胤の弟子の心慶直光に偽銘切を依頼。
本名は細田平次郎と言ってそれなりに上手な刀工だが、それより偽銘切を商売にしていた。「鍛冶平」と呼ばれていた。

鍛冶平は刀を見ると即座に拒絶した。「何で名刀の清麿に偽銘を掘るんだ!」と・・・
偽銘を切るにしてもそれなりのこだわりがある。安易に切ったわけではない。
自分が納得するから切るんだと。しかし・・・

刀屋が近藤の度量に惚れこみ、虎徹ではないがこの名刀を近藤に託そうと思った事を鍛冶平に話す。鍛冶平は武士でもない近藤に、刀屋がほれ込んだ心意気に感じ承諾。

数日後「長曽祢虎徹」の銘が刻まれた四谷政宗「源清麿」が近藤に届けられた。
近藤は刀を抜いて見るなり「これは・・・斬れる」と・・・

数か月後、この刀は池田屋事件で活躍、そのパフォーマンスは近藤が身内に書いた手紙に

「打入候者は、拙者、沖田、永倉、藤堂。養息周平今年十五歳、右、五人に候。一時余之間、戦闘に及申候処、永倉の刀は折れ、沖田の刀はぼうし折れ、藤堂の刀は刃切ささらの如く、倅周平は槍を切折られ、下拙の刀は虎徹故に候哉、無事に御座候」

とある。

むしろ虎徹の如き鈍刀より、清麿だからなしえた所業であろう。



■有名日本画家の偽版画が流通 平山郁夫など10作品
(朝日新聞デジタル - 02月08日 14:06)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6405254
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