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2021年02月01日06:37

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文春オンライン 河野太郎ワクチン担当相人事で、菅首相に二階幹事長が不快感!? 後藤謙次徹底解説「菅政権失敗の本質」

昨年9月の政権発足直後、60%台の高支持率でスタートした菅義偉内閣の支持率が30%台にまで急落した。この5カ月間、コロナ対策を最優先に進めてきたはずの内閣はなぜ躓いてしまったのか。遅きに失したGoToトラベル全国一斉停止、緊急事態宣言の再発令、ワクチン配布スケジュールの混乱、そしてオリンピック……。政権内で今一体何が起きているのか。昨年10月、政権発足直後に菅政権の将来を分析した政治ジャーナリストの後藤謙次氏に改めて「菅政権の本質」について聞いた。(全2回の1回目/ 後編 はこちら)

政治ジャーナリストの後藤謙次氏 コピーライト文藝春秋コピーライト 文春オンライン 政治ジャーナリストの後藤謙次氏 コピーライト文藝春秋


及第点に達していない、菅内閣の本質
 昨年10月、菅義偉政権が発足してから1カ月の時のインタビューで、私は 「菅内閣の政治手腕についてはまだまだ未知数で、採点不能なところがたくさんある」と述べました 。しかし、政権発足から5カ月。この間に見えてきた菅内閣の本質について分析すると、及第点に達していないのは明らかです。

 “赤点”を付けざるを得ない最大の理由は新型コロナウイルスに対する一連の対応です。結果を出す、出さない以前に、菅首相は国民の不安を取り除くようなメッセージを発することができていません。「各論型」の総理大臣の弱点が早くも出てしまった気がします。

菅首相は竹下登氏や小泉純一郎氏と同じ「各論型」
 前回も指摘しましたが、総理大臣には大きく分けて「総論型」と「各論型」に分かれます。「総論型」はまず大きな国家像を描いて、そこに各論を落とし込んでいくタイプです。典型的なのは、中曽根康弘元首相や安倍晋三前首相。それに対して「各論型」は竹下登元首相の「消費税」や小泉純一郎元首相の「郵政民営化」というようにあくまで各論を成就するのに尽力するタイプをいいます。菅首相は就任直後に携帯料金値下げやデジタル庁創設を掲げ、「国民のために働く内閣」を作ると言いました。典型的な「各論型」の総理です。そしてその首相が「絶対に感染爆発を防ぐ」と意気込んだ「各論」こそ、「コロナ対策」でした。

「総論型」はたとえ一つの各論に失敗しても、総論にある大きな枠の中で、別の枝葉をつくって致命傷を回避することができる。しかし、「各論型」は「各論」で行き詰った時に、次のカードが出せないという弱点があります。菅首相がはまってしまったのはまさにこの落とし穴です。肝心のコロナについて、失点を重ねて、さらに挽回策が見いだせない状況が続いています。

 例えば、GoToトラベルについて、首相は強気一辺倒でなかなか「一時停止」の決断を下すことができませんでした。最後まで、ひょっとしたらうまくいくんじゃないかという姿勢を崩さず、早めに撤退して次の手を打つことができませんでした。今の菅首相は、強気な姿勢を貫いた結果、裏目に出て、後手に回ってしまうといったことを繰り返しています。

 危機管理の基本は「想像と準備」につきます。最悪の事態を想定して最大限の準備を重ねる。それができていませんでした。

永田町の格言は「決戦は金曜日」だったが……
 GoToについては、決断した「曜日」もよくありませんでした。政府が「Go Toトラベル」の全国一斉停止を発表した12月14日は月曜日です。これは永田町の常識からすると、かなり異例のことです。古い政治記者ならよく知っていることですが、永田町の経験則は「決戦は金曜日」だからです。

 つまり、週の終わりに重大な決定をくだしておけば、土日の間にいろんな問題が生じたとしてもリセットする時間があり、次の月曜日からは新しい展開を始めることができる。決定が月曜日だと、下手をすると1週間の間ずっと批判が燃え上がり、その収拾に追われることになります。現に12月14日の時は、その日の夜に、首相が銀座の有名ステーキ店「ひらやま」で5人以上の会食をしたことが大きな批判の的となり、その火が消えるまでかなりの日数がかかってしまいました。

親分が関わってきた仕事を「ちゃぶ台返し」することはできない
 菅首相の政治スタイルとしては、最初にかなり断定的なことを言ってしまい、あとでにっちもさっちもいかなくなるというパターンが多いのも気になります。1月7日、首都圏の1都3県に緊急事態宣言を発出したことを報告した記者会見では、「1カ月後には必ず改善させる」と言い切りましたが、今のところ医療のひっ迫を止めることはできていません。また、昨年10月の臨時国会の所信表明演説で菅総理は、「絶対に感染爆発を防ぐ」と“絶対”という言葉に力を込めて断定的に語りました。しかし、結果的に、感染拡大は止まらず、どんどん広がってしまった。これで国民の「期待感」は「不信感」へと変わってしまったのではないでしょうか。

 なぜ、コロナ対応をめぐって、これほどまで国民との感情的な“ズレ”が広がってしまったのか。その原因は菅首相の「なんでも一人でやってしまう」政治スタイルにあると私は考えています。菅首相は厚労省の幹部と日常的にやり取りしたり、週末に首相公邸に呼んだりして、政府の「大方針」の決定にスタートから関わっています。一見すると、良いことに思えるかもしれませんが、これが「政策の柔軟性」を失わせています。一般的に、親分が一から関わってきた仕事については、途中で下のものが「それはちょっとまずい」と思ったとしても“ちゃぶ台返し”はなかなかできません。これは、お役所のような上下関係が明確な縦型組織なら、なおさらです。担当大臣も官僚も首相が最初に決めた大方針に逆らってまで「NO」と言える人がいないのです。

「菅さんは一人船頭だ。渡し船を棹一本で渡ろうとしている」
 菅政権の前の安倍晋三政権は、よくも悪くも官邸官僚が幅を利かせ、「チーム安倍」が機能していました。しかし、菅政権にはチームによる一体感がない。ある側近は、私に「菅さんは一人船頭だ。渡し船を棹一本で、一人で渡ろうとしている」と漏らしたほどです。

「首相は一人船頭である」。そのことをよく表しているのが、河野太郎行政改革担当相を新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣に任命した人事です。菅首相はこの人事について、自民党の二階俊博幹事長ら党執行部に一切相談していません。

 寝耳に水の人事を突き付けられた二階幹事長が、相当不快な念を持ったのは間違いありません。

 恐らく菅首相は、「河野氏の起用を二階幹事長ら党執行部が本当に了解してくれるだろうか」と思ったのではないでしょうか。だから、反発は覚悟のうえで、決定事項を通告するしかないと思った可能性があります。

いきなり坂井官房副長官と揉めた河野氏は「危険なカード」
 その河野太郎氏の起用については、私はある種「危険なカード」を切ったと思っています。河野太郎という政治家は、突破力は抜群にあるけど、その分調整力に劣るところがあるからです。たとえば河野氏が防衛大臣だった2020年6月に「イージス・アショア」の配備計画を停止すると発表したことで、自民党内に大きな反発が生まれました。中止だと大々的に発表したのはいいが、その後のカバーを一切怠ったために、結局イージス・アショアを配備することを軸に据えていた日本の「対北朝鮮ミサイル防衛政策」は、再び迷走が始まっています。

 河野氏は今回ワクチン担当相になった際も、いきなり坂井学官房副長官と揉めました。1月22日の記者会見で、坂井官房副長官が「6月までに接種対象となる全ての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と説明したことについて、「修正させて頂く」と河野氏は述べた。ところが、坂井氏は同日の会見で「修正しません」と反発しました。それから、河野氏はワクチンの流通管理システムの構築に当たってきた厚労省への根回しもないまま、「マイナンバーでワクチン管理をする」といきなりぶち上げて、大きな反発を引き起こしてしまいました。

「誰と相談したらいいかわからない」ある省庁の幹部が漏らした愚痴 
日本国民1億3000万人全員に事故なく、ワクチンを接種させるのは「日本の医療の歴史上、最大のプロジェクト」(自民党幹部)ですが、ふたをあけてみたら、まったく準備ができていなかったという感じがします。河野氏はいわばチームリーダーです。チームみんなが彼についてこなければいけない。しかし、ある省庁の幹部は、「西村(康稔新型コロナ対策担当大臣)、田村(憲久厚労大臣)、河野……誰と相談したらいいんですか」と党幹部の1人に愚痴をもらしたといいます。河野氏を抜擢した菅首相の人事が吉と出るか凶と出るか。これは神のみぞ知るといったところです。 

「首席秘書官」交代は手痛い人事
 それから、河野氏ほど話題になってはいませんが、私が手痛い人事だと感じたのは1月1日付で「総理首席秘書官」とも呼ばれる政務担当の首相秘書官を、菅首相の議員秘書出身の新田章文氏から財務省出身の寺岡光博氏に代えたことです。

 首相秘書官室は、まさに権力の中枢で、各省庁生え抜きの生粋のエリート官僚たちが集結しています。その中では、どうしても官僚同士の対抗心が顔を出す。そこをうまく和らげるのが首席秘書官の役割です。だからこそ、菅首相はこれまでは官僚出身者ではなく、菅事務所の秘書出身の新田氏を起用してきたはずです。過去にも、中曽根康弘内閣のときの上和田義彦氏や、小渕恵三内閣のときの古川俊隆氏、小泉純一郎内閣のときの飯島勲氏など、長く総理と一緒にやってきた秘書を首席秘書官に置き、うまくいった例はたくさんあります。しかし、菅首相は今回、政権発足からわずか3カ月で「本丸中の本丸の人事」をいじってしまったのです。これはやはり、戦の最中に川の中で馬を乗りかえるような、最もやってはいけないことではなかったか。新田氏ですらクビになるとすると、自分もクビが飛ぶんじゃないかと思う官僚もいるでしょう。官僚が全力投球で仕事に当たることができなくなる可能性があります。

 しかも新しく首席秘書官になった寺岡氏は菅首相が官房長官だった時代の秘書官で財務省出身です。となると、秘書官室の中に、安倍内閣の経産官僚2人と同じように財務官僚が2人いることになります。これでは各省間のバランスも崩れるし、当然、秘書官室内の空気は悪くなる。そこまでの影響を考えたうえでの人事だったのかが、私にはわからないのです。( #2 につづく)

「はしゃぎすぎるな」岸田氏にクギ 五輪に揺れる菅政権に永田町がざわつき始めた《加藤官房長官が機能していない…》 へ続く

(後藤 謙次/Webオリジナル(特集班))
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