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2021年01月02日20:50

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12月の読書記録

1日当たりのページ数は先月程行かなかったな…と思ったけど、考えてみれば、先月末は雨宮処凛でページ数を稼いだのだった(笑)。今年の後半あたりからか、図書館から借りた本で、一度読んだだけでは、未消化感が残る本は、貸し出し期間に余裕があれば、再読するという習慣がついたのは良いことだと思う。ちなみに今月読んだ中にも再読本が結構ある。
それから今月はナイスが2百を超えた。来年も頑張って本を読もう。

2020年12月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:6067ページ
ナイス数:221ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■禅の第一義 (平凡社ライブラリー742)
一読しただけでは、未消化感が強かったため、再読したのだけれど、やはり理解度が今一つなのが、心残り。それと同時に本書に感じる魅力はより高まったが。ただ、やはり注釈と解説が無いのが残念…理屈や分析では到達し得ない禅。それを言葉で説明しようとする試みは、とてつもなく困難でありながら、その困難なことに挑むことで紡ぎ出される言葉は、どうしてこうも魅力に満ちたものになるのか…とりわけ、著者が英文学作品を引くとき、その詩的素養と合間って、独特の魅力を醸し出す。まさに分析するのでなく、総合的に理解しなければならない。
読了日:12月31日 著者:鈴木 大拙
https://bookmeter.com/books/4039284

■ギリシア哲学入門 (ちくま新書)
再読してみて、やはり良書だと思った。ただ、やはりこのタイトルは内容にそぐわないという点で問題。また、哲学だけでなく、宗教や人生訓的な要素が強いという点が批判の対象になっているようだが、個人的にはそういう要素が本書の魅力だと思う。第2章で古代ギリシャの政治論から、レヴィナスの思想、更にはラルシュの活動まで言及するくだりは、著者の対象の幅広さと、宗教的倫理観が垣間見られてとりわけ興味深く読めた。また、霊性や宗教を主に扱った最終章は宗派を超えた、崇高なもののを根源性をわかりやすく 説いたという点で重要。

読了日:12月29日 著者:岩田 靖夫
https://bookmeter.com/books/2983923

■街場の親子論-父と娘の困難なものがたり (中公新書ラクレ (690))
この親にしてこの子あり。さすが、内田樹の娘だけあって、内田るんって、頭良さそうだし、文章もうまいな…というのが第一印象。本人はあまり本を読まないと謙遜するが、それでどうして、知見に富んだ意見や卓抜な例えや表現が可能なのか?やはり血筋か?それと前書きで樹氏は話が噛み合っていないという印象を読者に与えるだろうと述べているが、個人的にはしっかりと噛み合っていると思う。古希を目前に控えた父親と三十代半ばの娘が、色々とすれ違い、思い違いはありながらも、これだけ色々な過去や、価値観を共有できるというのは希少かも。
読了日:12月28日 著者:内田 樹,内田 るん
https://bookmeter.com/books/15893185

■それから (新潮文庫)
三十数年ぶりの再読。改めて読み返してみて、代助も平岡も甲乙つけがたいダメンズだったんだな…と痛感(笑)。平岡の窮乏は自己責任的要素も強かったというのは、初読の時は印象に残らなかった。というか、僕自身が年齢を経たこともあって、生活苦や社会のあり方、人の気持ちの機微に多少なりとも認識が深まったということだろう。だからこそ、初読の際、代助の心理的な葛藤をどう読んでいたのだろう…という気にさせられた。また、代助と嫂梅子との関係は『行人』を想起させられ、ひいては漱石の嫂に対する複雑な思いが垣間みられた気がした。
読了日:12月27日 著者:夏目 漱石
https://bookmeter.com/books/578519

■パプリカ (新潮文庫)
奇想天外でジェットコースターのような、ハラハラさせられっぱなしのストーリー展開に引き込まれてほぼ一気に読了。ただ、パプリカの魅力が堪能できる場面が少なめだったのが、残念だったか。このキャラクター別の作品でも生かしてもいい気がするが。精神分析から、カルト信仰、同性愛など、様々な要素をこれでもかと打ち込み、一流のエンタメ小説へと昇華させる手腕は、やはりさすが。著者がいなければ、島田も町田も作風が変わっていたはず…と改めて思わされた。解説にもあるように、陣内と玖坷の特異な存在が密かに際立っているのが気になる。
読了日:12月25日 著者:筒井 康隆
https://bookmeter.com/books/5617202

■死なないでいる理由
二十年近く前に出たものなのに、それ程古臭さを覚えない。しかし、それは本書の内容が普遍的、先見的というより、それだけ時代が停滞しているのでは?という思いが拭えない。本書で何度か言及されている阪神大震災の後、さらに東日本大震災を経て、今日に至るまで、テクノロジーの加速と社会の閉塞感、人々の知的劣化、教育の低下はますます進行しているが、その傾向はこの頃からかなり色濃く存在していたのだなと改めて認識させられた。最後のモードに対する言及はさすがに時代を感じさせるが、だからこその興味深さがあることも否定できない。
読了日:12月24日 著者:鷲田 清一
https://bookmeter.com/books/428607

■禅の第一義 (平凡社ライブラリー742)
文語体ということで、いささかとっつきにくいが、逆にそれが独特の魅力を放つ一冊。巨視的に見れば一つの生命体にすぎないはずである人間が、どうして宗教というものを生み出し、他の生物にはない知的生活を行っているのか?普段当たり前と思っている現実の意味を予め考えさせられる。また、禅を含む仏教だけでなく、キリスト教や文学にまで言及が及んでいるのも、興味深い。著者の教養の広さ、懐の深さが伺える。これまである程度禅関係の書物を読んできたが、未だに禅とは何かという問いへの明確な答えは得られていない。が、それでもいいと思う。
読了日:12月21日 著者:鈴木 大拙
https://bookmeter.com/books/4039284

■ギリシア哲学入門 (ちくま新書)
タイトルに反してギリシャ哲学を包括的に学べるという内容ではないが、これは良書。とにかく著者の年齢を感じさせない闊達な語り口が魅力的。人間の幸福とは何か、理想的な社会は何かについて、改めて考えさせらる。また、平等や個人の幸福探求が決して当たり前のことではなく、ごく最近実現されたという事実に、古代ギリシャからの二千数千年の歴史は一体何だったのか?という気にさせられる。それから、本書の魅力はギリシャ哲学だけではなく、現代哲学、更にはキリスト教、仏教にまで話が及んでいるところ。哲学書の域に止まらない一冊。

読了日:12月19日 著者:岩田靖夫
https://bookmeter.com/books/12560919

■悪と異端者
内容はともかくとして、30年近く前に自ら老人と称した作者が今もご存命という事実に、何とも複雑なものを感じる。本書で言及されている肉親やかつての盟友の死に加えて、今や一人息子に先立たれた作者の心境をつい想像してしまう(いみじくも、本書でその息子さんの個展について触れている)。それはともかくとして、著者の舌鋒の鋭さはやはり只者ではないと再認識。とりわけ冒頭のプライバシーのあり方に対する言及は昨今の不倫報道とそのパッシングに対する警鐘ともいうべきもの。また、著者の若き頃の不良ぶりと読書歴に憧憬を覚えた。
読了日:12月18日 著者:筒井 康隆
https://bookmeter.com/books/471629

■国体論 菊と星条旗 (集英社新書)
人は思っていた以上に理性や根拠に基づいて判断行動をする生き物ではないということを改めて痛感。また、まさに天皇制の存続やそれに対する信奉は理性や根拠を超えているということを改めて認識。仮にそれを虚偽だとか無根拠だといくら言い募っても、あえてそれを信じようとする人には殆ど何にも響かない…それでうまくいっている時は良いが、現在のようにひたすら坂を転げ落ちて行っているとしか思えない状況では「響かない」の一言で済ませるわけにはいかない。その事実の重さを突きつけられた気がした。歪んだ愛国や保守の行き着く先はどこか…
読了日:12月17日 著者:白井 聡
https://bookmeter.com/books/12772453

■さよなら僕の夏
タイトルが示唆するように、一応舞台は夏なのだが、それでもかなり秋の気配が忍び寄っている晩夏の雰囲気が濃厚。それは、終盤での主人公と老人との会話にも顕著。また、女子の登場シーンはごく僅かなのにも関わらず、全体的にどこか甘酸っぱい空気が感じられるのも、著者ならではということか。圧巻なのはやはり大時計の鐘粉砕のシーンか。とんでもないことをやらかしたのにも関わらず、それに対する処置がありえないくらいに穏やかで、こう言ってよければ教育的なのに瞠目。また、生殖能力の終わりと、性の目覚めを詩的に描く筆致も素晴らしい。
読了日:12月14日 著者:レイ・ブラッドベリ
https://bookmeter.com/books/453644

■街場の共同体論
再読本であることに気づかず読了(笑)。初回と同じく、思わず膝を打ちたくなるほど共感する箇所が多々あり。また、本書が出て早数年。その間に更に情勢が劣悪なものになっていることを痛感。他者を貶め、他国の悪口を言うことが正義だと自認し、ひたすら自分の利益を求める…そんな人間がますます増えてきたと思うのは僕だけか?ただ、本書で言及されている、「このままではいけない」という認識に至った人達が、人知れず何がしかの行動を続けていることを願うばかりである。また、時流に流されず、本を読み発信することにも意味がある気がした。
読了日:12月14日 著者:内田樹
https://bookmeter.com/books/8099766

■近代日本のナショナリズム (講談社選書メチエ)
祖国を愛することは悪いことではない。しかし、その想いやそれから発する行為が、どうしてかくも他者を傷つけたり、問題を醸し出したりするのか…その問いに対する答えは、本書でも示唆されているように一筋縄ではいかない。とりわけ、最終章における窪塚洋介のあり方を見れば、ナショナリズムの手強さが容易に伺い知れる。普通に考えれば、そうはならないはずと思っていたことが、極端な形でそうなってしまう。そういう逆説的なことが、歴史上数限りなく起こってきた。今後もその流れに逆らうことはほぼ不可能だろう。ただ批判を忘れてはならない。
読了日:12月13日 著者:大澤 真幸
https://bookmeter.com/books/3322277

■戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ (NHK出版新書)
日本の戦後史を繙くとき、決まってその特異性と異常性、そしてもう少し何とかならなかったのか?というモヤモヤ感を痛烈に覚える。とりわけ、杜撰な戦後処理とバブル崩壊の負債を棚上げにしてきたプロセスを目にすると、政治にしろ経済にしろ、その曲がりなりにもその道のプロが現場にいて、一体何をやっていたのか?と言いたくなる。著者は最終章で、その恥辱にまみれた戦後政治を終わらせるための方法を説いているが、確かに正論ではあるが、正論が故の限界と甘さを孕んでいるように思う。例えば、十年後、本書の主張は有効性を保っているか?

読了日:12月11日 著者:白井 聡
https://bookmeter.com/books/10893527

■三四郎 (新潮文庫)
約三十年ぶりの再読。初読の時と同じく、起伏に乏しいながらも、どこか不思議な余韻を残す作品という印象はほぼ変わらなかったが、細部の記憶が殆ど抜け落ちていたことを痛感。恐らく初読の時には味わうことができなかった陰影に富んだ表現や、ちょっとした会話に見え隠れする機微などが理解できる分だけ味わいも深くなる。ただ単に三四郎が美彌子に翻弄されて終わるというわけではなく、恐らく美彌子も憎からず思っていたんだろうな…ということが幾つかのエピソードから伺い知れる。これをふまえて『それから』を再読すると、新たな発見があるか?
読了日:12月09日 著者:夏目 漱石
https://bookmeter.com/books/579375

■逃亡者
五百頁という大部の作品だが、貪るようにほぼ一気に読みつくした。ヘイトや歪んだ愛国心や保守思想が跋扈する昨今。それに否を唱えると、侮蔑的に反日左翼、リベラルのレッテルを貼り付けられる…そのことに憂い、微力ながら抵抗を試みる主人公とその恋人アインの姿は儚く悲しく、そして例えようもなく美しい。そして、圧巻なのは幻のトランペット奏者鈴木の手記。客観的に見れば、愚かしい無為無策な戦争と低劣な作戦に巻き込まれ、愚直に突き進む軍部とそれに追随する国民…多くの国民が真っ当な判断力を失った昨今の状況と通底するものがある…
読了日:12月08日 著者:中村 文則
https://bookmeter.com/books/15668247

■人間・この劇的なるもの (新潮文庫)
二百頁にも満たないのにもかかわらず、どうしてこうも濃厚な内容なのだろう?一読しただけでは、どうにも飽き足らず、今一度読み返してみたが、初読の際には自由や個性についての言及ばかりが気になったのに対して、今回は演劇論及び文学論に目が向くことに。いや、それだけではない。一頁につき、傍線を引きたくなる箇所が最低一箇所あるのでは?と思わされるくらいの凝縮した記述に改めて驚愕。本書は文学論であり、演劇論であり、哲学書であり、人生論の書、字面を追うだけでなく、その記述が伝えようとする意味を考察しながら読む必要あり。
読了日:12月05日 著者:福田 恆存
https://bookmeter.com/books/572053

■にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)
一読しただけでは、未消化感があったため、再読。初読では把握しきれなかった内容が、理解できるようになったのと同時に味わいもより深まったか。というより、初読の時の理解の浅さを痛感(笑)。その殆どが悲劇的結末なのだけれど、ひたすら陰惨というのではなく、どことなく優しさを感じさせるのは、やはり作者の眼差しによるものだろう。とりわけ、最後の「わかれ道」の結末が何とも言えず、とりわけ吉の姿がいじらしいのと同時にどうしようもなく愛おしい。また、「たけくらべ」では信如だけではなく、正太の存在も取り上げるべきだと思うが…
読了日:12月04日 著者:樋口 一葉
https://bookmeter.com/books/552202

■認知症ポジティブ! -脳科学でひもとく笑顔の暮らしとケアのコツ-
発想を変えるだけで、そこまで認知症をポジティブに捉え直すことができるのか?という一抹の疑問を感じたが、概ね興味深く読めたし、発見もあった。ただ、その一方でやはり、全ての人間がポジティブな方向へと発想を転換させることができるわけではないし、実際加齢による鬱が発症するという事実があるわけで、その辺りを突っ込んで語って欲しかったという不満は残る。また、認知症になるまで長生きできたというのは幸せという考え方はありだが、介護保険のあり方や介護の現場の過酷さををどう考えているのか?という点についても疑問が残った。
読了日:12月03日 著者:山口 晴保
https://bookmeter.com/books/13753158

■差異の政治学
自明と思われていた、男女の社会的役割、家庭での立ち位置など…しかし、歴史を紐解いてみると、それが意外と歴史が浅かったり、根拠に乏しいものだったりするが、同時に手強い社会通念でもあり、覆すのが意外に困難という状況。そして、そこには国家の意図がかなり強く反映されているから、余計に厄介。本書でも度々言及されているが、フェミニズムは女性を男性並みにする思想という誤解。その誤解のために損なったものの大きさを思うと、残念でならない。その主張全部を受容することはできなくても、それを知ることで、新たな視点が開けるのに…
読了日:12月01日 著者:上野 千鶴子
https://bookmeter.com/books/24241


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