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2020年12月31日17:25

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「生きる」(御園座)11/29

市村さん勘治/新納さん小説家回を観劇。
初演も見てないし、黒澤映画も見てないので、ざっくりあらすじっぽいのだけでのぞみましたが、主人公が日本人でしかも公務員ってミュージカルとしては、私の中ではなななか斬新な感じ。時代的にも、戦後だと定年直前の59歳って、今の同年代とは全然感覚的にも違うんでしょうね。市村さんの年老いた芝居見ててもそのへんの感覚になじむまでちょっと時間がかかりました。勘治の、まわりのみんなはわかってくれない的な孤独感は切ないけれど、でも、少なくとも息子との関係性については、そもそも会話してないのにわかりあえるわけないじゃん、とつい思ってしまったりして。残業ばっかりのサラリーマンならまだしも、定時で帰る公務員なのになんで息子と向き合う時間ないの?ってそっち側に行ってしまって、主人公になかなか肩入れできなくて困りました(笑)。別に息子の光男を村井くんがやってるから肩入れしてるわけでもないですよ。息子もたいがいと思うし。この時代の父親と息子ってこんなもんなのかしら。
いろんな課をたらいまわしされるお役所仕事とか、今でも変わらないような妙に現実的な場面とか見てて、ミュージカルには私はやっぱり現実と離れた世界へ行きたいって感覚があるみたいで、そんな妙なリアリティがちょっとしんどいな、と思ってしまったのも確か。いろいろ考えさせられる作品ではありましたけど。

市村さんはやっぱり存在感抜群。1幕ラストの「二度目の誕生日」でだんだん生きる希望が湧いてくるような感じとか、ラストの「ゴンドラの唄」のもの悲しさとか、やっぱり印象的でした。そして、劇中の雰囲気から一転してカーテンコールの満面の笑み!作品の内容が内容だけに、今もこうして市村さんが元気に歌っていることがなによりも良かったなあとしみじみ思ってしまって、なかなかフィクションに没頭できなかったりするところもありましたけど、この方はやっぱりレジェンド。
新納さんの小説家は、ビジュアルがまず素敵だなあと思いました。着物にコートが、とにかくかっこよくて目を引きます。もちろん歌声も素敵。勘治の生きざまにちょっとずつ心が動いて、色々助けてくれるのは良いけれど、光男殴るのはさすがにちょっとかわいそうじゃないの、と最後には光男寄りで見ちゃってすいません(笑)。結局そこなのか私!?
村井くんの光男は、昭和の時代の雰囲気にすごく溶け込んでる感じでした。歌は少なめだけど、台詞の声も歌声もやっぱり好きだなあ、とどうしてもそっち目線で見てしまうのは否めません。まあ、この作品を見ようと思った動機が何かって言われたら、村井くんなんだからしょうがないですかね。
女性陣のWキャストは、光男の妻の一枝が唯月ふうかちゃん、役所の若い子とよがMay'nさん。光男と一枝の夫婦は、勘治の世代と違う感覚なんでしょうけど、年代的なことを考えるとこんなもんかと思うし、そんなひどい息子たちか?ってどうしても思ってしまう(笑)。とよさんこそ、この時代らしからぬ積極的に動く女性で、そういう意味では随分と異質な雰囲気に思えましたが良いスパイスになっている感じでした。

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