18960330 NO4300 朝鮮事変（朝鮮国王の俄館移御）に関して英国外務次官と駐英・加藤公使の面談の件
한국사데이터베이스 (history.go.kr)
010_0010_0110 駐韓日本公使館記録 10巻 一. 本省来機密公信 (11) [朝鮮事変に関して英国外務次官と駐英・加藤公使の面談の件]
文書題目 (11) [朝鮮事変に関して英国外務次官と駐英・加藤公使の面談の件]
文書番号 機密送第二一号
発信日 明治二十九年三月三十日 ( 1896年 03月 30日 )
発信者 外務大臣臨時代理 文部大臣 侯爵 西園寺公望
受信者 在朝鮮 弁理公使 小村寿太��
(11) [朝鮮事変に関して英国外務次官と駐英・加藤公使の面談の件]
機密送第二一号
朝鮮国事変に関する訓令につき英国外務次官に面談の件に関し、在英・加藤公使より別紙の通り報告がありましたので御参考のため右写しを差し進みます。
明治二十九年三月三十日
外務大臣臨時代理 文部大臣 侯爵 西園寺公望印
在朝鮮 弁理公使 小村寿太�� 殿
[別紙]
文書題目 朝鮮事変に関する訓令につき当国外務次官に面談の件
朝鮮事変に関する訓令につき当国外務次官に面談の件
機密第十二号
本年二月十日の露兵朝鮮京城へ進入の件につき貴電の趣旨を同十四日委細了承致していたのですが、同十一日（＊露館播遷1896年 2月11日 ）同国総理大臣・金宏集及び農工商大臣・鄭秉夏が死刑に処せられ、国王及び世子が今なお露国公使館にあったまま特に内閣を組織させたことに関し、本官は一私人の資格でもって当国（＊英国）外務大臣に面会し英国政府の意向を問い合わすこととの昨十七日付貴電「第十一号」でこまごま御訓令の次第がありましたので、即日当国外務省に出頭致しましたところ、同大臣は
「主相の任務のため、とくに議会開会の当初であるので多忙を極めており当日不在で面会致しかねます」
とのことであったので、改めて次官に面談を求め御訓令の意を含み英国政府の意向を打診致しましたところ、
「英国政府においては近頃朝鮮国において起っている事変の顛末は委細承知しているが目下これに対する意向について申し述べるべき事項はない」
と答えましたので、その趣旨を同日付電報「第十一号」で取り敢えず別紙写しの通りお知らせしておきました。
推察するに、英国は先月以来度々御報告致しました通り、威涅瑞強（＊不明）国境争論をはじめとして「トランスブール」（＊トランスヴァール共和国 - Wikipedia）紛議、及び「アーメニア」人虐待（＊アルメニア人虐殺 - Wikipedia）に関するトルコ国との交渉など、並びにこれらに付随する諸種の関係のため英国政府は最も多事を感じ、しかも四方に敵を受けていると考え深く孤立の位置に立っていることを憂えている状況を呈すると同時に、その一般人情の傾向するところは、本月七日付「機密第八号」で申し進みましたとおり、下院首領・大蔵大臣バルフオア（＊アーサー・バルフォア - Wikipedia）氏の演説、ならびにその際たまたま表に出た徴候によってもはっきりとわかるように、必ずしも露国の南下を厭わないようなわけで、もし目下現実に英国の利益を障害する様子がない場合においては、英国は全国民が挙げて露国が跋扈（ほしいままにふるまうこと）することを顧慮せず、あるいはこれを顧慮する暇がない状態であるので、今般朝鮮における事変がその露国の隱謀詐術に属することは、「タイム」新聞通信者の報道、及び「リウタル」電信の文言によっても充分明瞭であるのではないかとの感がないわけではないが、英国政府はぼんやりとしてこれに注意する模様もなく、また実際露国南下が英国に害あることを忘却しているもののようであると同時に、輿論もまた多事に惑い左顧右眄している間これを不問に付し、従来無事の日々においては露国の一挙手一投足にも深く着目しこれをしきりにしゃべって止まなかった「タイムス」その他の諸新聞も、今般朝鮮の事変を委細報道しながらこれに関する格別の評語を加えず、またこれに対する英国政府の処置を度外視し一向に頓着しない有様であります。
とにかく本日午後外務省に出頭しソールズベリー侯に面会し、その談話の要領は電報をできるだけ具申しましたが、本日郵便締め切り際しまして前記電報「第十一号」の説明として取り敢えず以上の顛末を申し進みます。 敬具
明治二十九年二月十九日
在英 特命全権公使 加藤高明
外務大臣臨時代理 侯爵 西園寺公望 殿
ログインしてコメントを確認・投稿する