mixiユーザー(id:31691303)

2020年12月13日15:33

53 view

97 詩・短編を書いてみた(第1932回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b

※少し暗めの話かもしれません

98「幸せ不幸を売買する世界」

―――――――
【あらすじ】
この世界には変わった秩序がある。
それは自分の幸せと不幸を
貯めたり売り買いすることが出来る事。
不幸が貯まれば幸せが
幸せを消費すれば不幸な出来事が起こり
それらの量を貯金通帳のような紙で
確認することが出来る。

また
どれだけお金がなくても
幸せの貯蓄を専門機関で売り買えすれば
多額のお金が手に入ることも夢ではないのだ。

私はその専門機関で働いる。
だから
多くの人間を見てきた。
人の不幸は蜜の味と言うけれど
この仕事は本当に楽しい………

――――――


ある日
ボサボサの髪で顔を覆った男性がやって来た。

この手の人間には慣れている。

きっと事業か何か失敗して
その不幸の分の取り返そうと来たのだろう。

私は笑おうとする顔を必死に抑えながら言う。

『どうなさいました?』
『あの…。私の幸福は貯まっていますか…?』

なんとも弱々しい声だ。

『では、確認致しますので、マイナンバーカードを提示して頂けますか?』

男性は懐から
マイナンバーカードを取り出して私に見せた。

確認すると
彼にはほとんど幸福は貯まっていない。
逆に不幸がまだ貯まっていたのだ。

私は事実を伝えた。

すると男性は静かに震え
涙を流し始めた。

私は彼の履歴を見る。
履歴を見る限り
相当上手くいっていたらしい。
しかし
ある時を境にして
大量に幸福が消費されているのだ。

私は彼に
興味本意でこの時期についての話を聞いた。

『お客さま。いったい何があったのでしょうか?』

彼は涙を吹きながら話し出した。

彼は大学生の頃。
とある事業を思い付いた。
それは簡単に言えば
必要な人を探している人と
その適合した人を繋げる事業だ。

その時代はITバブル真っ盛りで
アプリなどでコンパクトで手軽さがあれば
上手くいくと思ったようだ。

事業を立ち上げると
その思惑は当たり
みるみると利用者はねずみ算に増え。
雑誌やメディアに乗るほどの大成功をおさめた。
結婚して子供を授かり
順風満帆な人生に天狗になった彼は
軽はずみで思い付いた新事業に着手したのだ。

しかし
これが悪夢の始まりである。

事業は
最初は上手く言っていたものの。
次第に事業は行き詰まるようになる。
天狗だった彼は
部下の提案や改善点などを全て無視。
それどころか罵倒し否定した。
その結果
業績はみるみると悪化。
さらには
彼の横暴さに耐えられなくなった社員は
会社から離れていってしまった。

気がついたときには事業規模に合わない社員数と
莫大な借金だけが残っていた。

しかしこれだけでは終わらない
泣きっ面に蜂と言わんばかりに
妻が不倫をしていたことが発覚。
離婚により別れることになり
親権も奪われてしまった。

今の彼には何一つ残っていない。

『そのような事があったのですね…』

私は同情による言葉をかける。
もちろん本心ではない。
これでも笑いを我慢しているのだ

結局
彼はここでは何も出来ないことを受け入れ
施設から去っていった…。

後日
私は友達にこの話を話した。
笑い話のネタとして。
端から見たら酷い人間だろう。
でも止められないの…。

そんなある日
私は上司に呼ばれた。
何だろうか…?

上司の所へ行くと
そこでクビを宣告された。
理由は秘密保持違反。
お客さんから聞いた情報を他人に話してはいけないという規則を破ったかららしい。

そんな規則を聞いたことはないが…。
まぁいい
もう潮時だと思っていた。

私は抵抗することなく
クビを受け入れた。


後日
私は職員の時には
規則で見ることが出来なかった。
あの通帳を初めて私は確認した。

そこには
あったけの不幸の貯蓄が貯まっていた。

人の不幸を聞くということで
自然と貯めてしまったのだろうか…。

こんな私には
いかにもお似合いな結末だ。

ただ私は舐めていた。
自分がどれだけの地獄を味わうのかを……


プルルル…。

ほら…電話だ…。



__終わり___
8 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する