18960316 NO4297 朝鮮問題に関し露国政府と協議の件
한국사데이터베이스 (history.go.kr)
010_0010_0080 駐韓日本公使館記録 10巻 一. 本省来機密公信 (8) 朝鮮問題に関し露国政府と協議の件
文書題目 (8) 朝鮮問題に関し露国政府と協議の件
文書番号 機密送第一七号
発信日 明治二十九年三月十六日 ( 1896年 03月 16日 )
発信者 外部大臣臨時代理 文部大臣 侯爵 西園寺公望
受信者 在朝鮮 弁理公使 小村寿太��
(8) 朝鮮問題に関し露国政府と協議の件
機密送第一七号
「朝鮮問題に関し露国政府と協議を遂げる」件については既に電信をもって申し進んで置きましたので最早委細御承知のこととは存じますが、なお念のためここにその顛末をお知らせ致します。
そもそも将来における本問題の処分に関しては大いに熟考を要します問題ではありますが、結局
帝国政府単独の力をもってこれの処分をするか、
または列国政府と協議の上これを処分するか、
もしくは利害関係の最も密接な或る一国と相当の協議を為すか
のほかには良策もなく、そして本邦の今日の形勢より考察するときは、第一策を執ることは到底言う事は出来ても行うことはできない事でありますので、第二策を執ることもまた一策ではありますが、在外各公使よりの最近の報告によれば、本問題に関してはいずれの国も極めて冷淡で、特に英国などは実に利害関係の大なる国であるのに甚だ無頓着であることは、二月十九日付をもって御転送に及んで置きました在英・加藤公使よりの来電、並びに別紙「甲号」、同公使よりの電信について見ても甚だ明瞭であります。
列国政府の意向は右に申し述べました通りの次第でありますので、最早第三策に出る外には別に良手段もありません。これが帝国政府が露国政府と共同して本問題を決定することに決意したゆえんであり、そしてこの事についてはかねて本邦駐箚・露国公使より伊藤総理大臣並びに本大臣（＊私）に対ししばしば内話の次第もありましたので、先月十九日本大臣（＊私）より同公使に対しこの協議の端�劼魍�くに至りました。
以上は同日付送「第六二号電信」で既に申し進んで置きましたが、なお「別紙乙号」の本大臣と露国公使との対話筆記概要で委細御承知頂きたく存じます。
将来における朝鮮問題の全体については、右の通り露国政府と協議を遂げます事になりましても、目下の急務は、先ず第一着に現在生じています事件について政府で協議を遂げないときは、全体の問題に関し協議をなす前に当り不測の事変を生じる恐れもありますので、露国公使と対話の際この旨付言致して置きましたところ、先月二十三日に至り本国政府より回答があったとのことで「別紙丙号」の通り申し出ました。
以上の通り、露国政府においても朝鮮問題に関し帝国政府と協議をなすことについて同意を表して来ていますので、本大臣は同二十四日「別紙丁号」の通り提議に及びましたところ、本月二日に至り露国政府より別紙「戊号」の通り回答がありました。
このことは去る三日付「第六号横文電信」をもって申し進んで置きましたので最早御承知の事と存じます。露国政府の回答中やや不満足な点がないわけではありませんが、強いてこれを争う必要もありませんので、とにかくこれに同意を表し、去る三日貴官へ訓令を発すると同時に、在本邦・露国公使に対し在京城・露国公使へも必要な訓令を発しますよう致したく申し入れて置きましたところ、本月六日露国公使は本国外務大臣の命によって同日右訓令を伝達したと申し来りました。これまた同日付電信で御知らせ致して置きました。
以上の通り露国政府と共同して事を処する方針を執ることに一決した上は、貴官よりも既に上申されました通り、なるべく露国との衝突を避けることが極めて必要なので、貴官は本月三日本大臣より発した訓令の趣旨に基づき、万事御処置になりますよう致したく、また本問題に関してはなお将来露国政府と種々協議を要すべきところもはるでしょうから、御心付けの点は時々詳細御報告頂きたく存じます。
以上申し進みます。
明治二十九年三月十六日
外部大臣臨時代理 文部大臣 侯爵 西園寺公望印
在朝鮮 弁理公使 小村寿太�� 殿
[別紙 乙号]
文書題目 [俄館播遷事態処理のための日本側覚書]
[俄館播遷事態処理のための日本側覚書]
1st. The situation in Seoul being now calm, the Japanese Government think that it would be convenient for the king to return to His Palace. In consequence the Imperial government would desire that the Imperial Russian Government would give the instructions to their Representative at Seoul to take the necessary measures to that end. If the King of Corea as it has been rumoured in certain circles, entertains apprehensions regarding the conduct of Japanese troops, the Japanese Government are prepared to give assurances to Corean Government that the Japanese troops stationed in Seoul shall only be employed for the protection of the Legation, Consulate and Japanese subjects, as well as for the protection of the King in case of necessity.
2nd. The Japanese Government desire that the two Governments of Japan and Russia should give instructions to the respective Representatives in Seoul to advise the King of Corea in case of necessity for forming a new government such government be composed of impartial men.
3rd. The Coreans when in power have the inhuman custom of inflicting the most cruel punishments upon their political adversaries. That state of things by which a spirit of vengeance would be indefinitely maintained, is prejudicial to the tranquility of the Country. The Imperial Government therefore are of opinion that it would be the interest off of all that these practices should cease. In consequence they propose to the Russian Government that the two Government give similar instructions to their Representative in Seoul to counsel the Corean Government to abstain in the present instance from inflicting upon their political adversaries such cruel penalties.
＊日本語訳
1. 現在京城の状況は静かで日本政府は国王が宮闕へ帰還することがよいだろうと考える。 その結果帝国政府はロシア帝国が漢城に駐在する代表にその目的のため必要な措置を執るよう訓令することを希望する。万一朝鮮国王がある一部で噂が出ているように日本軍隊の行動に不安感を抱いていれば、日本政府は朝鮮政府に対して京城に駐屯中の日本軍隊は今後（＊宮闕の保護ではなく）日本公使館、領事館および日本臣民の保護と必要な場合国王の保護のためにのみ使用することを保証する用意があること。
2. 日本政府は日露両国政府が京城におけるそれぞれの代表に、公平無私の人士たちで構成される新政府の組織のため、必要な場合朝鮮国王に助言をするよう訓令するよう希望する。
3. 朝鮮人たちは政権を取れば政敵たちに対して非常に残忍な刑罰を加える非人道的な慣習があり、いつまでも復讐心を抱くようになる。そのような様相はこの国の安寧に非常に不利である。したがって帝国政府はこのような慣例の終息がすべての人々の利益となるだろうという見解を以っている。したがって我々はロシア政府に両国政府がそれぞれ京城駐在の自国代表に、この度彼らの政敵にそれと同じ刑罰の賦課を慎むように朝鮮政府に助言するよう同一な訓令を下すことを提議する。
[別紙 丙号]
文書題目 [露国外相の朝鮮事件に関する希望通告の件]
[露国外相の朝鮮事件に関する希望通告の件]
On account of the interruption of the telegraphic line the Government of Russia have neither details of the change produced nor of its origin. But prince Lobanoff shares perfectly the views of marquis Saionzi regarding the utility which there would be in an understanding as to the instructions to be given to the respective Representatives to prevent future surprises. It is desirable to know the general sense of the instructions which the Japanese Government propose to send to their Representative.
＊日本語訳
電信線の途絶について、ロシア政府は発生した事態の変化とその原因に関して詳細なことは知らないでいる。しかしLobanoff侯爵は今後の驚きを未然に防止するためにそれぞれ自国代表に下す訓令に関する合意が有益であろうと言う点で西園寺侯爵と全的に見解を同じくしている。日本政府が計画している自国代表に下す訓令のあらましの内容を知りたい。
[別紙 丁号]
文書題目 [朝鮮事件に関する日本政府の提案に対する回答]
[朝鮮事件に関する日本政府の提案に対する回答]
Reply to the proposals of the Imperial Government, made on the 2nd March 1896 by H. E. Mr. Hitrovo, to H. E. marquis Saionzi.
1. The King is always free to return to his palace when he judges it possible and certainly the Russian chargé d'affairs will not oppose it.
2. The Representatives of Russia and Japan shall aim at recommending to the King moderate ministers and at inducing him to show clemency toward his subjects.
3. The two Representatives shall examine if foreign troops are still necessary for protecting the telegraphic communications; on what lines and in what forces.
4. They shall also come to an understanding, if there is an occasion, on the measures to be taken for the protection of their respective Legations and Consulates.
5. These negations shall be carried on in a reciprocial(reciprocal?) spirit of conciliation.
＊日本語訳
1. 国王は可能だと判断する時いつでも自由に自身の宮闕へ帰ることができ、ロシア代理公使は決して帰還に反対しないであろう。
2. 露日両国代表は国王に穏健な大臣を推挙し市民に寛容を恵むことを説得するよう努力する。
3. 両国代表は電信線保護のため今も軍隊が必要なのか、必要とすればどの線路にどの程度の軍隊が必要となるか調査する。
4. 両国代表はまた自国の公使館及び領事館の保護のため必要な場合執る措置について合意しなければならない。
5. その協商は相互間に妥協精神で進行されなければならない。
ログインしてコメントを確認・投稿する