18960915 NO4268 天長節雲峴宮（ウニョングン＝大院君）の参内に関する件
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009_0030_0510 駐韓日本公使館記録 9巻 三. 機密本省往 一•二 (51) 天長節雲峴宮参内に関する件
文書題目 (51) 天長節雲峴宮参内に関する件
文書番号 機密第七三号
発信日 明治二十九年九月十五日 ( 1896年 09月 15日 )
発信者 公使 原 （＊原敬）
受信者 外務大臣 西園寺 （＊西園寺公望 外務大臣）
(51) 天長節雲峴宮（ウニョングン）参内に関する件
機密第七三号
雲峴宮(大院君)においては二月事変（＊二月十一日事変＝露館播遷）以来陛下とは全く隔離されていたのだが、去る二日の天長節を機とし参内御対顔があるだろうとはその当時一般の風説でありましたが、予想通り同日当宮（＊大院君）は夫人及び嫡子、李載冕(イチェミョン ＊大院君の長男・高宗の兄)を伴い正午時より慶雲宮（＊現在の徳寿宮）に参内し、先ず洪・大妃(陛下の皇太祖后)の御機嫌伺いをなし、同時に名刺を陛下の許(ロシア公使館内)に通し御対顔を求められたところ、王太子妃は直ちに出御御対顔があったが、陛下並びに東宮においてはともに各国公使謁見の時刻を口実にして遂に御対顔なさらなかった。
これより先、当宮に反対する立場にあった宮内大臣・李載純(イジェスン）、金鴻陸（キム・ホンリュク、김홍륙）などは当宮の参内がある風説に驚かされ、沈相�癲淵轡爛汽鵐侫鵝法⇒�允用（イユニョン）兄弟などと結びその参内を阻止しようと協議し、当宮の女壻である李允用を利用して同氏から私信で「同日参内不可能」と当宮に通達させた。
そこで当宮（＊大院君）は使者を出して本使（＊私）の内意を打診してきましたので、本使はいささか見る所があったので「これに対し物議を引き起こすような事があったならかえって御父子の御為めにならないであろうから(御遠慮されるのがよい)」旨を一個人の資格で回答したのだが、「父子の情において遠慮することはできない」とのことで李允用の勧告があるにも拘わらず慶運宮に参内したのだが、結局当宮は自身で参内した以上は陛下が同宮へ御出御になるか、そうでなければロシア公使館内まで御召喚になるか、いずれにしても対顔がなくてはならないであろうと深く信じておられたものと思われます。
しかし李（＊李載純）・宮内大臣一派においては、これは予ねて予想していたことなので、同日参内の通知を得ると同時に陛下に咫尺（しせき ＊拝謁）し、「当宮（＊大院君）の口出しはとかく日本党を退けさせる手段である」とか、または「昨年八月事変の隱然たる首唱者である」など種々の讒言を構えて御対顔なさらないことをお勧めし、結局国王は御対顔を遠回しにお断りになったのであります。よって当宮の一行は非常に悲憤しつつ帰館となったのと事です。以上具報に及びます。 敬具
明治二十九年九月十五日
原 公使
西園寺 外務大臣 宛
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