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2020年11月07日22:20

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93-2終 詩・短編を書いてみた(第1928回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b


94「与えられた挑戦」
■■■■■
【あらすじ】
田舎から上京した僕は
「ミリア」と書かれた最新技術のイルミネーションや
近代的な建物が並ぶ
その都会の近代的な姿に
この国の未来を感じていた。
しかし
その近代的な街は僕にとってあまりに大きく
自分の存在があまりにも小さく感じ
人生に行き詰まってしまった。

そんなある日
僕は道に迷ってしまう。
仕方なく道を聞こうと女性に話しかけた。
すると
その女性は不敵な笑みを浮かべ
僕をマンションに招いたのだった………。

――――

『さ、中に入って』
『は、はい…』

高層ビルの最上階に通された僕。
彼女が誰なのか。
僕には全く分からない。
ただ
この女性が只者で無いことは
何となく分かる。

そんなオーラを感じるんだ。

『何か飲む?』
『え、あ…。お、お構い無く…』
『そんなに緊張しなくても』

彼女は笑う。

『ほら立ってないで、ソファに座って』

そう言って
彼女は麦茶を注いだコップを
テーブルに置いていく。
僕は促されるまま
明らかに高そうなソファに座る。
そして
彼女は僕の対面に座り
お茶を一口飲む。

『そういえば君はどこから来たの?』
『ぼ、僕ですか…!?』

僕は田舎の街の名前を言った。

『…それは、どこなの…?』

予想通りの反応。
僕の住んでいた田舎は
この国でも奥地にあり
人口は皆が知り合いと思えるくらいしかいない。
彼女の反応は当然だ。
僕は慣れた感じで田舎の詳細を言うが
やっぱり
彼女は分からなかったようで
話題を変えられた。

『ふ〜ん。で、どうして、その町からこの都会に出てきたの?』
『それは…』

その質問も予想していた。
でも
あの町から出てきた理由は
正直に言うと答えたくはない。
だって
ただ「あの田舎から出て行きたかった」からだ。
そして
これも「あるある」だと思うけど
都会に出れば
自分の運命や何かが変わるのではないかと思ったんだ。

こんなこと「思春期真っ盛り」と思われるから言いたくはない。
でも
上手い嘘なんか思い付かないし…。

結局
僕は素直に事情を伝えた。
すると
やっぱり彼女は笑った。

『笑わないでくださいよ…』
『ゴメンね。バカにしたわけではないの。ただ、良いなぁ〜と思って』
『どこが良いんですか…。町から出て来たものの。バイトばかりで何か変わるわけでもないし…』

そう言うと
彼女の目付きが変わる。

『君は本当に変えたいと思っているの?』
『は、はい…』
『じゃあ、君は何してきたの?』

何故か
その言葉が僕の心を揺らす。

まるで
僕の全てを見定められているような気がして…。

僕はその彼女の眼差しや表情に対して
何も言えなかった。


その僕を見た彼女は
どこか寂しそうな表情をして
立ち上がり
都市を一望できる窓から景色を眺め始める。

陽が落ち始めたその光景は本当に美しい。

『見ず知らずの人に突然、こんな事を言うのは失礼と思うけど…。田舎に帰ったら?』

その言葉に思わず
僕は身体を強ばらせる。

分かっている。
いや…分かっていた…。
いつかは、その言葉を聞くときが来ると…。
でも僕はまだ何かを諦められないんだ…。

『嫌です…』
『どうして?』
『まだ自分の可能性を信じたいんです!』
『ふ〜ん…』

彼女はまたソファに座る。
そしてこう言った。

『じゃあ、1ヶ月間だけ、私のマネージャーになってみる?』
『ま、マネージャー?』
『この国には、1ヶ月くらい仕事で滞在する予定だったし。ちょうど、スタッフに休暇を与えたから、代わりを探していたのよ』
『で、でも…。何で僕に…?』
『まぁ、こうして会ったのも縁だし。ナンパされたしね』

ナンパ…?。

『そ、そんな事はしていませんよ…!?』

そう言うと
彼女は少し動揺した。

『隠さなくて良いって。道を聞くなんて、ナンパの常套手段だから』
『いえ、僕は本当に道を聞きたくて…』
『……』

どうやら彼女はナンパされたと勘違いしていたらしく。
単純に僕の事が気に入ったから家へ招き入れたようだ。

コントみたいな勘違いをするもんだな…。
もしかして変な人なのかも…?

そう思っていると
彼女があることを聞いてきた。

『そういえば、さっきから気になってたんだけど。私の事は誰か知っている?』

僕は首を横に振る。

すると
彼女は驚きながら立ち上がり
『私を知らないの!?』と声を荒げた。

『じゃあ、ミリア・美優・グランデ。この名前は知っているでしょ!?』

ミリア・美優・グランデ…?。
どこかで聞いた気が…。

『今すぐ調べなさい!』
『は、はい…!』

僕は慌てて
スマホで調べてみる。
すると
彼女の関連商品は全て完売。
そして
1ヶ月に数億円も稼いでしまうという
超有名芸能人だった。

変な人と思っていたけど
こんなに凄い人だなんて…。

『じゃあ、マネージャーというのは…?』
『もちろん、この私のマネージャーよ』
『ぼ、僕が…!!?』
『と言っても、スケジューリングなどは別の人にやってもらうから、アナタにはその他雑用ということになるけど。で、どうかしら?。やる?。やらない?』

僕は今の状況や今後の自分を考えて
マネージャーの仕事を受ける事にした。
その後
今回の仕事について説明をされた。

基本の仕事は彼女の雑用。
期間は1ヶ月くらい。
給料や衣食住は確保してくれるらしい。
『じゃあ、明日からよろしくね』
『あ、明日!?。荷物とかは?』
『あ、下の階に物置用に借りてる部屋があるから、そこに運んで。じゃ』

僕は鍵を渡されて渋々下の階へ
その部屋を開けると
彼女の服や何やらが山ずみにされていて
僕は大丈夫かな…と一人心配になるのだった………


■■■↓93-2↓■■■

翌日
僕は彼女の本スタッフに会い
彼女から僕の事が説明された。

僕はスタッフから異論が出ると思ったが
彼女のワガママに慣れているのか
あっさりと受け入れられた。

こうして
ここでの仕事が始まったのだった。


しかし
やることと言えば
彼女の愚痴を聞いたり
頼まれたものを買いに行くだけの仕事。
これではパシリ…。
正直不満はあった。
でも
輝かしい歌や舞台など
彼女達に同伴していて過ごした時間は
僕からすれば全てが非日常で
僕が望んでいた景色だった…。

そんな世界を楽しんでいると
気がつけば
契約が終わる2日前になっていた……。

もうすぐ終わるのか…。

そう思っていると
彼女からある提案をされた。

『もしアナタが良ければ、私の所で働かない?。もちろん、ちゃんとした形で』
『ちゃんとした…』

どうやら
僕は彼女に評価されていたらしい。

しかし
僕はその申し出を即座に答える事が出来なかった。

『……。まぁ、いきなりだもんね。なら、最終日に教えて。良い返事を待ってるわ』
『はい…』

その日の夜。
僕はこの事について長く長く月がアクビをするくらい考えた。

どうして僕は躊躇うのだろう。
別に海外へ行くことが怖い訳じゃない。
でも
彼女の近くで歌や舞台などを間近で見て
この世界の表と裏。
楽しさと苦しさ。
そして凄さを存分に見させてもらった。
だからこそ考えてしまうのだ…。

自分が目指していたような世界は
自分が進むべき道なのかと…。

そして
契約の最終日。
答えを言わなければいけない時がきた。

僕は彼女を前にして
言葉を二度詰まらせる。
言わなければいけないと思えば思うほどに…。

でも僕は伝えた。

『ありがとうございました』と…。

美優さんは
寂しそうな表情をしながら『分かった』と受け入れてくれた。

少し無言が続いた後
彼女が言う

『これからどうするの?』
『もう、ここに住む場所も理由も無いですし、一旦は故郷へ帰ろうかなと思います』
『そう…。だったら、はい、これ』

彼女から渡されたのは電話番号が書かれた紙。

『これは…?』
『アナタが立派になったら、そこに連絡してちょうだい。お祝いに行ってあげるから』
『あ、ありがとうございます!』

この後
スタッフにも僕の気持ちを伝え
彼らはその決断を応援してくれた。

短い時間だったけど。
こんな僕を仲間と迎え入れてくれたスタッフの皆には感謝しかない。
皆から離れる選択が間違っていると思うぐらいに。

僕は後ろ髪をひかれる想いで
1つの挑戦に別れを告げた…。


それから僕は
一ヶ月ぶりの住んでいた自宅へ帰ってきた。
部屋は埃が溜まっていて
まるで気分は浦島太郎のよう。

『さて…。まずは掃除だな』

僕は過去の自分を清算。
もしくは決別するように掃除を始めるのだった。

掃除を終えた僕は
引っ越しなど様々な手続きを行い
数年ぶりに田舎に帰ってきた。
心配していた親には凄く怒られたが
今は愛情を感じる。

それから僕は
全てを一からやり直した。

アルバイト等でお金を貯めて専門学校に入り直し
そこで
知識を蓄え友達を作り
そして
その仲間達と一緒にイベント会社を立ち上げた。

新しい第2の人生を歩む為だ。
ただ
その会社運営は順風満帆とは言えなかった。
仲間が辞めたり…。
仕事が無かったり…。

辛い日々が続いたがけして諦めなかった。
あの時の出会いが僕を変えたのである。
何度も潰れかけながらも
どうにか少しずつ会社は大きくなっていった…。

それから数年後
会社に大きな仕事を取ることが出来た。
それは行政から町お越しをして欲しいというもの。

この大きな仕事に
僕は社員と一緒にアイデアを考え
僕らは滋賀県で行われているイナズマフェスのような「コンサート」を催す事に決まった。

町のどこでやるか
スケジュールはどうするかなど
少しずつ決まっていくが
大きな問題が立ちはだかった。

それは誰を呼ぶか…。

イベントを行う上で
これが一番重要なのである。


僕としては
お客さんを呼べるくらいのビックな有名人を呼びたい。
しかし
行政からの予算は限られているから
呼ぶことは難しい。

どうすれは…。

そう思った時
彼女から貰った連絡先が書かれた紙を思い出した。

僕はすぐに自宅へ帰り
それを当時の自分が着ていた服の
ポケットから取り出した。

茶色に変色していたが
字はしっかり残っている。

良かった。よし連絡を…!

そう思って携帯を取り出したが
思わず指が止めた。

もし、この連絡先に繋がらなかったら…。
電話番号なんて変わっているかも…。
あれはリップサービス…。

そんな不安が心に染み出るように襲う。

でも、もしかしたら……。

僕は一抹の希望をを勇気に変えて
書いてある番号に電話を掛けた。

プルルル…プルルル…

とても長く感じる電話のコール
思わず電話を切りそうになる

『無理か…』

そう思った時

ガチャ

『久しぶりね。元気にしてた?』
『えっ…?。あ、はい…』
『それは良かった』
『あの…。どちら様ですか…?』
『あら、久し振りの挨拶がそれ?。酷いわね。私の声を忘れたの?。ミリア・美優・グランデよ』

僕はその名前を聞いた時
声が出なかった。

嬉しさと驚きと寂しさと様々な感情が湧いてきたから。

僕は思わず聞いた。

『どうして電話に出たんですか…?』
『約束したでしょ?。待っているって』

話を効くと
なんと彼女は僕からいつでも連絡が来ても良いように
僕だけしか連絡先を渡していない専用の携帯を持ち続けていたという。

この人は凄い…。

『で、何か用事なのでしょ?』
『あ、はい…。実は…』

僕はここまでの経緯をした。
会社を立ち上げたこと。
街を盛り上げるためにアナタを呼びたいこと等々…。
すると
彼女は二つ返事で出ることを承諾してくれた。

ただ僕は『断られるかもしれない』と思いながらも
お金が無いことも伝えた。

すると
彼女は軽いため息を吐く。

『何を言ってるのよ。これは仕事じゃなくて、私のプライベート。だからお金なんか要らないわよ』
『ほ、本当に!?。ありがとうございます!』

彼女は本当に凄い人だ。
こんな自分にも
手を差し出してくれるのだもの。
僕も見習わないと…。

それから僕は催し物の話を説明し
当日に会うことを約束した。

そして当日
事前にPRしたおかげか
会場には多くのお客さんが参加していた。
そして
彼女の登場で大盛り上がり
催しは大成功に終わった。

彼女も凄く気に入ってくれて
『私の魅力を最大限に引き出してくれた祭りだった』と評価してくれて
それを聞いた僕は
心の中で『彼女の魅力が最大限に見えるように考えたから当然だよ』と
静かに胸を張った。

この催し物をキッカケに
彼女と一緒に仕事をすることが増え
そして
僕は彼女の専属イベントプロデューサーとして仕事をさせてもらえるようになった。

再び彼女の隣で仕事をさせてもらえるようになったのだ

あの時のような情けない自分とではなく
一人のプロとして隣にいることを認めてくれたのだろう。


それから月日は経ち…
今は彼女の10周年のコンサートの計画に関わっている。

あの時
自分に自信がなく共に歩むことが出来なかった。
でも今は違う
今は自分にしっかりと自信を持ち
自分の足元を踏み締めながら歩めている。

だからこそ
その恩返しのために
コンサートの成功を
彼女に見せつけなければならない。
僕がアナタのお陰でここまで来れたのだと知ってもらうために…………










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