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2020年10月30日09:37

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ラクサンポ170

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。

川口が独りごとを言いながら、町を歩いている。
「ああ。相談係を辞めたくなったよ。どうしても、救ってやりたいと思うと、失敗したとき、すごく、落ち込むなあ」

郵便ポストの前を通りかかる。
「だれかに、相談の手紙でも、送ろうかな。俺こそ、相談が必要だな。こんなときは海でも見に行くか」

埠頭で、海を見ながら、背伸びをしながら、独り言。
「海は広いな。俺はすべて自分で背負い込んでいたんだ。一人の人間に出来ることは限度がある。まして、ディスレクシアと他に発達障害を持っている身だ。出来る範囲がさらに狭い。その自分自身を受け入れなければ、ならない」

旅客機が空を飛んでいるのを見て、悟ったように。
「こんな自分自身が愛おしい。そうだ。又、NPOスペースいちごに戻ろう。まだ、解雇になったわけではない。次の案件があるじゃないか」



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