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2020年10月23日10:39

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『スパイの妻』感想

〜2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞〜<映画.comさんより>

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危険・警告公開直後なので、なるべくネタバレしないように書きますが、とりあえずご注意を!あせあせ

いやあ〜、楽しかったです。
映画ファンの好奇心を、期待以上に満足させてくれました。

始まってしばらくして、夫婦2人の演技の質が、悪い意味ではなく、通常とは違うなと感じました。
特に、台詞の言い回し。どこか、浮いてるみたいな。当時の雰囲気を再現してた?

まるで何も知らない風だった聡子が、嫉妬から始まって、夫の行動を理解し、おそらく自分を今までどおり愛してほしいという欲望もあり、妙なハイテンションで「一緒にアメリカに行きましょう」となっていく流れがいやはや、なんとも不思議な味わいでした。
「捕まることも死ぬことも怖くありません。私が怖いのは・・・あなたと離れる事です」

次から次へと展開される黒沢マジックの演出にニンマリしっぱなし。
各シーンの人物の配置、人物の動き、カメラワーク、長回し。
「そう、こういうのが観たかったのよ〜〜〜!!!」って。
時に、舞台如きの演出も。
照明も良かった。夫婦2人の顔、半分が光、半分が影。

小道具というか、あちこちに巧なギミック!
・金庫→何度も演じて番号を覚えた
・チェス→チェスの駒の位置
・映写機(フィルム)→聡子は自分で回せる
これらが見事に噛み合って、もう、たまらん、たまらん。

ただ、いきなり殺されてしまう看護婦や、拷問の後は一切登場しない優作の甥が、ちょっと気になった。
2人とも可哀想。
あとお手伝いさんって・・・特に謎めく必要はなかったのかしらん?

この2つの台詞の関連性。
津森「あなたの普通は、他の人から批判の対象にされる」
聡子「私は普通です。でも周りは狂っている。だから私は異常に見える。」

予告編バッド(下向き矢印)
https://youtu.be/Ho3GWR03x8k

満点にこそなりませんでしたが、まさに「お見事です!」な作品でした。4つ☆
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