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2020年10月05日15:20

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豊かな国カンボジア

■人なら4日、僕なら30分…地雷かぎ分けるネズミの英雄
(朝日新聞デジタル - 10月04日 08:56)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6255377



これは大いに結構なことだが、ポルポト政権が残した傷跡はまだ癒えていない。
ずっと以前に、カンボジアとベトナムを一か月に亘って旅したことがあるが、
両国の違いには驚きを禁じ得なかった。
 
解放後のベトナムは、まだ戦争の傷跡は生々しく残っていたが、
経済発展は著しく、ハノイでもダナンでもサイゴンでも、
仕事を終えて工場から出てくる若者はホンダスーパーカブに乗っていて、
それが彼らのステータスになっている様子で、
僕が育った日本の高度経済成長期を彷彿させる活気だった。
 
ベトナム各地を旅行して回って、そのアグレッシブな活気に印象を受けたが、
次に訪れたカンボジアには、殆ど呆然だった。
街中至る所に、手や足のない、暗い表情の人たち、
それとは対照的な逞しく働く女たち。
プノンペンは廃墟がまだ完全に整理されてはおらず、
アンコールワットのあるシェムリアプも、電力が不足しており、
観光客が滞在するホテルこそ煌煌と灯りは灯ってはいるものの、街は真っ暗。
売春が貴重な収入源になっているらしく「マッサージ嬢は如何ですか」とくる。
「興味はない」と断っても毎日御用聞きに来る。
 
ナイトマーケットに出かけたが、売り子は全員若者ばかり。
まるで大学祭に紛れ込んだような錯覚さえ覚える状態。
そして、ハタと気づいた。
そうか、この国には中高年が存在しないんだ、と。
あの4年間のクメール・ルージュの地獄で、悉く殺されたのだということが。
トゥクトゥクというオートバイタクシーで訪れる観光地では、
必ず土産物の籠を下げた裸足の子供たちが寄ってくる。
悲しげな眼でこちらを見上げて
「この絵ハガキセット1ドル、キーホルダー1ドル、買って」
と迫ってくる。
子供好きの僕が素通りできる筈もないではないか。いつも泣きそうになった。
 
ベトナムとの明らかな違いはここにあったのだ。
経済発展に湧きたつベトナムに比べて、
社会の中核を担う世代、とりわけインテリ層が絶滅したカンボジアは、
経済復興の糸口さえ見出すにまで至っていないのだな、と知った。
 
そう言えば、街の通りや観光地で見かける音楽バンドの多くは、
片足のない人や目の見えない人が大勢いて、悲しげな顔で演奏している。
それなのに、胡弓を弾き、太鼓を叩き、笛を吹き、
ダルシマーに似たハープで紡ぎ出す彼らの音楽は、
いつ始まりいつ終わったか判然としない体のものではあったが、
いかにも素朴で楽しく、心癒される旋律であった。
 
そして僕は深い感動とともに納得したのだ。
本来、カンボジアは充分に豊かで平和な国だったのだ、争いなど必要なかったのだ、
だから、毛沢東思想に毒されたポルポトなんかに、易々と蹂躙されたのだ、と。
カンボジアには、僅か二週間しか滞在しなかったけど、
ここの人々が醸し出す、口では表現し難い「癒し」は理解できたと思う。
それが理由だろう、カンボジアに住み着いてしまった日本の若者が大勢いるのだ。
この国には、体が動くうちに是非、もう一度訪問したいと思っている。
 
 

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