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2020年10月01日09:04

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9月の読書記録

先月はその前の月より、読んだ本の冊数、頁数共に上回ったのだけれど、本のチョイスに問題(?)があったのか、ナイスが伸び悩んだのが残念(笑)。秋も本格化して読書に相応しい気候になってきたので、今月はより読書に勤しむようにしよう。

2020年9月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:5958ページ
ナイス数:122ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■ブリュメール18日 (平凡社ライブラリー)
昨今の政治事情を考察する上で、かなり示唆的な内容であることは、何となく理解できたものの、様々な政治党派や当時の複雑な歴史的背景についての知識が欠落しているために、字面を追っているだけのことも少なからずあったというのが正直なところ。また、以前岩波文庫版で読んだときの、独特の躍動感をあまり感じなかったのが、やや不満。それはこちら側の事情かもしれないけれど。ただ、政治的理想の実現や改革を目論みながら、結局長いものに巻かれてしまうという歴史的事実や、普通選挙法が孕む危うさについては理解できたか。再読の必要性あり。
読了日:09月29日 著者:カール マルクス
https://bookmeter.com/books/418100

■エセー〈1〉
思った程、読了するのに苦労しなかったが、楽めたり、今後の人生の伴侶となりえるか?は微妙。ただ、全巻通して読んでみたいという気にはさせられた。他の感想にもあるように、とにかく古代ヨーロッパのエピソードへの言及が夥しく、これだけで読了へのハードルが上がってしまう。ただ、各章が比較的短いのが救いで、退屈な内容でもどうにか乗り越えられた感がある。もちろん含蓄に富んでいたり、現代にも通じる内容も少なくないのだが、そこに行き着くまでの
道程が長いというべきか。勉学について述べた最終章は、就学期の子供がいる親必読。
読了日:09月26日 著者:
https://bookmeter.com/books/504758

■笑犬樓の逆襲
『噂の真相』が廃刊になって、もう20年近くの月日が経つのか…そういえば、この辺りから政治批判がやりにくくなったのかも?と考えると、何とも複雑な気持ちに。それはともかくとして、作家と俳優という二足の草鞋を履くだけでなく、その双方におけるマルチな活躍ぶりには驚かされるばかり。こういう人はもう出ないだろうな…また、本書に登場する人達に今は鬼籍に入った人が少なからずいるというのも、時代の流れを感じさせる。時代の流れといえば、いつのまにか、女子中高生からこれといったブームが起こらなくなったことに気付かされた。
読了日:09月25日 著者:筒井 康隆
https://bookmeter.com/books/479359

■超国家主義 (単行本)
現状に憤り、より良き世の中を目指して行動を起こし、時にはテロをも辞さない。しかし、その思いは儚く潰え、体制に飲み込まれていく…かつては、保守とか右翼と名のつくものにはアレルギー的な拒否反応を覚えたものだが、ここで取り上げられている活動家の経歴を見ると、その純粋な志につい心を打たれてしまう。また、その大半が不遇な境遇にあり、やり場のない鬱屈を抱えていたという事実には、共感を禁じ得ない。それから、かなりの活動家が、神がかり的な体験をしていたという事実に驚かされる。その体験に超越者の意思が働いていたのか?
読了日:09月23日 著者:中島 岳志
https://bookmeter.com/books/12716062

■水死 (100周年書き下ろし)
実際、作品中でも言及されているが、確かに年齢的なものもあるだろうが、大凡新しい読者を獲得することを想定しているとは思えない作品を発表し続けることに意味があるのか?とつい考えてしまう。頻出する、過去の作品のタイトルやその内容…ある程度それに精通していないと理解し辛いと思われるストーリー…今更新規なものを求めるのは酷だが、もう少し何とか…という思いは拭いがたい。それはともかくとして、最早中年の域に達した障害を持つ息子と主人公との関係は何ともいえず痛ましい。そして主人公と母親との複雑な関係性に身につまされる…
読了日:09月22日 著者:大江 健三郎
https://bookmeter.com/books/537551

■保守のヒント
本書が出てから早10年。保守の何たるかが問われることなく、言葉が一人歩きし、右翼と左翼の定義が曖昧なまま、違う意見の持ち主同士が互いにレッテルを貼り合い、一方通行的な罵り合いを続けている昨今だからこそ読まれるべき本だと思う。何より第一次政権の時点で、安倍元首相の言説に強い危機感を抱いているというのは、まさに先見の明があったということだろう。そして、本来なら中庸的なあり方を目指す保守が、ひたすら左翼リベラルや人権擁護的なあり方を蔑み罵倒する立場の代名詞になってしまったのか?という倒錯的事態に頭を抱えた次第。
読了日:09月20日 著者:中島 岳志
https://bookmeter.com/books/595096

■徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
先に読んだ橋本治版と同じく、完訳で出して欲しかったと思うことしきり。恐らく意図的なのだろうけれど、BLエピソードが除かれてているのが、個人的に特に残念に思う。とにかく、俗にならない程度にくだけた平易な訳文が原文への理解を高めてくれるのが良い。おかげでこれまで以上に兼好法師に対する親しみが持てたような気がする。それから、傲慢への戒め、政治の本質、男女関係のままならなさなど、今日にも通じる兼好の鋭い視点と分析には、今更ながらに驚かされる。下手に退屈な文法教育で古文嫌いになるより、こういう本を読むべきでは?
読了日:09月18日 著者:
https://bookmeter.com/books/541694

■小説のゆくえ
断筆時期を含んだ二千年前後のエッセイを収録したもので、あれからもう二十年以上の月日が経ったと思うと愕然とする。とりわけ感慨深いのは、ネット黎明期のエピソードで、またパソコン通信と表記しているのに隔世の感がある。そして幾つかの追悼文…とりわけ星新一へのそれは、僕自身がかつてファンだったこともあり、つい遠い目になってしまう。その星の没年をとうに超えた今も筒井氏が存命であるのは、僥倖と言えるか。そういえば、星、小松、筒井を超える影響力をもつ日本SF作家が未だに登場していないと思うと、その存在が一層貴重に映る。
読了日:09月17日 著者:筒井 康隆
https://bookmeter.com/books/418954

■モンテーニュ 人生を旅するための7章 (岩波新書)
これまでその存在を知りながらも、何となくスルーしてきたモンテーニュ。だが、図書館でふと目に止まった本書を手に取ることで、俄然『エッセー』が読みたくなってきた。また、引用されている『エッセー』の文章を読んでいて、文体は平明だけれど、よく噛み砕いて読まないと理解しづらいこの感じ、何かに似てるな…と思いあぐねていたら、『徒然草』に似てると思い当たる。両者が合わせて論じられることに納得した次第。また、モンテーニュとラブレーの生きた時代が被っているということで、後者に言及しているのが、個人的に興味深く読めた。
読了日:09月15日 著者:宮下 志朗
https://bookmeter.com/books/14032730

■ブラック・デモクラシー 民主主義の罠 (犀の教室)
サブタイトルにもあるように、民主主義、ひいては多数決に潜む罠について鋭く切り込んだ一冊。その内容のスリリングさに引き込まれて思わず一気読み。俎上に挙げられているのは、主に維新及び橋下徹なのだけれど、本書を読んでいると、それらと安倍政権が非常に密接に絡んでいることが深く理解できる。また、幾多の識者が維新や安倍政権の危険性について説いても、それが支持者になかなか理解されないことも。そして何より、橋下徹が、いかに危険かつ狡猾で、本来ならば民主主義の敵とされるべき人間であるかも。今だからこそ読まれるべき一冊。
読了日:09月14日 著者:藤井聡,適菜収,中野剛志,薬師院仁志,湯浅誠
https://bookmeter.com/books/9919994

■人間を信じる (岩波現代文庫)
左翼リベラル的な言説が一方的に嫌われる傾向にある昨今にあって、本書はどのように読まれるのだろう…と思わされた。また、かつては戦争が絶対悪であり、平和憲法は絶対善的な風潮が根強かった時代があったということに、何とも言えない感慨を覚える。改憲が声高に語られるというのは、まさに戦争を知らない世代が多勢を占めるようになったということだろう。また、『世界』というかなりレベルの高い雑誌が、少なからず世論に影響を与えていたという事実も覚醒の感を覚える。そして左右の立場を超えて意見を交わすという空気が非常貴重に思えた。
読了日:09月14日 著者:吉野 源三郎
https://bookmeter.com/books/3166462

■新・18歳の読書論 ―図書館長からのメッセージ―
シリーズ5冊目にもなると、さすがに些か食傷気味(笑)。端正で控えめな語り口に好感を抱きつつも、今一つ書き手としてのオーラを感じさせないところにちょっと不満を感じたり…著者の体験や思い出を織り交ぜたら、もっと魅力あるものになったのではないか?とふと思ったりもした。それでも、多彩なジャンルの本を取り上げているのは、さすがだと思ったし、興味を覚える本に出会えたのは貴重。それと同時に、インプットばかりでアウトプットが少ないという自分の読書のあり方を改めて反省させられた。漱石の『こころ』を再読したくなったのが収穫。
読了日:09月11日 著者:和田 渡
https://bookmeter.com/books/10357568

■宗教の現在地 資本主義、暴力、生命、国家 (角川新書)
人を殺したり、憎んだり、戦争をすることを、条件付きで
是とすることはあっても、はなからそれらの行為を奨励するような宗教は基本的に存在しないはず。しかし、実際には宗教の名の下に数限りない殺戮、民族間、国家間の憎悪と戦争が生み出されてきた。その事実が今更ながらだが、あまりに重たい。そして、その問題を解くためには、人間同士話せば分かるというような楽観主義では歯が立たず、各々の宗教が持つ歴史的背景とロジックを把握し、そして自分側の立ち位置や語り口を吟味しないといけないと痛感。混迷の時代を読み解く鍵がここに。
読了日:09月09日 著者:池上 彰,佐藤 優
https://bookmeter.com/books/15713735

■沈黙する知性
日本は「あるべき世界」ではなく「そっちに行っちゃいけない方」に行ってしまった…コロナ禍で経済は停滞し、五輪開始も危うくなり、政治はガタガタ、将来への希望的観測を促す要素は皆無という状況を目の当たりにすると、その指摘が非常にリアルに響いてくる。あれ程バブルに狂奔しなければ、原発事故対策をもう少し怠っていなければ…過去を悔いてもしょうがないが、過去を反省し、検討し、将来への糧とするという努力をしなければ、同じ過ちを繰り返す。日本人…もとい人間は性懲りのない生き物かもしれない。しかし、学習を怠ってはいけない。
読了日:09月08日 著者:内田 樹,平川 克美
https://bookmeter.com/books/14648557

■街場の平成論 (犀の教室)
令和も2年目を迎えた今、本書を紐解くと、その中で危惧されている以上に、現在の日本が醜悪な状態に陥っていることに暗澹とした気持ちになる。何しろこの時点で、コロナ禍など、誰も予想できない未曾有の事態だった。本書でも度々述べられているように未来の予測は恐ろしいほど難しいことを痛感。また、こうやって平成を振り返ると、とりわけ顕著なのがネット、スマホの普及と、それに伴う社会やコミュニケーションの多大な変化。実際、この文章もネットがないと書けない。多様な意見交換の場の普及が、結局、知的劣化を齎したという事実が重い。
読了日:09月07日 著者:内田樹,小田嶋隆,釈徹宗,白井聡,仲野徹,平川克美,平田オリザ,ブレイディみかこ,鷲田清一
https://bookmeter.com/books/13612526

■つげ義春日記 (講談社文芸文庫)
これだけ厭世的で、自殺願望を口にしながら、その後40年以上も生き続けているというのは、一体何なのだろう?強く思わされた。また、貧乏生活が長いというイメージが強いが、時期によっては、驚く程の貯蓄があったり、何だかんだと、旧作の新装版が出て、収入が入ったりと、妙なところで強運だったりするのが、つげらしいといえばつげらしい。また、あまり働かない亭主に対する奥さんも、結構我が強く、身勝手だったりするのも印象的。メンタルが弱いのを露骨に批判されるのは理不尽。個人的に、島尾敏雄との交流に触れているのが、嬉しかった。
読了日:09月07日 著者:つげ義春
https://bookmeter.com/books/15948495

■西田幾多郎講演集 (岩波文庫 青 124-9)
講演集ということで、多少平易な内容かと思ったが、他の著作とあまり変わらなかった(笑)。これを生で聞かされた人達は、どれだけ理解できたのだろう?と少し不思議な気持になる。内容的にも他の著作と被るところがかなりあり、「そういえば、こんなこと言ってたよな」という気にさせられた。著者自身が仏教に深く通じていたためか、文体もどこかお経を思わせる。なので、それこそお経のように何度も読み返せば、自ずと理解できるのではという気がしてくる。個人的には最後に収録されたものが、とりわけ興味深く読めたか。田辺との関係性も面白い。
読了日:09月04日 著者:
https://bookmeter.com/books/15937164

■花にもの思う春 (平凡社ライブラリー)
何となし気になり、再読。初読の時は、テキストの構成さえも考慮せずに闇雲に読み進めていたことに気づく。反省…また、同時に初読の時以上に和歌の美しさや魅力が染み込んできたような気がする。これも年齢のなせる技か?そして、学術的立場から自由に、そしてなおかつ恐らく学者顔負けの知識を駆使して、和歌やその歴史的背景について、豊富な想像力を交えながら、縦横無尽に語る著者の言葉の豊穣さに改めて驚愕。それから、取り上げられた新古今の読み手それぞれが背負った歴史的背景や人生の重みや切なさが、何とも言えず身にしみてくる…
読了日:09月03日 著者:白洲 正子
https://bookmeter.com/books/375549

■19歳の読書論―図書館長からのメッセージ―
これまで読んできたこのシリーズ本の中で、最も既読の本が少なかった(笑)。個人的には、普段あまり取りざたにされることがない壇密の知性と細やかな言葉づかいが、ちょっとした発見。それにしても、こういう人の著作にまでフォローする著者の目配りにも驚愕。また、これまでになく、様々な地域の文学を取り上げているのも特徴的。海外文学といえば、英米仏独露中心になってしまいがちな者としては、ここまで多彩な国の文学を紹介されても当惑してしまうというのが正直なところ(笑)。ただ、それぞれの国が抱えた重みを垣間見られたのは収穫。
読了日:09月01日 著者:和田 渡
https://bookmeter.com/books/12652374

■続・18歳の読書論―図書館長からのメッセージ
取り上げられている書籍の幅の広さに改めて驚愕。個人的には、基本あまり興味がないアスリートの著作が取り上げられているのに虚をつかれた思いが。ただ、極限的な世界に対峙しているだけあって、その言葉は重い。それからこのシリーズは主要な欧米諸国以外の作品の紹介にも力を入れているのが特徴的で、本書でもベトナムやタイの作品が取り上げられている。しかし、ここまでなかなかフォローできないというのが正直なところだが。また、『風姿花伝』など能についての著作を紹介する章で、改めて能への興味を抱いたが、こちらもハードルが高いか…
読了日:09月01日 著者:和田 渡
https://bookmeter.com/books/8257432


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