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2020年09月11日06:36

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巨匠はいまも

今日9月11日はというと2001年二十一世紀はじまりの年に起きたアメリカ同時多発テロ事件の勃発した日である。

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僕がまだ再婚前で隣町のボロアパートに住んでいた会社員時代の時のことだ。旅客機が高層ビルにぶち当たっていく生中継の映像を観ていた際にはこれは特撮によるアメリカンジョークではないかと思いにわかには現実として受け容れることができないでいたものであったし、そういう方も多かったと思う。

この翌年だ。米大統領のブッシュの息子の方だかのバカが北朝鮮イランイラクを名指しで「悪の枢軸」発言をして世界中に物議を醸した。
あの時思った。おいおいおい、「悪の枢軸」はお前のいるアメリカそのものなんじゃねえのか?と。だいたいがいつだって自国がいちばんじゃないと気が済まないわがまま体質だし過去には原爆ふたつ落として枯葉剤をバラまいて湾岸を火の海にしておきながら悪いのはお前ら俺らは悪くないとしておりほんと、どうかしている。

そしてテロで犠牲になった皆さんのご冥福を祈りつつも思った。ああこうしてアメリカはこれまでのツケを払わされたのであるなあ、と。いまのトランプを見てもその思いに変わりはない。正義はわがものではないのであると言いたいよ僕は(-_-;)。そんな9月11日は姪っ子ミカの14回目の誕生日だ。ミカちゃん、おめでとう♡。

久々に観たNHK「歴史秘話ヒストリア」のテーマは「小津安二郎 日常というドラマ」とありたいへん面白かった。
僕小津作品は「東京物語」と「東京暮色」と「秋刀魚の味」しか観たことなくあるが、「東京物語」についてはシネマで観たかったので早稲田の小館にまで出向きオールナイトで観たものだった。それだけ愛着のある作品である。

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その小津監督の生涯を今回知ることができて有意義だった。幼き頃から活動写真の大ファンとなり映像の世界にのめりこみ、若い頃はアメリカハリウッド作品に傾倒したため、処女作初メガホン作品がスキーを扱ったアクションものというのにはちょっと驚いた。

しかしなんといっても大きな影響はやはり戦争だった。戦地で大陸に出兵して従軍して地獄を見たとあった。銃撃戦ですぐ隣にいた戦友が頭を撃ちぬかれて即死していたとあり、小津さんそこに「戦争の非日常性」を痛感するに至ったとあった。

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そうして小津作品の立ち位置は決まった。「日常」を撮りたい。そして日常の最たるものは「家族」である。だから小津作品は一貫して家族を描いているとあり、胸熱くさせられた。

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あのローアングル。あれを撮るのに小津監督は専用のカメラスタンドを造らせていたとありその執念にも驚いた。

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監督の好きな赤色で塗られたスタンドは「かに」の愛称を得たとあった。
そしてこのローポジションによるアングルだ。

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ほんと、人物が際立つからすごい。監督最後の作品である「秋刀魚の味」のあのヒロインが岩下志麻さんであったことを遅まきながら知った。

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いまもきれいな志麻さんだけど、若い頃のこの女の色香には他の女性にない格別感があるのは小津さんの魔法によるのであろうか。
その志麻さんが小津監督との思い出を語っておりそれ聞いてまたも驚いた。

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作中のこのシーンはヒロインが失恋して帰宅して卓上で巻き尺を繰りながら悲嘆に暮れるシーンである。監督このシーンを撮るにあたり、志麻さんに出したNGの回数がなんと100回というから驚く。志麻さんどこがどう違うのか判らぬまま100回演じたのであった。そして監督との対話の回想がこちら。

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「悲しいときに人間は悲しい顔をするもんじゃないよ」。
「人間の感情というのはもっと複雑。そんな単純なものじゃないんだよ」。

それを引き出すための100回のNG。これはこだわりとか執念などという簡単なことばでは語りつくせない、とてもたいせつなものを小津監督は僕らに伝えようとしている気がしたものだった。そしてこの監督の言葉を胸に岩下志麻さんは女優の原点として大切にしてきて今に至るとあった。感動した。

NG100回で思い出す逸話を知っている。「東京物語」でのことだ。母親の急死により実家に駆けつける次男の役を演じたのはあの「大岡越前」の三太夫役で有名な大坂志郎さんだった。その次男が実家に戻る際のシーンを小津監督はやはりものすごい数のNGを出して大坂さんを困らせたとあった。大坂さんしまいにはどうしていいかわからず、狼狽して涙目になりあやうく泣きそうになったとあった。

そしてそれこそが小津監督の狙いであった。愛する母の急死をにわかに受け入れられずに狼狽しておろおろする息子の心情を監督は幾十回ものNGで引き出したのであった。大坂さんは後年そのことに気づき、小津監督をその後も敬愛し続けたとあった。すごい逸話である。

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過日小津監督の代表作「東京物語」は世界の巨匠監督たちによる投票で第一位にあがったとあった。なんかまた観たくなっちゃったよ、「東京物語」。
小津監督。1963年没の享年60歳。もう60年近くも前にお亡くなりなのにまだ「小津」は生きている。すごいことです。

昨日は栗ご飯を炊いた。

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たいへんラッキーなことに買った栗31粒に対し、いたんでいたのがたったひとつだけであった。たしか去年買ったやつは6個くらいいたんでいたので食い分がずいぶん減ったものだった。近々いいことがあるかもしれません(*´ω`*)。あ、これがいいことか(-_-)。
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