mixiユーザー(id:36329446)

2020年09月01日17:58

36 view

北の大地に渡るには

生まれて初めて北海道に渡ったのは18歳の夏。
仲間三人と乗ったのは、確か「急行八甲田」だった。
夜遅くに上野駅を発車し、翌日の昼近い時間までゴトゴト揺られること11時間。
昔ながらの固い座席は、もちろんリクライニングもなく、旅慣れない小生、夜通し眠ることもままならず、ひたすら苦痛のうちに一夜を明かしたもの。
青森到着後、ホームを駆けるように青函連絡船に飛び乗り、4時間の渡航の末、今度は函館で待つ札幌行き鈍行に乗ってまた6時間。

若いときの体力は今では考えられないほどで、つくづく当時の自分が超人に思えてしまう。

しかし、さすがに懲りた。
貧乏学生の身には過ぎたる贅沢ではあったが、次回からは「特急あけぼの」という寝台特急を常用した。

寝台車というものに乗ったのはその時が初めてだったが、実に快適なものであった。
あの音と振動がたまらなく良い。
安眠の邪魔になるどころか、枕木を踏みながら刻むリズムが一定なので、それがまどろみかける脳波に呼応するのか、なんとも心地よく眠りに落ちた。

学生時代には、スキーを含めて都合4度も北海道の大地を踏んだが、飛行機でひとっ飛びなどとは思いもよらず、初回以外は全てこの「寝台特急あけぼの」に世話になった。
遥か遠い異郷の地に降り立つ気分を満喫するためには、それなりの時間をかけて其処に至ること。
これが小生の属した旅のサークルのテーゼであった(かな?)

かくて世はスピードばかりが重宝される時代へと。
津軽海峡を越えるのに4時間もかけていられるかとばかりに青函連絡船が廃止され、名だたる寝台特急も次々と姿を消した。
侘しいものだ。

http://www.uraken.net/railstation/ressha/ltdexp_akebono.html

3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する