２０２０年０８月２８日の毎日新聞

【２０２０年０８月２８日の毎日新聞】

安倍首相、辞任の意向固める

毎日新聞 2020/08/28 14:19

安倍首相が辞任の意向
体調悪化、職務継続困難

首相官邸に入る安倍晋三首相＝東京都千代田区で2020年8月28日午前9時58分

安倍晋三首相は2020年08月28日、
辞任する意向を固めた。
政府・与党関係者が明らかにした。
新型コロナウイルス対策などによる
疲労の蓄積が側近から指摘される中、
首相は2020年08月17日に続いて
2020年08月24日も
東京・信濃町の慶応大病院を訪れ、
体調不安が指摘されていた。
2020年08月28日午後5時から、
首相官邸で
約2カ月半ぶりの記者会見に臨む予定。

首相は潰瘍性大腸炎の持病があり、
第1次政権時は
2007年7月の参院選で大敗後に体調が悪化し、
約1年で退陣した経緯がある。
今回も2021年9月末まで
自民党総裁3期目の任期が残る中、
2度にわたって任期途中での辞任となる。

2012年12月に第2次安倍政権が発足してからの
連続在任日数が24日で2799日となり、
佐藤栄作元首相を抜いて歴代1位となったばかりだった。
第1次政権と合わせた通算在任日数は、
2019年11月に
戦前の桂太郎元首相（2886日）を超えて
最長記録を更新している。
今年に入ってからは
新型コロナに対する政権の対応が迷走し、
内閣支持率が低迷していた。

首相は2020年08月17日、24日両日に
2週続けて慶応大病院を訪れ、
計11時間余り滞在。
2020年08月19日には
「体調管理に万全を期すために検査を受けた」、
2020年08月24日には
「先週の検査の結果を詳しく聞き、
追加的な検査を行った」
と自ら記者団に説明していた。
しかし、
政府・与党内では
持病の潰瘍性大腸炎の治療で
通院しているのではとの見方が広がり、
体調を不安視する声が上がっていた。

新型コロナの感染拡大に伴い、
首相は2020年1月26日から6月20日まで
147日間連続で出勤。
その後も土日に出勤するケースがあり、
首相周辺は
「明らかに疲れている」などとして、
疲労の蓄積を危惧していた。
2012年末の第2次内閣発足以降、
「政権の骨格」として
首相を支え続けた
菅義偉官房長官や麻生太郎副総理兼財務相、
自民党の甘利明税制調査会長らも
休養を進言したが、
首相は新型コロナ対応で
「陣頭指揮」を執りたいとの思いが強く、
応じなかったという。

首相が辞任すれば、
今後の焦点は
「ポスト安倍」に移る。
自民党は近く総裁選を行って
次期総裁を選出する。
総裁選には、
自民党の岸田文雄政調会長や
石破茂元幹事長が意欲を示しているほか、
党内には
菅氏や河野太郎防衛相らを推す声もある。

首相は晋太郎元外相の次男で、
祖父は岸信介元首相。
晋太郎氏の死去に伴い、
1993年衆院選で旧山口1区から立候補して初当選し、
当選9回。
2003年には小泉政権下で党幹事長に抜てきされ、
2005年に官房長官に就任。
2006年9月、
小泉純一郎元首相の後を受け、
52歳で首相に就任したが、
翌2007年の参院選で大敗後に
体調不良で辞任した。

自民党が野党に転落していた
2012年9月に党総裁に返り咲き、
2012年12月の衆院選で
過半数を得て政権に復帰。
2015年には無投票で総裁に再選した。
2016年には総裁任期が
「連続2期6年」から
「連続3期9年」に延長され、
2018年総裁選で
石破氏を破って
3選を果たしていた。