mixiユーザー(id:31691303)

2020年08月07日18:53

44 view

87 詩・短編を書いてみた(第1919回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b


89「アナタは禎子さん?」
▼▼▼▼▼▼▼▼▼
【あらすじ】
今ネットを騒がせているモノがある。
それは「禎子さん」というタイトルの付いた
綺麗な女性が水辺で遊ぶ映像だ。

何故そんな映像がネットを騒がしているかというと…
「見たら死んでしまう」からである。

真実かどうかは分からない。
ただ好奇心半分で見た人は
連絡が取れなくなるらしく
そのことから騒がれるようになったらしい。

その噂を聞いた僕は自前のパソコンの前に座り
その映像の再生ボタンを押そうとしていた………。

▼▼▼▼▼▼▼▼▼

僕は常々「死にたい」と思っていた。

僕は逃げなかった。

それを見た禎子さんは立ち上がり
僕のところまで近づくと
禎子さんは首に手が掛けて
ゆっくりと気道と血管を締めていく。

意識が遠退く
視界にモザイクがかかっていく。
そして
フラッシュが焚かれたように意識が飛んだ。

ふわりと浮く感覚。

これが幽体離脱か…。

そう思いながら空中に浮いて
そこから禎子さんを見ると
彼女は僕が死んだと思い
手を離して僕から距離を取る。

死ねるんだ…。

そう安堵した時
支えを失った私の身体は後ろに倒れて
そこにあった棚に当たった。
その衝撃で
棚の上に置いていた写真たてが落ち
その角が私の脳天に当たった。

その瞬間
幽体離脱した僕の魂が
身体に引き戻されて意識を覚ました。
咳をする僕。
その咳に禎子さんが振り向いた。
顔は見えないけど多分
凄く驚いていると思う。

禎子さんはまた近づいてきて僕の首を締める。
さっきよりも強く。
僕を持ち上げて立たせるほど。

しかし
今度は僕の身体が前に倒れ込み
禎子さんの身体に覆い被さってしまう。
禎子さんは慌てて
僕を叩き
それでまた起きてしまった。

禎子さんは慌てていた。
それは当然だろう。
何度殺そうとしても生き返るのだから。

また禎子さんは僕の首を絞めようと手を伸ばす。

だけど僕は「もういい!」と言って
禎子さんの手を払った。
禎子さんはその行動に驚き硬直する。

「何でスッと殺してくれないんだよ!。殺してくれるんだろうが!!」

怒られたことがないのか。
禎子さんはガックリと頭と肩を落とす。

「何か言えよ!」

でも禎子さんは何も言わない。

「話せないのか?」
禎子さんは頷く。

「筆談は出来るか?」

禎子さんは頷く。

僕は近くにあったメモ用紙を探し
鉛筆と一緒に渡した。

「で、何で殺せないんだ?」
「『分かりません』」
「何でだよ。今まで何人も殺してきたんだろ?」
「『私にもこんなことは初めてで…』」
顔は見えなかったが
禎子さんは動揺しているようだ。

「分かった。話はまた今度にするから、今日はここにいろ」

僕は立ち上がる。

「『どこに…?』」
「買い物」

僕は外に出た。

1時間後。
家へ戻ると
禎子さんが真っ暗の中で立っていた。
その不気味さに思わず声をあげてしまう。
「もうちょっと分かりやすいところにいろよ…!」

禎子さんは頭を下げる。

「で、僕を殺す方法はわかった?」

禎子さんは首を横に振る。

「何だよ…。じゃあ、僕を殺せるまでここにいろ。いいな」
「『そんな…』」

こうして禎子さんが僕を殺す生活が始まった。

しかし
それからというもの…。
彼女はあれやこれやと僕を殺そうとしたけれど
どれも失敗。
そのうちに彼女は僕を殺すことを止めて
次第に
僕と普通に生活するようになっていった。
基本的に
彼女は幽霊なので
ご飯を食べないし
寝ることもない。

つまり
家計的に負担は無く
防犯にもなってくれる上に
話し相手にもなってくれる。

そのおかげか
最初にあった違和感が
少しずつ和らいでいき
僕はその生活を受け入れていった…。


そんなある日の夜。
僕は禎子さんにふと気になったことを聞いてみた。

「禎子さんには、未練はあるの?」

禎子さんはビクッと反応し
少し動かなくなって
うつ向いてしまった。

聞いてはいけない事だったのかな…?。

禎子さんは動かない。

「あ…。ゴメンね。変なこと聞いて…」

禎子さんは首を横に振る。
僕は話題を変えて
何事もなかったように会話を続けた……。

それから数ヶ月後の夜。
僕が寝る準備をしていると
禎子さんが今までよりも透けている事に気づいた。

どうしたのだろう…?

僕は尋ねようと思ったが
彼女が落ち込んでいるように見えたから聞くのを止めた。

翌朝。
目を開けると
禎子さんはいなくなっていた。

いつもなら真横に立っているのに…。

仕事をリストラされ
再就職も上手くいかず
支援施設に通ってもバカにされるばかりで
気持ちが完全に滅入っていたからだ。

このような状態の自分が
この世に見切りをつけようとしといる事は
何も間違っていないだろう。

ただ
僕は死ぬために首吊りしたり
海に身を投げたりをして命を絶とうとしたが
不思議なことに
なんやかんやで生きのびてしまう。

どうすれば死ねる?

自然と
そんなことを考えていた時に知ったのが
その「禎子さん」という映像だった。

僕は真っ暗の部屋の中で
床に置いたパソコンを開き
その映像の再生画面を開く。

これを押せば死ねる。

その可能性が
僕の勇気となり再生ボタンを押させた。

映像は設定してないのにフル画面になり
海辺で遊ぶ女性の映画が流れ始める。
しかし
そのシーンの後
急にカットが変わりホラー映画のような森の場面に変わった。

それをよく見ると
その奥から長い髪で顔を隠した女性がゆっくりと画面に向かって歩いてくる。

パソコン画面に到達すると
そこから禎子さんが出てきて
ゆっくりと這いながら近づいてくる。

そう思いながら視線を動かすと
机の上に禎子さんが使っていた
鉛筆とメモ用紙が置いてあった。

何だろう…。

それが気になった僕は紙を捲る。
すると
そこには禎子さんが書いた文章があった。

その紙には僕への感謝と昔の事と
そして
未練のことについて書かれていた

「『私は昔、結婚を前提にした恋人がいました。でも、恋人は私を裏切り、違う女性と一緒になり、そのショックから私は自ら命を絶ちました。それから怨霊となり、様々な人を襲いましたが、アナタと出会い、その数ヶ月は私の記憶を塗り替えるくらい楽しいものでした。アナタがこれを見る頃には私はもういませんが、本当にありがとうございました。』」
それを読み終えた私は手紙を机に置く。

「もっといれば良いのに…」

ふと目に光が触れる。
その光の方向を見ると
厚い雲に覆われた空の隙間から
光が射し込んでいた。
それは
まるで天の羽衣のようで
その中を鳥が羽ばたく姿は
彼女が天へ昇るようで…。

僕は少しだけ希望を見ている気がした………。





5 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する