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2020年08月05日19:13

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7月の読書記録

個人的なことだが、先月から転職。なので最初の数日は新しい職場で何かと気疲れして、とても本が読める状態ではなかったというのが正直なところ。なので、先月は基本的に、数を上げるために、軽めの本を選んで読んでいたという傾向があるのが否めない(苦笑)。後、ナイス200が嬉しい。

2020年7月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5067ページ
ナイス数:200ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■簡単に断れない。
二冊立て続けに土屋本を読むとさすがにお腹一杯になるか…と思ったが、意外と腹八分目程度(苦笑)。本書で気になったのが、リアル著者と助手、及び学生との関係。現実では助手や学生にそれなりに尊敬されたり慕われているからこそ、あれだけ冷淡な発言の数々を書けるのではないか…と。もしあれが現実があのままだと、それを描写するのは、逆にシャレになっていないというか。第一、ベストセラーとまではいかなくても、文庫化されるまでの本をあれだけ書いていて、一目置かれる筈。後、ライブまで行えるという著者のピアノの腕前も気になる。
読了日:07月31日 著者:土屋 賢二
https://bookmeter.com/books/394848

■ツチヤの口車
相変わらずの駄法螺と屁理屈、こじつけ、詭弁の連続で暇つぶしにちょうどいいかな…という感じで読んでいたのだけれど、途中からやはり哲学科教授が書いてあるだけあって、一見下らないだけに見える内容も、ベースにプラトンの会話編が根底にあるのではないか?と思えるようになってきた。いかんせん、それ程プラトンに通じているわけではないから、具体的な指摘はできないけど、深読みすれば哲学的思考やディベートに関する知見がえられるかも?それにしても、毎度のごとく気になるのは、リアル作者と奥さんとの関係。意外に円満だったりして…

読了日:07月31日 著者:土屋 賢二
https://bookmeter.com/books/550410

■星に仄めかされて
今、世に席巻するヘイトや偏狭なナショナリズム、性差別に最も効果的に否と言えるのは、左翼リベラル的な言説より、むしろこういう文学の立場からではないか?ふとそういう気にさせられた。著者の執筆意図は当然そこにはないのだろうけれど、だからこその説得力があるのでは?と著者お得意の言葉遊びや多文化多言語を縦横に駆使した唯一無二の文学世界。ただ、それが技巧的なものに終わらず、豊穣な物語として確立しているのに驚愕。個人的に前編との話の繋がりが掴めるのかが不安だったが、問題なく話に入り込むことに。暗示的なラストが印象的。
読了日:07月27日 著者:多和田 葉子
https://bookmeter.com/books/15685154

■中原中也――沈黙の音楽 (岩波新書)
中也が特別なのかもしれないが、詩人って面倒臭い…というのが第一印象(苦笑)。言葉一つ一つへの拘りはもちろんのこと、改行する際の次の行の位置など、恐らく編集者泣かせと思わせる執着ぶり。また筆者自身も詩人であるため、そのあたりの分析はかなり微細に行き渡っているのが印象的。またワープロで文章を書くのが主流になっている昨今において、肉筆で書くという行為が持つ意味について考えさせられた。とりわけ興味深かったのが、「サーカス」の擬態音のルーツ。てっきり中也のオリジナルだと思っていたのだが…晩年が痛ましいのも印象的。
読了日:07月26日 著者:佐々木 幹郎
https://bookmeter.com/books/12174490

■小さいおうち
想定外の見事な作品。一読してそう思わされた。そしていみじくもオリンピック中止の空気が濃厚になり、閉塞感が増す一方、フェイクニュースに踊らされがちな昨今だからこそ、読み返さなければならないとも。大甥から度々ツッコミをいれられるくらい、戦争の影が忍び寄ってくる状況に無頓着でひたすら躁状態でいようとしているかのような当時の国民の姿はとても他人事とは思えない。また、映画化されるだけあって、その情景が容易に想像できてしまうくらい生き生きとした描写が素晴らしい。恭一ぼっちゃんの晩年の姿に、人生の重みと儚さを感じた。
読了日:07月26日 著者:中島 京子
https://bookmeter.com/books/6447132

■ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
先に読んだ著者の同じく紀行文集である『辺境〜』に比べると、ずっとトーンが明るいのが印象的。でもこのタイトルでは読み手が限定されてしまうのでは?という懸念をふと抱いてしまった。本書を読んで改めて思い知らされたのは、その土地を知るということは生半可なことではないというごく当たり前のこと。それはともかくとして、本書では美味しそうな食べ物にかなり頁が割かれているのが印象的。読んでいると、ビールかワインをお供に食事をしたくなる(笑)。それと海外でもファンから声をかけられるというのにびっくり。そこまで有名なのか…
読了日:07月24日 著者:村上 春樹
https://bookmeter.com/books/9924132

■経済学 上巻 (角川ソフィア文庫)
読み通すのが辛かった…というのが正直なところ。冒頭は初期経済史でわりにサクサク読み進めることができたのだけれど、時代背景が複雑になるにつれて、理解が困難に。恐らく本来なら、経済学の一年生が講義で解説を受けながら読むべきもの。それを門外漢が独学で読むというのは、いささか無理があるかも。できたら、文庫版には一般読者向けの注釈を付けて欲しかったか。それはともかくとして、経済学が社会科学とされる所以を本書で多少は理解できたのが、有益だったか。その一方で、マルクスと古典派経済学との根本的な違いへの理解が不十分。
読了日:07月23日 著者:宇野 弘蔵,大島 清,玉野井 芳郎,大内 力
https://bookmeter.com/books/13745745

■「ひとり」の哲学 (新潮選書)
タイトルから連想されるような哲学論考というより、宗教を巡るエッセイという趣が強い。また、内容は悪くないが、冒頭で謳っているほど一人でいることを擁護するものではないのがちと不満か。主に鎌倉時代の仏教思想家に触れているのだが、それぞれの人生の歩みに何とも言えない味わいがある。そして激動の時代を生きながら、果敢に自らの思想を突き詰めていく姿に息を呑むような力強さ、凄まじさを覚える。とりわけ、法然に対して強い敵対心を示しながらも、親鸞に対しては全くと言っていいほど言及しなかった、日蓮のスタンスが興味深く思えた。
読了日:07月23日 著者:山折 哲雄
https://bookmeter.com/books/11185722

■走ることについて語るときに僕の語ること
僕自身、週2〜3回ジムで走るのを習慣にしているが、フルマラソンがそこまで、極限的な体験をもたらすものだというのは、かなり驚き。日頃自分が行っている走りとは次元が違うということを痛感。そして、極限的な走りを実践するために、いかにナイーブな配慮が必要かということを認識。そこまでして走る理由は何かと問われると、そこに道があるからということになるのか。とりわけ印象的だったのは、やはり百キロマラソンの話か。フルマラソンの2倍以上の距離。その後の展開が意外だったことも含めて、人間の心身のあり方の複雑さに思いをはせる。
読了日:07月21日 著者:村上 春樹
https://bookmeter.com/books/573104

■近代日本の右翼思想 (講談社選書メチエ)
思った以上に興味深い内容。これまで毛嫌いしていた右翼的ものに対する印象が多少なりとも払拭された感が。それと同時に、今ネトウヨと呼ばれている人達が愛国という立場を取っている他は、大凡右翼という名前に値しないゴロツキでしかないということを改めて痛感。以前読んだ佐藤優との共著でも、戦前日本社会のタコ壷的なあり方が指摘されていたが、本書でもやや違った視点でそのことについて触れているのが印象的。そして、右翼思想にとって最大の拠り所でありながら、そこを突き詰めていくと矛盾が生じてしまう天皇の厄介さについても再認識。
読了日:07月18日 著者:片山 杜秀
https://bookmeter.com/books/370457

■せいめいのはなし (新潮文庫)
主に動的平衡という言葉をキーワードにして、生命について語られた対談集。やや専門的で理解しづらい箇所もあったが、概ね興味深く読めたか。とりわけ虚をつかれた思いがしたのは、果たして生物学は理数系学問であるか?ということ。確かに理系ではあるが、そこに数学的要素はあまりない気がする。そうなるとそもそも理数系という括り方そのものに問題が生じるのではないか…と。また、科学の領域では、それまで常識であるとされていたことが簡単に覆るという事実を改めて認識。また、癌細胞とES細胞との類似性の話がとりわけ興味深かった。
読了日:07月15日 著者:福岡 伸一
https://bookmeter.com/books/8343114

■絵本 徒然草〈下〉
一読して、どうして抄訳ではなく、完訳版が出なかったのか…ということが惜しまれてならない。もし出ていたら、受験生のバイブルになったのと同時に、貴重な文化的財産になっていたに違いない。また、上下巻を読了して思ったのは、受験生時代、注釈本を読んだり、教科書に掲載されたものを古語辞典を引きながら読んでも、今一つ理解できなかったのは、当然のことだったということ。つまり、その歴史的背景とか文化的状況が把握できていないと理解しづらい記述が少なからずあるということ。そのことが理解できただけでも、本書を読む意義があった。
読了日:07月15日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/34057

■絵本 徒然草〈上〉
受験生時代にこの本に出会えてたら…と思うことしきり。当時、徒然草に慣れ親しもうと、受験生向けの注釈本を購入したものの、今一つ馴染むことができず。でも、本書を紐解くことによって、その距離感がグッと縮まったにちがいない。ただ、「へたな人生論よりは…」という本がでているが、一読しただけで、生きていく上で示唆的と思える記述はそれ程多くはなかったと思うけど(笑)。それと、ボーイズラブ的なエピソードなど、教科書に載せられない話が新鮮。また、時代は変わっても、人間の本質はそれ程変わらないのかも…という気にさせられた。
読了日:07月14日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/966035

■認知症の取扱説明書 (SB新書)
概ね興味深く読めたものの、前書と被っている箇所が少なからずあり、また介護の常識とされるような情報も散見されたため、今一つ新味に欠けるというのが、正直なところ。また、いささか首を傾げざるをえない記述もあった。後、気になったのが、日本語としてどうか?と思われる言い回しがかなり見受けられたこと。それと眼科医という立場から書かれたということで、認知症そのものにへの専門的知識について多少手薄になるのは仕方ないにしても、認知症としてとりあげられるのがアルツハイマーとレビー小体というのが、あまりにバランスが悪いと思う。
読了日:07月12日 著者:平松 類
https://bookmeter.com/books/12743818

■文章読本-新装版 (中公文庫 (み9-15))
本書が書かれた当時のように、美文だとか、文章を味わうということが言われなくなったのでは?ということを痛感。また、良い文章とはどういうものか?ということも問われなくなった。ネットを通じて、誰もが文章を書き綴ることができ、小説のあり方も多種多様になり、純文学がかつて程の権威を保てなくなったということか。それでも、古の名文をとりあげ、解説し、良い文章とは何か?ということを読者に問いかけるのは、大切なことではあるのだろう。個人的に鴎外が頻回にとりあげられている反面、漱石に全く触れられていないのが、気になった。
読了日:07月11日 著者:三島 由紀夫
https://bookmeter.com/books/15392997

■現代に生きるファシズム (小学館新書)
一読して、結局ファシズムって何なの?という思いを抱いたが、巻末の補遺で定義困難とあって納得。それはともかくとして、日本の特異性を今更ながらに痛感。本書で度々繰り返される戦前日本のタコ壷的あり方。客観的に見れば、非効率的なのだが、それでもそれなりに国がまとまっていたというのが不思議。それは陸海軍が一枚岩になっていなかった戦時中にも通じるものがある。そうしたまとまりの悪い体制を束ねる役割りを果たしたのが天皇制であるが、これも何かと危うい存在。日本という国がいかに微妙なバランスでなり立ってきたかがよく分かる。
読了日:07月09日 著者:佐藤 優,片山 杜秀
https://bookmeter.com/books/13596201

■丸の内魔法少女ミラクリーナ
二百頁強の短編集で一気に読めるのだけれど、内容はかなり濃厚で、読後はかなりお腹一杯。高カロリーのジャンクフードを食べた感じか?(笑)ここまでどの作品も甲乙つけがたい短編集というのは意外と稀かも。表題作には何度か思わず声をあげて笑ってしまった。モラハラ男正志の豹変ぶりと頓珍漢さの描写が絶妙。こういう人物描写はまさに作者の真骨頂。「秘密〜」は、主人公の初恋の男性が意外と下衆なのに一抹の違和感を覚えていたが、結末近くでまさかの展開。これに溜飲が下がった読者は少なくないはず。ただ、短編もいいけど長編が読みたい…
読了日:07月08日 著者:村田 沙耶香
https://bookmeter.com/books/15107319

■須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫)
張り合っても意味がないのは重々承知していながらも、著者のエッセイを読むたびに「この人には敵わない」という思いにかられる。その類稀なる知性、豊穣な文学的素養と語学力、瑞々しい感性…ありきたりな形容に我ながら嫌気がさすけれど、他に形容しようがないのだからしょうがないというか。特に秀逸なのがその人物描写。見た目から、性格まで、微に入り細に入った描写でありながら、決してくどくはならない。そして、まるでそれが目の前にいる人物であるかのように生き生きと描かれる。また、さりげない言い回しに才気あふれるのにも驚愕。
読了日:07月06日 著者:須賀 敦子
https://bookmeter.com/books/558637


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