mixiユーザー(id:31691303)

2020年06月21日21:50

148 view

84-3-2終 詩・短編を書いてみた(第1916回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b

【養子の魔王さま】
84-3-2「初めての城の外」

■■■■■■■■■

あの演説から数日後。
僕はあの怒濤の数日間が嘘だったかのような
平穏な日々を過ごしていた。

そんなある日。
自分の部屋で時間を潰してていると、
誰かが部屋のドアをノックした。

「どうぞ〜」

入ってきたのはミユさんだった。
その手にはいくつかの書類を持っている。

「王子。おはようございます」
「おはようございます。…どうしたのですか?。沢山の紙を抱えて…」
「王子に書類に目を通して頂きたく…」

書類を受け取り
その中身を見ると…。
それには「学校」と書かれていた。


「学校、ですか…?」
「はい。王子は、あちらの世界では中学生を卒業されたばかりなので、こちらの学校に通って頂く事になります」

学校…。

正直、僕は驚いた。
魔界にそんなモノがあると思わなかったから。

「ちなみに、いつからですか?」
「現在、魔王様がこの魔界に設立させようとシステムを構築中ですので、それが出来上がり次第となります」
「そうですか…」

僕は少しガッカリしたが
「この魔界はまだ知らない何かがある」と思った僕はミユさんにこんな頼み事をしてみた。

「ユミさん。僕、街に出てみたいのですけど」
「街に、ですか…? そうですね…」

ユミさんはしばらく考えた後、
「しばらくお待ちください」と言ってユミさんは部屋から出ていった。
そして
少し時間が経ち
ユミさんが部屋に帰ってくると、
彼女の後ろにミカエルさんがいた。

どうやらユミさんはミカエルさんに相談し
部屋まで着いて来てもらったという。

「では、ミカエル様。後はよろしくお願い致します」
「うん」

ユミさんは
ミカエルさんを残して部屋を出ていった。

出ていった後、
ミカエルさんは僕に真剣な表情を向ける。

「王子、城の外へ出たいというのは本当でしょうか?」

僕は少しビビりながら頷く。

ミカエルさんは「そうですか…」と呟き、
何かを考え始めた。

短くも長く感じた数分間。
ミカエルさんは条件付きで外出を許可してくれた。
その条件は
いかなる時もミカエルさんの指示に従うこと。

僕はその条件を飲み込んだ。

それから数日後。
待ち合わせ場所の裏口の城門まで
案内してくれるミユさんと一緒に向かうと
すでにミカエルさんが待っていた。

「では王子。私はこれで…」

僕はミユさんに「ありがとう」と伝えて
ミカエルさんへ駆け寄る。

「ミカエルさん、お待たせしました」
「私も先程来たところですので。」
「では、早速ですが、王子。ちょっとよろしいですか?」

ミカエルさんは僕に
星の形のアクセサリーが付いた首飾りを
首に掛けてくれた。

「ミカエルさん。これは?」
「これは、お守りです」
「お守り?」
「はい。いつ何時、どのようなことが起こるか分かりません。王子の事を良く思っていない人たちも、この魔界にはいますから。その為のモノです」
「そうなんですね…」

もしもの事…。

その言葉を聞いて
少し緊張が走る。

確かに
あらためて考えれば…。
自分は「王子」となっているけど。
全く違う世界から来た上に養子。
魔界の人がどこまで知っているか分からないけど
不満に思う人はそれなりにいるだろう…。
その人達から守る大変さを
僕は自分のワガママで
ミカエルさんに押し付けてしまった事は
反省しないといけない。

僕はミカエルさんに謝った。

「ミカエルさん。ワガママを言ってしまいゴメンなさい」

「何を仰いますか。これは王子の経験として必要なことです。いつかは魔界を統べるお方になられるわけですから」

そうか…。
いつか僕は魔界を束ねる事になるかもしれないんだ…。

僕は気持ちを引き締めた。

「それでは王子。準備は宜しいですか?」

僕は頷く。

『では…』

そう言ってミカエルさんは裏口を開けた。
すると
目の前には庭が広がり
陽気な風が城内に吹き込んだ。

その風は
魔界にも春がやって来ることを知らせているようで
自然が命を輝かせ
その頑張りを褒めるかのように
風が草木を揺らす。

その光景は
僕が住んでいた世界と同じように見えて
親近感が湧いた。

「さ、王子。行きますよ」
「は、はい!」

僕は外へ足を踏み出した………。

―――
続き↓

僕は城外の庭や庭園や裏道を通り
城下町へ向かう。
そして
城下町に出る直前
僕はミカエルさんから
顔を隠すフードのようなモノを受け取った。

「これは?」
「変装用のフードです。特に仕掛けはありませんが、このままというわけにはいかないので」
「わ、分かりました」

僕はフードを受け取り頭から被る。

「これで良いですか?」
「はい、大丈夫です。では、行きましょうか」

城下町に出ると
賑やかの言葉が良く似合う城下町は
子供が遊んでいたり
大人達が会話していて
まさに
この街の人達が
街を発展を支えているのだと感じて驚いた。
しかし
それを見てミカエルさんは言う。

「皆、必死に生きながら、この国のために動いてくれています。しかし、王子に知って頂きたいのは、誰もが笑っているわけではないのです。住民の中には貧困に苦しむ方もいるのです」
「貧困…」

それはつまり
昔の僕ような人もいるということ。

『ぜひ、王子にはその事を心に感じていてほしいのです』

僕は静かに頷いた。

それから
僕達は城下町の中心部へ進む。
そこには
先程よりも大勢の人が行き交い
たくさんの物品を取引したりする商店や食べ物を販売する出店などがあった。
とても活気に満ちていて
僕はその一つ一つの興味や疑問を
ミカエルさんに質問したりしながら
ちょっと子供達に睨まれた以外は楽しむ事が出来た。

城下町を一通り見た僕達は
裏道を通って帰ることにした。

しかし
その道中…。
突然
僕の背中に何か当たり
強い衝撃が背中に広がった。

「痛った!!?」

僕は思わず膝をつく。

一体何が起きたのか…?

足元を見ると、
そこには鋭い刃が付いた矢が落ちていた。

ミカエルさんが渡してくれた首飾りのお陰で無事だったようだ。

ミカエルさんが僕に駆け寄る。

「王子! 大丈夫ですか!?」
「い、痛いけど…。大丈夫みたい」
「良かった…」

ミカエルさんは立ち上がり、
声を荒げる。

「出てこい!」

しかし当然だが
出てくるわけがない。
ミカエルさんは意識を集中させて
草むらに小さな魔力弾を放った。

すると
それが草むらから
その魔力弾を避けるように
人が出てきた。

彼らは小学生の高学年くらいの男女4人で。
貧しい格好をしていた。

ミカエルさんは僕を守る為に前へ立つ。

「ほぉ…。賊の類いか何かか…。お前達、何の真似だ?」

ミカエルさんが問いかける。
しかし
彼らは答えようとはしない。

「答えないのであれば…」

再び
魔力を込めるミカエルさん。
それを見て僕は思わず「待って!?」と言って
ミカエルさんの手を掴んでしまった。

「王子!?。何をなさるのですか」
「話をさせて…!」
「賊と話す言葉などありません」
「お願い…!」

僕の真剣なお願いにミカエルさんは
少し黙った後
「分かりました」と言って
手を下ろしてくれた。

「ありがとう」

僕は彼らに近づく。すると
彼らは短いナイフなどの武器を構えた。でも
どの子供達も手が震えている。

「僕は戦いたくないんだ。武器を下ろしてくれないか?」

ミカエルさんの存在があったからだろう。
彼らは躊躇しながら武器を降ろす。

僕は彼らに尋ねた。

「どうして君たちはこんなことを…?」
僕の質問にリーダー格の1人が答える。

「どうして?。こうでもしないと生きていけないからだよ!」

悔しさを全面に出して
そう言った彼は
傷ついた守るように仲間を1人1人見ていた。
その姿はまるで
自分の未来をIFを見ているようだった。

だからなのだろう。
僕は思わず
彼らにこんなことを言ってしまった。

「もし良かったら、魔王城で働かない?」

この僕の提案にミカエルさんは驚いた。
当然だろう。
彼らは王子に刃を向けた存在。
言わば反乱分子だ。
再び
魔王や僕に牙を向ける可能性があるのだから。

でも…。
それでも…。
ここで彼らを見捨てれば
別の場所で同じ事を繰り返し
悲惨な最後を迎えるのだろう。

そうなる事を分かっていて
見捨てる事を
僕には耐えられないのだ。

僕は彼らに尋ねる。

「どうかな?」
「お前はバカか?。俺達はお前らを殺そうとしたんだぞ?」
「でも見捨てたくない」
「……」
「僕が必ず説得してみせるから!!」

僕は力を込めてそう叫んだ。
彼らは黙りお互いを見合う。

そして…

「分かったよ。どっちみち俺たちは処刑されるんだ。やってやるよ…」
「ありがとう」

ミカエルさんに向き直し
深々と頭を下げた。

「お願いします!」
「王子、そんな勝手なことは…」
「ごめんなさい。でも、何故か彼らなら大丈夫な気がするんです」
「……」

ミカエルさんは
額にシワを寄せながら
しばらく考えた後
ため息を1つ吐いて
僕にこう言った

「分かりました。ただ、条件があります。彼らには、居場所と力を拘束する魔術を掛けさせてください。私にも王子と魔王様の安全を守る役目がありますので」

それで彼らが変わるのなら……。と僕はその条件を飲み
彼らにも説明し受け入れてくれた。

後日
彼らは魔城で働くことになり
仕事は与えられるものの。
意外と楽しそうに暮らしている。

ちなみに僕は魔王様から
かなり怒られた。

「反乱分子を受け入れるとは何事だ!」と…。

でも
「これは僕が決めたこと」と心に決め
怯まずに僕の考えを伝えた。

魔王はその僕の覚悟を
厳しい表情をしながら聞いていたが
あの条件も踏まえた上で
「ミカエルが管理するのら」と
彼らを受け入れることを許可してくれた。

こうして
彼らは受け入れられ
今は侵入者の見張り役。
通称「子供警備隊」として働いている。
まだ始まったばかりだが
彼らの成長を間近で見れるのは楽しみで仕方ない
と思う僕なのだった………。

4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する