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2020年06月13日18:10

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ピアノ・ソナタ第1番

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第1番へ短調作品2-1
山根弥栄子(ピアノ)


かんち自身の解説

ようやく、ベートーヴェンのピアノ曲を取り上げる時が来た、と思っています。

ピアノ曲はピアノの音が単調だと思う人も多いので、ここ以外の鑑賞会でもあまり取り上げてきていないジャンルですが、本来ベートーヴェンは「ピアニスト」であるということが、あまりにもおざなりになっている傾向はないかなあとずっと思ってきました。

ただ、某鑑賞会が室内楽やピアノ曲を取り上げるとばかり思いこんできましたので、当鑑賞会ではあえて取り上げないで来ました。取り上げるときはそのピアノ曲がもともと管弦楽作品だった場合であり、唯一の例外がメンデルスゾーンの無言歌を取り上げたときです。

それ以外はあえてピアノ曲を徹底して避けてきた当鑑賞会ですが、現在「同時鑑賞会」を主宰する歌音さんから「そんなことないですよ」とのお墨付きをいただいたので、堂々と当鑑賞会で取り上げることにしました!

ベートーヴェンは、作品1と2をピアノを使った作品としており、作品1がピアノ三重奏曲、そして作品2がピアノ・ソナタ第1番です。

今回そのピアノ・ソナタを2プロに持ってきました。現在ピアノ三重奏曲も取り上げるべく、準備をしていますのでこうご期待!

有名なピアニストが演奏している第1番ですが、今回はあえて日本人ピアニストである山根弥栄子さんの演奏を取り上げます。

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ピアノソナタ第1番 ヘ短調 作品2-1は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1795年に完成したピアノソナタ。

1792年11月、ベートーヴェンが故郷のボンを後に音楽の都ウィーンへ赴いたのはフランツ・ヨーゼフ・ハイドンに師事するためであった。しかしハイドンの施した指導はベートーヴェンの期待に応えるものではなく、ヨハン・バプティスト・シェンクがハイドンの誤りを多数指摘するに至って野心溢れる若き作曲家の不満は膨れ上がった。やがて彼は「ハイドンからは何も学ぶところはなかった」とさえ口にするようになる。その後ハイドン門下を飛び出してヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガーやアントニオ・サリエリらに師事したベートーヴェンであったが、1795年にハイドンがイギリスへの演奏旅行から帰国すると同年に完成した3曲のピアノソナタをかつての師に献呈したのである。この3曲が作品2としてまとめられ、翌1796年にウィーンのアルタリアから出版された。

様々に性格が異なる楽曲を同時期に生み出していくスタイルは、それまでの時代の作曲家にはあまり見られなかったベートーヴェンの創作上の特徴であるが、作品2の3曲も三者三様の個性に彩られており既に作曲者らしさが前面に出てきている。本作はその中でも劇的、悲劇的に書かれており、後年の作風を強く予感させる内容となっている。4つの臨時記号が並ぶヘ短調という調性はアマチュア音楽家にとって譜読みが難しいこともあり、当時の鍵盤楽器作品では敬遠されがちであった。そうした中でヘ短調を採用した第1番のソナタには、自作曲を演奏するピアニストとして聴衆により強い印象を残そうというベートーヴェンの野心が窺われる。また、ピアノを管弦楽的に扱う傾向も既に現れている。

ベートーヴェンのピアノソナタには選帝侯ソナタなどのボン時代の習作も含まれるが本作の習熟度には遠く及ばない。芸術家ベートーヴェンのピアノソナタはこの作品に始まり、以降晩年に至るまで32曲にわたって連なっていくことになる。音楽史上欠くことのできないこれら作品群はピアノ音楽の新約聖書と称えられ、その歩みはベートーヴェンの作曲様式の変遷を写し出すのみならずピアノ音楽発展の系譜そのものであるということができる。
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