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2020年06月13日14:42

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プロメテウスの創造物

危険・警告ここからいくつかの日記は、第49回ネット鑑賞会用の解説です。危険・警告

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
「プロメテウスの造像物」序曲作品43
アンドレ・クリュイタンス指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


かんち自身の解説

やっと、第3回目でツィクルスらしくなってきたかな〜という気がしています。オール・ベートーヴェン・プログラム。とはいえ、それを実現するために、合唱コーナーが今回はお休みなのですがふらふら

さて、「プロメテウスの創造物」と言えば、結構知られている作品なのではないかと思います。本来は序曲だけではなく、すべてをご紹介できればなおいいと思うんですが、今回はメインが英雄ということを意識して、1プロにこの序曲を持ってきました。

どこがベートーヴェンらしいのかと言えば、プロメテウスと言えば、人類に文明の源とされる「火」をもたらしたギリシャの神と言われています。そもそも、ギリシャ神話から題材をとることこそ、ベートーヴェンが生きた当時としては革新的なことだったのです。キリスト教の神ではない、ということ・・・・・それが当時どれだけラディカルだったことか。

今でも、アメリカではキリスト教から距離を取るこそすら極左とかいう人がまだいる時代です。ベートーヴェンが生きた時代はもっと厳しかったわけで、一神教ではなく多神教にも興味を持つことが、まだまだ教会が力を持っていた当時としては、反乱分子とすら言われた時代です。そんな中で彼は自信をもってギリシャ神話から物語を採用したのでした。これこそベートーヴェンの「共和主義」的行動だったのです。つまりベートーヴェンは「自分らしくあるため」に、ギリシャ神話から題材をとることをいとわなかったのです。

その精神はまっすぐ交響曲第3番「英雄」とつながっています。聴きなれている人にとってはとても英雄的な音楽とは聴こえないかもしれませんが、当時の人たちがなぜこの曲を素晴らしいと思ったのか、当時の社会背景を想像しながら、聴いてみていただけると嬉しいです。

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『プロメテウスの創造物』(Die Geschöpfe des Prometheus )作品43は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲したバレエ音楽。現在はもっぱら序曲のみが演奏される。

ベートーヴェンは生涯で2作のバレエ音楽を残している(もう1作は「騎士のバレエ」WoO1)。作曲の詳しい経緯は知られていないが、振付師のサルヴァトーレ・ヴィガーノ(Salvatore Viganò)との密接な協力によってこのバレエ音楽が生まれ、1800年から1801年にかけて作曲された。同年の3月28日に、ウィーンのホーフブルク劇場で初演され、好評を博したと伝えられている。しかし現在は序曲以外ほとんど演奏されることはない。

ベートーヴェンはこのバレエをドラマと舞踊と音楽の緊密な結びつきを実現しようとし、当時彼がバレエ音楽として舞台にかけたとき、きわめてモダンな意図が秘められていた。そしてこの音楽は、当時既に詩人ゲーテとシラーのあいだで論議されていた、一種の「総合芸術作品」としての趣をもつ例となった。

ベートーヴェンは作品の中にあるプロメテウスの素材をその後も活用した。『交響曲第3番』、『エロイカ変奏曲』作品35などに、このバレエ音楽で用いた音楽的な素材を流用している。
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