ナミ、専門学校入学!
イヤッホい!
同級生のエリちゃんは、一生涯の親友になった。
高校時代知り合った女でたった1人、「ナミといるのが楽しいから他は捨てる」って言ってくれるから、札幌に連れてきちゃったんだ。
実はナミは、イラスト描くのが夢。
そう、中学の時にヲタ友がいたって話したでしょ?
あの子にもらった漫画たちから刺激を受けたから。
どんどん描いた。
専門学校は年齢も境遇も立場も……すべてが違う
。
先輩は、ナミを叱ってくれたし、画材道具を譲ってくれた。
勉強なんかも付き合ってくれた。
時にはご飯食べさせてくれた。
だけど、それでもお金に困った。
画材は高い。
生活費も高い。
あー。どっかないかな?
そんなとき、『ガールズバー』を見つけた。
「音楽に乗せて歌を歌いませんか?」
声をかけられて、歌も大好きな私は惹かれたよ。
面接の場で歌い、歌詞を書いて提出したさ。
「キャンバスに描いてきて?」
って、お店は画材道具代金、全部出してくれたし、出来上がったら一万もくれた。
「こんな楽しい事させてくれるなら賃金少なくていいや。」
って、ナミ思った。
もちろん接客ではお客様に暴言吐かれたりもしたし、セクハラや愚痴を延々聞かされた。
それにブチ切れたり、客がぶちギレる私を見に来たり、まぁ自由なもんだ。
893さんと仲良くなったりもしたよ。
そんな時、一回り年上の高さんに恋をした。
本当に上から目線だし、他の女ばかり褒めるし、
「お前と付き合う気はない」
ってつれなかった。
なのに高さんってば、マスターの友達だったからって、勝手に私の鞄に電話番号を入れていたんだ。
「深夜1時にセコマ前」
待ったよ!9時あがりなのに!
初めて高さんの部屋に入った。
何もせずに飲んで、手を繋ぐだけ。
ドキドキしてキャーってなって、初恋より初恋。
知らなかったんだよ。
手を繋ぐだけで顔が熱いなんて。
椎名林檎とドリカム好きだってゆーからカラオケ通って覚えて、「下手くそ!」って笑われながら高さんのためにって頑張った。
私の誕生日には「行くぞ!」と焼き肉屋さんに連れてってくれた。
女将さんは高さんに、
「はぁ?女の子連れてきたの初めてじゃない!ちょっと!」って。
高さん……好きーってなった。
プレゼントは無かった。
理由。
「気に入った香水無かった。お前の匂い探したのに。」
ごっめーん。
メンズ香水つけてたんだ!
使いかけはくれた。
カルバン・クラインのメンズ香水。
今でも愛用してる。
次は隠れ家風生バンド演奏の店。
初めての赤ワインに酔った。
テーブルの上で手を繋いだ。
演奏聞きながら手をギュっとしたりこちょばしたり、
「付き合わないからな」
って、相変わらず言われてたけど、毎日通ってご飯作って、学校行ってバイトして高さんの家帰った。
高校時代のアルバムこっそり見た。
行ってきますのキスした。
だー!なんだこれ!
最後は「初恋の人に告白されて、結婚前提だから会わない」
ってフラレたけど…でも、そんなかわいい恋もしたよ。
気分屋の私は、違う私のお客様に恋をした。
だってイメチェンしてイケメンになったんだもん!
19歳だったナミより、また一回り年上の人だった。
そして、付き合って2ヶ月で妊娠した。
泣きながら「ごめん」って謝ったら、「結婚しましょう」って。
は?え?
すぐに婚姻届を書かされた。
車で区役所へ、それが2月24日のこと。
義実家ではもちろん、「大丈夫なの?」って言われたよ。
引き換え我が母、「逃すなイケメン」
は?え?
何この展開。
起業したばかりの旦那には借金があるから、午前中に主婦と課題やって、夕方に学校、夜にバーに出勤してた。
そのあとは、人生ジェットコースターだった。
だって、出血、入院、流産、処置って一気にいろんなことがナミの身に振りかかってきたんだ。
あたしは壊れた。
内科から心療内科へ、心療内科から精神科へ回され、
「重度うつ病」
って、診断が降りた。
立ち上がれなかった。
お腹をバンバン叩いた。
役立たずの子宮を殴った。
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