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2020年05月13日18:24

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コロナ対策で見せたコスタリカの民主度

伊藤 千尋
· 21時間前 ·
 コロナ禍への対策で日本政府が何もかも出遅れたことが指摘されています。一方でドイツが成功例として取り上げられますが、矢継ぎ早に手を打った中米のコスタリカが世界で注目されています。軍隊をなくした「平和国家」に加え、今回は民主主義の成熟度を見せつけました。その詳細を僕は「週刊金曜日」の5月1日号に1ページで書きました。でも、あまり読まれていないようなので(笑)記事の要旨を紹介します。
 まず日本と違うのは政府の国民への姿勢です。コスタリカのアルバラード大統領はほぼ毎日、声明を出し、生活と医療を政府が守ることを保証しました。官僚が書いた紙を読むのでなく、自分の言葉で語りかけたのです。誠実な姿勢が国民の信頼を得ました。
 現場で担当するのは保健省です。サラス保健相は東北大学にも留学した医学博士で、この分野の専門家です。しかも保健省生え抜きの行政マンでもあります。大蔵官僚出の加藤厚労相はまずカネを考えるのでしょうが、サラス氏は保健の専門家としてコロナの予防方法、症例から施策の現状と結果を細かく国民に直接、知らせました。記者会見を頻繁に開いて、持っている情報を全て公開したのです。ここが日本とまったく違う。

 コスタリカに初めて感染者が確認されたのは3月6日で、アメリカからの観光客でした。政府は早くも3日後、集会を避け在宅勤務にするよう国民に求めました。バーやディスコを閉鎖し、感染阻止と生活維持の両立のため飲食店の客を収容人数の50%未満に制限しました。
 最初の感染確認から10日後、まだ死者ゼロの段階で大統領は国家非常事態を宣言し、全ての学校を閉鎖しました。日本で緊急事態宣言といえばうさん臭く思われますが、コスタリカ国民は冷静に受け止めました。政府が独裁化する危険がないからです。なにせ大統領は連続再選が禁止され、2期8年おかなければ再び立候補できません。国会議員も連続再選禁止です。民主主義が制度として生きており政府が信頼されています。パニックや買い占めはありませんでした。
 宣言の2日後に最初の死者が出ました。2人目の死者が出ると教会を閉鎖しました。国立病院をコロナ治療用に、国立リハビリテーションセンターをコロナ治療の専門病院に替えました。努力が実って、死者は6人に抑えられています。
 さらに収入が減った人への補助金支給を決め、早い段階で給付を始めました。仕事を失った人には一般労働者の平均月収の約半分にあたる額を、仕事が減ったけれど以前の50%以上ある人には、その半額を、向こう3か月にわたって支給しています。手をいつもきれいに保てるよう、水道料金は徴収を中止しました。家賃が払えない人のために、支払いを半年猶予する通達を出しました。小、中、高校は閉鎖後もスマホやPCでバーチャル授業をし、子どもに米やパスタ、果物など食料やノートを配給しています。

 僕は毎年コスタリカを訪れており、この1月にもスタディ・ツアーを組んで取材しました。そのとき環境面でガイドをしてくれた原田信也さんは、コスタリカに住んで16年になるベテランです。彼は「日本は政府にとって都合のいい政策を決め、国民の健康でなく経済の落ち込みを恐れている。コスタリカは国民が必要とすることを実行する。こちらの方が正しい民主主義に思える」とはっきり言います。
 安倍政権が「マスク2枚」と言ったとき、原田さんはエイプリル・フールの冗談だと思ったそうです。コスタリカ国民は3・11のとき日本人が団結を示して復興に向かったことをとても評価しました。今回、「マスク2枚」と安倍政権のコロナ対策をコスタリカ人にどう説明するか…彼は困っています。
 いざというときに何をするか、で時の政府の質が見えます。安倍政権は国民向けのコロナ対策をいまだにきちんとしないばかりか、この機に乗じて自分に都合のいい人物を検察のトップに任命し、それを正当化する法律を無理やり通そうとしています。明白な独裁化への道です。今の日本政府が国民を向いた政府ではなく、自分たちの利益と保身を図る政府であることが露わではありませんか。
 これに沈黙していれば、民主主義が死にます。コスタリカの国民はみんなで民主主義を創り上げてきました。いま試されているのは安倍政権ではない。われわれ国民です。
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